大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、加害者とされる同級生とは無関係の人をインターネット上で名指しで中傷したとして、滋賀県警が東京都と兵庫県の男2人を特定し、名誉毀損(きそん)容疑で2人の自宅をそれぞれ家宅捜索していたことがわかった。県警は容疑が固まり次第、2人を書類送検する方針。
県警によると、中傷を受けたのは滋賀県草津市の60代の元警察官の男性と、大津市の宮司の女性(65)。男性は同級生の祖父としてネット上に名前を掲載された。女性は、別の同級生の親族として名前をさらされ、「濃硫酸をぶっかける」などと書かれた手紙やはがきを自宅に送りつけられた。
2人から被害届を受けた県警が捜査。9月下旬に発信元の男2人の自宅をそれぞれ捜索し、パソコンなどを押収した。
大津市で昨年、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺し11日で丸1年を迎えるのを前に、男子生徒の父親(47)が3日、相次ぐいじめ問題の解決のため、学校現場の教諭らに「どうか子供の声に耳を傾けてください。『どうしたの』と問いかけてください」と呼びかけるメッセージを、裁判支援のために代理人弁護士が開設したホームページに掲載した。
メッセージは男子生徒の自殺について「いまだ真相究明にまでいたっていない」と指摘し、「息子の死だけが宙をさまよっている」と吐露。それにもかかわらずいじめが後を絶たず、問題をなくすための「有効な対策が出てこない」と現状を嘆いている。
遺族がいじめ問題全般を解決することを「使命」ととらえ、学校現場で働く教諭らに「『いじめ』を自分たちの学校でも日常茶飯事に起こっている問題ととらえる」「個性をいじめの対象とするのではなく、個性こそが世の中に必要と教える」ことなどを要請。「教育現場を支えているのは先生」と教諭の役割の大きさを強調した上で、「どうか全国の方々の知恵を出し合って解決に導く方法を考えていきましょう」としめくくっている。
命日の11日には、男子生徒が通っていた中学校で、全校生徒が黙とうをささげる「命の集い」が行われる。