季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

歳を取れば取るほど

2015年05月11日 | その他
作品と作者の関係くらい不思議なものはない。

僕たちは立派な作品を見聞きすると、自然に作者の人格まで立派だと信じてしまい易い。

いや、信じたりはしないという人はいる。それらの人は逆に、君子の隠された弱点を見つけて喜ぶ傾向にある。作者と作品の関係について考え抜いた訳ではないという点では、人格まで信じてしまう人と大して変わらない。

例えば僕は生徒諸君よりずっとエレガントに弾ける。処が当の本人は(僕のことさ)エレガントとはまったく縁のない男だ。生徒諸君は僕に比べてどれだけ上品なことか。

これは一体どう説明できるだろう。

では演奏は本人とまったく無関係だろうか?無関係だと断じるのはためらわれるだろう。これも常識的にそう感じる。

適当な辻褄合わせの理屈は不要だ。例えば僕の裡の何処かにはエレガントな要素があるからだ、とか。このような説明はいかにももっともらしいが、もっともらしいだけだ。

この難問は歳を取れば取るほど、解くことのできない不思議さとして目の前に現れるようになった。

いったい作品(演奏でも同じだと思って良い)と作者(演奏家)の関係は何だろう?