東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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「失語症、摂食嚥下障害について」新人向けの勉強会を実施しました!

2024年07月02日 | リハ科勉強会
こんにちは。
東埼玉病院勤務の言語聴覚士です。中高生を対象としたある調査で,言語聴覚士がなりたい職業第3位にランクインしたり、ドラマに言語聴覚士が登場したりと、なんとなくマイナーだった自分の仕事が段々と世の中に知られるようになり、うれしいやら、さびしいやら、複雑な気持ちです。

さて、今回は新人看護師・リハビリ職員向けに先日行った勉強会についてのお話をさせて頂きます。
当院では新入職の職員向けに病院全体向けや、部門毎に新人教育用プログラムが用意されています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士もそれぞれの専門性を活かし、講師(というほどでもありませんが)を務めることがあります。今回、私は「失語症、摂食嚥下障害について」とのテーマを頂き。どちらもリハビリテーション病棟で勤務する職員には避けて通れない障害です。

失語症とは、大脳病変によって一度獲得された言語知識が後天的に障害され、言葉によるコミュニケーションが難しくなる障害です。簡単に言うと、脳の損傷により頭の中の言葉の辞書に不具合が生じて「話す」「話を聞いて理解」「文字を読んで理解」「文字を書く」機能が低下している状態です。ご本人やご家族の生活には大きな影響が出る一方で、外部からは見えづらく、コミュニケーションという具体性の少ない障害であるため、周囲から理解や援助が受けづらい障害であるといえると思います。
勉強会では入門編として、下記スライドのように一般的な援助のコツを中心にお話ししました。ただし、患者さんにより症状は異なり、適切な対応も異なってきます。コミュニケーションでお困りの方は、言語聴覚士やご相談ください



摂食嚥下障害は、食べ物を飲み込む際の障害であり、障害があるとむせる、どうやら肺炎の原因になるらしい等、漠然と認識されていそうですが、実は、食べ物を認識する、食事に集中する、といった食べる前段階から、食道を通過するまでを含んだ概念となります。
その中で、食べ物や唾液等が気管や肺に入ることを誤嚥といい、誤嚥が原因で起こる肺炎を誤嚥性肺炎と言います。
今回の勉強会では誤嚥の兆候、誤嚥のリスクをさげるための工夫、といったことをお話ししました。むせていないからといって誤嚥がない訳ではなく、早期に誤嚥を発見するには声の質、痰の量や質、微熱などに気をつける必要があります。また当院で提供している嚥下調整食の紹介、とろみをつけたり、背もたれを傾ける理屈について説明しました。
(適切な対応は患者さんの症状により異なりますので、これらの対応は自己流で実行せず医師、栄養士、言語聴覚士等の指示を仰いで下さい。また、食事にお困りの方は、当院で、嚥下機能評価目的の外来や入院も行っておりますのでご相談ください。)




勉強会を通じて、知識をわかりやすく説明することの難しさを痛感しました。この経験をもとに、患者さんやご家族に障害について、よりわかりやすく説明できるよう工夫していきたいと思います。
また勉強会に参加してくれた職員、このブログを読んでくださったみなさんに少しでも何かの足しになってくれたら、と思います。

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