旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

大手旅行会社の格安ツアー

2004年12月09日 | 旅行一般
 年末・年始を含めた今年の海外渡航状況はヨーロッパ方面の異常なまでの不調が印象的です。実際、今でもまだ年末年始、取れますよ。まだ申し込んでなくて諦めかけている人は是非どうぞ。

 ヨーロッパ方面は9月、10月の2ヶ月にわたり、好調な利用者を確保していて、私も今年の9月には何件か手配を完了できなかった屈辱を味わいました。その結果、10月以降の料金は前年の料金と比較して値上げを行うという情報が語られ、実際多くの航空会社が前年より高い水準で料金を設定していたのですが、これは前年、SARS騒動などで極端な値下げを行ったわけですから正常な流れであると言えましょう。

 ところが11月以降、ヨーロッパ方面への渡航者は極端に減少している印象があります。実際、ここ数日の間に欧州系の各航空会社から発表された料金改定やキャンペーンの情報が私の所にもサプライヤーから送られてきており、WEBサイトのキャンペーン情報にもいくつか掲載させていただきました。

 数日前に“ヨーロッパの航空券代がメチャクチャ値下がりしはじめて、何年か前のバンコク往復ぐらいになってるんやで。誰か行きたい人居いひんかなぁ”などという話を、夕食を食べながら妻と少し話していたのです。

 そんな流れがあって、昨日家に帰ってみると、“ホンマに安うなったんやねぇ。こんなん入ってたでぇ。”と妻が某大手旅行会社のチラシを見せてくれました。ちらりと見ると、“スーパーヨーロッパ”、添乗員同行、6日間、\69,800。妻にとっては私の話から大したことじゃなかったようですが、今度は私が驚く番です。“いや、安うはなってるけど、これは安いなぁ。どうなってんのやろう?”

 さすがに大手の旅行会社が作成したチラシだけあって旅行条件その他もキッチリ記載されています。

 “なになに、添乗員同行、スケジュールは・・・2日目に半日観光があって、あとはフリータイム?、添乗員の仕事ないねぇ。現地係員で充分やと思うけどなぁ。利用航空会社は・・エールフランス航空、フィンランド航空、アリタリア航空、ブリティッシュエアウェイズ・・何かグループ向けの特別料金でもあるんかなぁ・・・いや、まだある。・・日本航空、KLMオランダ航空、ルフトハンザドイツ航空、スイスインターナショナルエアラインズ、全日空、オーストリア航空、スカンジナビア航空、アエロフロートロシア航空、ヴァージンアトランティック航空・・・ん??これはアジア系、アメリカ系以外でヨーロッパに飛んでる航空会社が全部書いてあるんとちがう?アエロフロート利用なら料金的には頑張れば可能やねぇ。スイスエアラインズとか、スカンジナビアも可能かもしれんなぁ。でも、JALとか全日空はありえへんと思うなぁ。”

 私自身も旅行会社の広告担当者として毎月旅行雑誌に広告を書いていた事があります。実際にそのツアーを募集し始めてから最終手配を完了するまでの間に航空会社の料金改定などで当初予定していたよりも条件のよい航空会社がより安く手配できるようになったりするケースもあるので、ある程度広告の際の利用航空会社に幅を持たせておきたいものですが、さすがに全部の航空会社を記載した事はありません。

 ヨーロッパまでのフライトだとだいたい13時間~20時間ほどを片道の機内で過ごす事になりますから、6日間の旅程だと旅行全体の大体20%位の時間は航空機内で過ごす事になります。全旅程の1/5です。これはどの航空会社を利用するかは旅の重大な要素の一つだと思うのです。その選択を全面的に旅行主催会社に任せることはできるのでしょうか。

 さて、もう少し読んでみましょう。

「取消料は旅行開始日の前日から起算して30日前からかかります。」

ちなみに30日前~3日前の取り消しは旅行代金の20%。

「確定した航空機の便名や宿泊ホテル名、現地連絡先が記載された確定日程表は、ご出発の前日までに交付します。」

という事は、前に挙げた膨大な数の航空会社のうちで、自分がどうしても嫌な航空会社を利用する事になったとしても、それが前日まで判らない可能性があるという事です。そしてそれがわかった時点で取り消しても20%またはそれ以上の取消料は支払わなければならないという事になります。

 ちなみに、こういった表記方法は私の知る限り旅行業法に適合しています。ただし、これを企画し、募集している側にお客様によい商品を提供しようとしているのか、旅心を持った人間が旅の楽しさを皆さんに味わっていただこうとして作成し、販売しているのかは疑問です。

 それでもやっぱり安ければいいんでしょうか。まあ、主催会社は”大手”。安心ですね。

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