楕円と円 By I.SATO

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『碧雲蔵』

2025年03月05日 | 日記
5年前に道北・上川の大雪酒造が母校の大学の構内に酒蔵を建てた。
地図で見ると昔の先生方の公宅跡地のようだ。
古い草地が隣接し、春先のラグビーの練習に使ったこともあった。

酒蔵は名付けて『碧雲蔵』。
全国でただ1か所の大学内にある酒蔵であり、北海道新聞が昨日3/4付の第1回を始めとし、3回シリーズで『碧雲蔵』を取り上げるようだ。

道内3国立大学の統合の象徴として建てられ、名前は母校の男子寮の「碧雲寮」から取ったという。「象徴」と言うのも何だか大げさな気もする。


兵舎のような木造2階建て、5〜6名の大部屋からなる旧寮が取り壊されて鉄筋コンクリート5階建て、2人部屋の新寮になった時の最初の入寮生だった。
当時、旧寮から引っ越してきた先輩諸氏は「入れ物が変わっても中身は変わらん」とばかりに、様々な慣習を新寮に持ち込んだ。

そのひとつが〝部屋回り〟だった。
10Kmほど離れた帯広の街で飲んできた先輩諸氏が足元をふらふらさせて階ごとに各部屋のドアを蹴飛ばして寮生をたたき起こし、儀礼上、後輩のみ廊下に並ばせて訓示、放吟したものだった。
始めたら5階まで完結しないと名折れ。時にはあたりが明るくなる頃に終わるということもあった。
この時、飲んでいたのは頭の痛くなる合成酒か臭いジャガイモ焼酎だった。旧寮時代には各部屋に〝ドブロク〟もあったという。


記事を読んで時間の流れ、時代の変化を痛感する。
〝碧雲〟と聞いただけで半世紀前の〝旧人〟は当時がフラッシュバックするが、『碧雲蔵』で造っているのはチーズや地場食材と楽しんだりする高級で多彩な酒のようだ。
〝部屋回り〟とは縁遠い。昔は無かった発酵・醸造学などで学生教育にも生かされているという。

使っているのはかつては無かった道産酒米の「彗星スイセイ」。
小樽のT酒造メーカーの大変な協力を得て道立農業試験場によって開発された。現役の頃、少し関りがあり、T酒造の社長さんの熱意に打たれたことがあった。

今では「碧雲寮」の名前そのものが無い。
昔はいないに等しかった女子学生が近年急増したが女子寮を増築する費用が無いため、大きい男子寮の中に隔絶された女子寮が作られ、「学生寮」という味気の無い名前に変ったからである。〝部屋回り〟などという前時代的な慣習も当然無いことだろう。

落とした単位を貰うために夜な夜な先生方の公宅を一升瓶を下げて回ることなど退学ものだろう。救われた学生が沢山いたらしい。
古き良き時代だった。今、そこに酒蔵が建っている。


〝新しい葡萄酒は新しい革袋に〟
半世紀が経って母校の寮も大学の形態も研究・教育領域も大きく変わった。

知ることは出来ないが、これから30年、50年が経って、今の学生が〝旧人〟となった時に『碧雲蔵』はどんな香りを立てているのだろう。

近くには池田町のワイン醸造研究所がある。願わくば母校が畜産関係の大学とするならば『碧雲蔵』の横に『ワイン醸造所』」もあって欲しい。


〝部屋回り〟で寮歌、逍遥歌と共にこの歌をよく歌わされた。
(昭和47年 1972年)


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