東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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第20回リハビリテーション科地域連携勉強会 ブログ報告

2019年09月30日 | 紹介


第20回リハビリテーション科地域連携勉強会を開催しました



 当科では、「顔の見える連携」を目指し、院内外及び多職種の方々が一同に会し、参加型の勉強会を年2回開催しています。

おかげさまで今回20回目を迎えることができました。

一人の患者さんに関わる多くの医療従事者や福祉従事者の方々が共通の理解を得てすぐに実践できるものを持ち帰っていただきたいという想いから、毎回趣向を凝らした企画を用意しています。

今回は「呼吸障害の包括的アプローチ」をテーマとし、基本的な知識から多職種による介入を紹介する形で、「明日からいつでも誰でもどこででもできる知識と技術」を持ち帰っていただくべく、座学+ハンズオンセミナーという形の勉強会を行いました。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)に代表される呼吸障害は、高齢になるほど発症率も高まりますが、他の全く異なる病気を併存することでも知られており、純粋な呼吸障害の患者さんだけが存在するのではなく、何かの病気と呼吸障害を併せ持つ患者さんを診ることも珍しくありません。

これからの高齢化社会に際しますます身近に増える呼吸障害の患者さんへ多職種で関わる包括的アプローチを開設しました。

 前半の講義形式では、リハビリテーション科専門医より、呼吸障害のアプローチの総論、主に呼吸リハビリテーションの概要について講義形式でお話ししました。

呼吸の生理的な働きと、なぜ呼吸リハビリテーションが必要なのかその理論、また呼吸リハビリの5つの柱「セルフマネジメント教育」「運動療法」「栄養療法」「定期評価」「心理社会的サポート」には多職種による連携が必要不可欠であるということを解説しました。

 続いて、管理栄養士から「呼吸障害患者における栄養管理」を解説しました。

呼吸障害患者さんは呼吸をするだけでエネルギーを消費するため痩せやすく、このため筋力が低下し息切れも強くなるという悪循環に陥りやすいので、体格を確認し、必要なエネルギーを工夫して確保することが大事であるとまとめました。

 さらに、理学療法士より運動療法の実際について、重症度に応じて体のコンディションと呼吸を整えるために運動負荷量を調整した運動メニューを提供する話を実演を交えて行いました。



 後半は、グループごとに3つのブースに分かれてハンズオンセミナーを行いました。



PT①のブースでは、酸素療法に必要な機器(酸素濃縮機や携帯用酸素ボンベなど)を紹介し、実際に使用してみました。
今回参加いただいた看護師さんやケアマネージャーさんなどからは、「普段見たり指導したりするものでも実際に使ってみたことはなかったので体験できて良かった」という声を多数いただきました。


PT②のブースでは、排痰補助としてハフィングの手技や、“カフアシスト”という機器の体験を行いました。特に自力で喀痰を排出することができない人に使用する“カフアシスト”の体験は、他院での経験が少ないことも多く、「経験できて良かった」と多くの方から感想をいただきました。


OTのブースでは、呼吸障害の患者さんに対するADL指導について、自験例を元に解説しました。
患者さんが呼吸障害の他に身体機能障害や認知機能障害などを合併している場合、介助者への指導が必要不可欠です。
自宅内での環境設定や特に難しいとされる入浴動作などについて触れました。


 今回は多くの施設から、また非常に多職種の方々が満遍なくおいでいただくことができました。あっという間の2時間で、かなり濃い内容を短時間でお伝えすることとなりましたが、参加者の皆様には“とても有意義であった”というご意見を多数いただくことができました。今回は「呼吸障害」について多職種連携の重要性をお伝えしましたが、多職種の方々がそれぞれの立場で多くのものを持ち帰っていただけたなら幸いです。


 当科では他では見たことのない“痒い所に手が届く”勉強会をこれからも開催し、より一層顔の見える連携作りを推進して臨床へも役立てていきたいと考えています。


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