e411y(回顧録)

e411yの旅でのことを書き残しておきたいと思います。

天香具山

2010年08月29日 | 山・川・水・温泉
天香具山の南麓を彷徨った日、私はこの山の頂に登ってみたいと思った。



高校時代、耳成山の周回や山頂までが、いつもの部活のランニングコースやった。



天香具山の中腹・国見の丘まで走ることも何度かあったが、標高152mの山頂まで登ることはなぜかなかった。



なぜこの山だけが天から降ってきたと云われ、「天ノ」と飾り言葉が付いているんやろか?

これに関しては、「伊豫国風土記逸文」に、
『伊与の郡、東北の方に天山あり、天山と名づくる由は倭に天加具山あり、天より天降りし時、二つに分かれて、片端は倭の国に天降り、片端はこの土に天降りき。よりて天山と謂ふ。』とあるという。



このことを知っていたら、四国遍路のときに伊予の国の天山を見て見たかったよなぁ~
なぜ万葉人は、この山に特別な思いを持っていたのか知りたくて登ることにした。



この山から見える大和三山の畝傍山、耳成山は、美し いトロイデ形火山である。



それに対してこの天香具山は、吉野竜門山塊の末端で平たく盛り上がり、頂上付近は地下の深所でゆっくり冷やされたマグマが地殻変動で隆起し、地表に出て来た深成岩の花崗岩からなっているという。(金剛、葛城、生駒山、三輪山等と同様に生成されたと考えられている。)



私は、畝傍山や耳成山の方が、姿は美しいと思うんやけどなぁ~



国見の丘にあった天香具山を詠んだ代表的な万葉集の歌、



大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 
国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は
           舒明天皇 万葉集巻1-2



春過ぎて夏来たるらし白栲の衣干したり天の香具山
           持統天皇  巻1-28



ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春たつらしも
           柿本人麻呂  巻10-1812



国見の丘から山頂へと歩き出したらすぐに到着したんやけど、頂は木立が多くて展望きかず。



舒明天皇「海原は鴎立ち立つ」、この山から海原と鴎は見えるはずもなく・・・



持統天皇「白栲の衣干したり」と、この山を形成する花崗岩の白色との関係も分からへん。



柿本人麻呂「夕べ霞たなびく」は・・・お昼やったんで・・・



「写真;甘樫丘から天香具山を眺める」



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