旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

連載3 私の海外ツーリング

2006年01月31日 | 海外ツーリング
 到着してみたらパキスタンはちょうど数日前にラマダンに突入。右も左もわからない私はこの事実がすでに理解できない。とにかく腹ごしらえをしようと町に出てみたけれど、レストランその他、食物を扱うところがどこにもないのです。
 
 仕方がないので宿泊しているホテルに戻ってホテルのレストランへ。
 
 ところがここもテーブルの上にイスが上げてあって、ひっそりしているのです。

 とはいえ、従業員が一人。イスを下ろしてテーブルを一つ開けてくれました。よかった。唯一できるという”オムレツ”を注文して何とか空腹を満たすことに成功。
 少し元気が出たところで、もう少し町の様子を理解しようと再度外出。ここで運命的な出会いに遭遇するのでした。
 
 私の宿泊先の隣にどういうわけかカラチの町では見かけないSX200とXL250パリダカが仲良く並んで止まっているのだ。そしてメーターバイザーには国籍識別マーク”J”が。後ろに回って確認すると日本の国際ナンバープレート。

 これは間違いなく日本からの海外ツーリングライダー。あるいはその盗難車(?)。とにかくわけが判らず悩んでいる私にはこの2台のバイクが後光が射して見えたものです。
 
 持ち主が現れるのを小一時間待ってみたけれども、現れる様子はない。仕方がないので、手元にあったメモ帳に、是非会いたい旨をしたためてバイクに置き手紙を残すことにしました。
 
 置手紙を見てたずねて来てくれた二人の話を聞くと、彼らはインドにバイクを陸揚げ、そこからネパールを走った後、ヨーロッパを目指す予定だったけれど、そのうち一人は時間を使い果たして、カラチから帰国することになり、その準備を進めているとのことでした。
 
 私のバイクが到着したときに、その梱包を使って送り返そうということで、お互いの利害も一致。私はホテルをチェックアウトして早速彼らの宿泊先へ移住することに。ここに寄寓にもあの広いカラチで偶然にも出会ってしまった日本人ライダー3人の不思議な共同生活が開始されたのでした。

 今考えても、彼らとの偶然の出会いがなければ、あの頃の初心な私はバイクを受け取れたかどうかすら怪しいもの。世の中というのは本当に謎に満ちていると今でも思う出来事ですね。

 その後、彼らの協力もあって、ラマダンの影響で遅れに遅れたバイクの受け取りもスムーズにとはいかないまでも、何とか完了。どうやらようやく本題のツーリングの始まりです。


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