季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

軍艦島

2013年09月26日 | その他
廃道のことを書いた。ネットでも検索すればいくつも面白いのが見つかる。軍艦島のストリートビューがあると知った時は、ああネットの時代になりいろんなものが変化したなあと一種の感慨にふけった。

僕が軍艦島について知ったのはネットの時代よりずいぶん昔、洲之内徹さんの「気まぐれ美術館」だった。そのころ一人のカメラマンがこの廃墟を紹介すべく、撮影に行って洲之内さんも同行した。たしかそんな経緯だったはずだ。

軍艦島というのは長崎県の沖合にある、かつて海底炭鉱で大いに栄えた端島というのが正式名称である。遠くから見ると海に浮かぶ軍艦のように見えるからその名で呼ばれる。

洲之内さんたちが行った当時は渡る手段も何もない、文字通りの廃墟だった。携帯もない。バラバラに行動して落ち合う場所を丹念にチェックし、インスタントラーメンをすすり、だったようだ。野営の厳しさと廃墟の心が詰まるような情景がよく出た、印象深い文章だった。

そうした紹介がきっかけになり、関心を持つ人が増えたのだろうか。今では一種の観光スポットになり、順回路まで整備されているらしい。

知らない人は「軍艦島」で画像検索でもしてごらんなさい。それで面白く思ったら洲之内さんの文章も是非一読を。

廃墟をうたった歌曲もある。シューマンの「リーダークライス」だったかな。
衛兵がauf den Burg(古城の上、城壁だろうね)に立っているという幻想を歌う。いかにもシューマンが好みそうな題材だ。いつだったか演奏会で対訳付のプログラムで笑ったことがあった。衛兵が山の上に立っている。

なんじゃ、こりゃ?酷い誤訳だ、とよくよく見るとauf den Bergとなっている。これは確かに山の上だ、誤訳ではないね。

でもね、衛兵が山の上に立っている、では何の感興も湧かないよ。誤植だとすぐ気づいてもよさそうだ。外国語ができたって駄目だという恰好の見本さ。山の上に立つ一人の衛兵、まぬけだなあ。今でも時折思い出す。

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