東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

国立病院機構東埼玉病院リハビリテーション科の公式ブログです

*表示される広告は当院とは一切関係ありません

趣味?それとも治療?エコクラフトを大切な人に贈ろう!

2023年06月26日 | 活動報告

 

皆さんはどんな趣味をお持ちでしょうか?アウトドア派、インドア派といろんな趣味があるかと思います。作業療法ではこちらの作品のようなエコクラフトをリハビリに用いることがあります。作業療法の捉えられにくい側面でもありますが、対象となる活動の幅は、一般的な生活に必ず必要な動作から家事、仕事、趣味活動、細かいことではコミュニケーションツールや手指の動きにも着目します。

今回は、エコクラフトという活動を作業療法がどのような視点で捉えているかをお話しさせていただきます。

1、エコクラフトとは?

エコクラフトとは、再生紙を原料とした紙バンドで作られる手芸です。1990年代にフランスで生まれ、日本では2000年代に広まりました。環境にやさしい手芸として注目されています。紙バンドはクラフトテープと呼ばれ、手で切ったり割いたりすることで幅を変え、針や糸を使わずに編むことで作品を作っていきます。作品はバッグ、小物入れ、インテリア雑貨など多種多様で、丈夫な上に素朴な風合いで、初心者でもアイデア次第でさまざまな形に編み上げることが可能です。カラーも豊富で、自分のオリジナルデザインのカゴやバッグにチャレンジするのも楽しいです。

2、どんな作品ができるの?

ティッシュカバーやカゴが一般的なイメージかもしれません。編みを使わないコースターなども作品にあります。大作になると、肩掛けバックなども作製できます。

基本の編み方を覚えるといろいろと応用が効きますが、まずは本やネットに載っている寸法通りに作製していくことをおすすめします。以外と難しいので、思わず夢中になる方も多いかと思います。

3、どんな治療になるの?

さまざまな治療に用いることがありますが、ここでは3つの目的を挙げてみます。

 

 

最もイメージしやすいのは手指の機能改善を目的とした導入です。左右の手を使う必要がありますので、自然と    苦手な手指の練習になります。入院中は生活が受動的になり、手指も使わない生活になりがちです。クラフトテープを裂いたり、丸めたり、隙間なく引っ張りながら編むことで、筋力や感覚の練習につながります。

作業への集中や計画性、正しい手順で遂行することを目的とした練習にも使うことがあります。楽しみや生産性、明確な目標があると、ストレスもより少なく作業時間をのばすことが可能です。また、行程が分かれている作業活動には、脳の高次な機能を多く使用する特徴があります。普段何気なく行動しているようでも人間は自然と計画をして効率的に動くことができます。エコクラフトから生活につながる練習になっているなんて不思議ですね。

自尊心や自己効力感といった入院中に落ちやすいところを、作業活動を通して高めることを目的にすることもあります。今までできていたことができなくなったり、病気が進行して落ち込んだりと、目標の再設定が必要となりますが、できることに対しても意欲がなくなることがあります。練習の中でも作品として形に残る作業活動では、みんなから賞賛される体験になったり、完成品を誰かにプレゼントしたりと目標次第でよりステキな時間になります。大切な人が時間をかけて努力して作ったカゴは、最高の贈り物になりますね。

 

4、リハビリ導入時に作業療法士が意識する3つのポイント

    • 成功体験になるよう簡単なものから始める
    • 目標、目的をはっきりとさせる
    • 行程によって介助量を変える

リハビリで導入した場合の多くは、患者さんは療法士からの提案で開始されることが多いです。大事なリハビリの時間に訓練としての認識を持たれにくい作業活動では、自尊心を損なわず、明確な目標に向けて行っていく必要があります。リハビリは自発的な行動がより効果を高めますし、作製時間にも楽しさを見出しやすくなります。

残存機能によっては介助を多くする行程が必要になることもありますが、課題は簡単すぎても練習にならず、面白みも感じない。逆に難しすぎても時間を無駄にして過度に疲労します。部分的に協力することで適切な作業活動となるようにアシストするのが私たち作業療法の技術になります。機能として十分と可能と判断できれば、作品選択、計画、採寸からすべて自身で行うのもとてもいい練習になります。

 

5、どうやって始めたらいいの?

 

 

エコクラフトは、特殊な道具を必要とせず、身近な道具で手軽に始められます。

・クラフトテープ    ・ボンド

・ハサミ        ・定規orメジャー(採寸用)

・洗濯バサミ(ボンドで固定する際にずれないように止めておく)

・PPバンド(なくても可。クラフトテープを裂くとき使う。荷物をまとめる硬いバンド)

 

特別に購入するのはクラフトテープくらいでしょうか。最近100円ショップでも売られていたり、ネットでも手軽に手に入ります。必要な量がそろったキットから始めて頂くのがおすすめです。簡単なものから徐々にステップアップしていくようにしましょう。

 

 

6、最後に

今回は、作業療法の治療の一つとして紹介させていただきました。しかし、このエコクラフトは手芸として一般の方が楽しんでいる作業活動でもあります。スタッフの中にも趣味として個人的にやったことのある人もいるくらいです。家族や知人への贈り物として作製したり、自身の作品作りとしての達成感、夢中で作っている時間を楽しんだり、作品を他者から評価されるとき、さまざまな喜びが感じられる趣味となります。

 ぜひ、一度チャレンジしてみてはいかがでしょう。

 

東埼玉病院リハビリテーション科ホームページはこちらをクリック

 

【注意】

本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において行うようお願いいたします。