季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

またホール

2008年03月20日 | 音楽


ホールの善し悪しは、簡単に言って二つの条件による。

ひとつは音が心地よく響くこと。当たり前のことであるが。

もうひとつは弾き手のやっていることがよく分かるということ。こちらに関しては当たり前のようでいて、では演奏者は何をしているか言ってみろ、と問われたら多分あいまいになる人がほとんどなのではないか。

ホールのせいで分からないのか、自分の耳のせいで分からないか、が分からないからだ。

よくピアノの演奏について、強烈なタッチだとか、優しいタッチだとか論評するでしょう。これは控えめに言ってもかなり怪しげな形容なのである。タッチは正確か、不正確かしかない。

強烈なタッチの持ち主と形容された人に対して、僕は高い確率で乱暴に弾き、幸運な場合力強かったのだと判断する。

優しいタッチと形容された人は、高い確率でフニャフニャ弾き、幸運な場合のみデリケートだったのだと思う。

いずれにしても、ホールのことを言葉で表現するのは難しい。でも、昨今の多くのホールが聴き心地はそこそこ良いが、嘘くさく、弾き手が何をしているのかが手に取るように分かる、ということから、あまりにかけ離れていることは言っておきたい。

具体例を挙げておこうか。紀尾井ホールや、浜離宮ホールは心地よさを造りあげた感じで、良いとは言い難い。カラオケでエコーをかけたら気持ちがよい、そんな感じとでも言っておこうか。ホールから「みなさんはご心配には及びません。美しい響きを造って差し上げます」と言われたような気持ちになる。みなとみらい(それにしてもこのネーミング、助けてくれ)ホールも同様。響かない典型はNHKホール。一時期、分からないようにスピーカーで補強していると噂が立ったことがあるが、その気持ちはよく分かる。

津田ホールは弾き手のことがよく分かる。心地はそれほどよくない。王子ホールはピアノにはまったく駄目だが、弦楽器、管楽器だけの場合は良い、ちょっと変わっているが、その特徴を知っていれば何とかなる。カザルスホールは風呂場。サントリーの小ホールなどは、今では使う人はあまりいないのではないだろうか、詳しく知らないけれど。それくらい魅力に乏しい。落雁というお菓子があるでしょう、あの舌触りが耳にきたらこんなだろう、と連想してしまう。

こんな書き方しかできないけれど。そうそう、古賀政男記念館というのがあって、ここが小さいけれど良い響きだ。さんざんホールについて書いたのに、具体例を挙げないのでは無責任だから、僕の耳による判断をしておく。


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