旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

貧乏旅行は旅の王様だ

2007年12月18日 | 旅行一般
貧乏旅行とかバックパッカーと呼ばれるようなスタイルの旅には、このスタイルでしか体験できない素晴しさがあります。何といっても旅行者向けに誂えられた設備から離れて地元の人達と行動する事が増えるので、その国を傍観者として観光するのではなく、体感できる事。この点に関しては他のスタイルの旅では味わう事ができない魅力であります。私自身もこの魅力に長い間嵌っていて、1ヶ月とか半年とかいった期間、特に観光地に行くわけでもなく、ただ安宿で時を過ごし、屋台で食事をして放蕩の限りを尽していた時代がありますし、私が考える旅の魅力は最終的にはここに集約されていると言う事もできます。

そんな魅力を少し手軽な形で体感できる企画は作れないかと考えたものの一つがスーパーカブでタイであるわけです。

特に若い人たちには、とにかく騙されたと思って一度貧乏旅行に出かけてみる事を薦めたいのです。あなたがたがインターネットやテレビニュースで理解したと思い込んでいる事がいかにコントロールされた思考であるかという事が見えてくるでしょうし、若い人たちが周囲のコントロールから逸脱してこそ、新しい世界が開けてくると思うからです。

さて貧乏旅行。これを楽しむためには一つだけ忘れてはいけない事があります。それは精神まで貧困にならない事。

貧乏旅行で嵌りがちな間違いは、貧乏が目的になってしまう事。つまり、いかに安くあげたかとか、いかに安く旅しているかという事にこだわりすぎて、それが目的になってしまったり、やたらと薄汚い格好をして、いかにも貧乏旅行者という事をアピールしてみたり、結局、"バンカラ的自己顕示欲"に嵌り込んでしまう事です。

"お金がなくても旅をしたい。だから貧乏旅行なんだ"などという話を聞きますが、そういう人は言い換えれば、お金があったら貧乏旅行はしないという事ですから、真の貧乏旅行者とは言えませんね。何となく、リッチに旅行している人に対する嫉妬心が感じられて、これこそ精神の貧困だと思います。ただ、それでも行動し続けている人は、やがてその精神の貧困から脱却する日がやってくるでしょうから、今後に期待といった所。

私は貧乏旅行は自分が何が必要で、何が必要ないかという事を判断できる人の旅のスタイルだと考えています。だから旅の王様です。自分に必要ない物をどんどん切り捨てて、シンプルな旅の中で見えてくるものを求める旅だと思います。これを重ねていく中で、自分は更なるシンプル化を遂げ、そのうち自己顕示欲も切り捨てられていくものです。

ちなみに、"お金がなくても旅したい"、"少しでも安く旅行したい"という嗜好の方には貧乏旅行はまだ無理ですから、"格安ツアー"へどうぞ。これなら世の中に溢れていますからよりどりみどりです。


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