旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

稲作、牧畜、狩猟採集

2005年02月02日 | 旅行一般
 今年はどういうわけかオフロードファンライドのお問合せが多く、各国のガイドたちとも昨年より頻繁にやり取りをしているのですが、それにしても毎回手配するにあたって頭を悩ませるのはみんな辺鄙(失礼)なところをベースとしているため、そこまでの交通機関をどう確保するかという事なのです。

 これは“オフロード“である事が要求する特殊なロケーションと、私自身もオフロードライダーとして、リーダーガイドの腕と、”着いたところがオフロードパラダイス“というロケーションであることにこだわっているために発生することなのですが、それにしても彼らの仕事は不思議といえば不思議な仕事。

 例えば、私が外国人向けにオフロードツアーを生まれ故郷の滋賀県でやっているようなもので、“JR石山駅まで来れば迎えに行きますよ。”みたいな話なのです。我々のイメージでは、海外からライダーを呼んでツアーを運営しようとするとき、どうしてもベースは東京、名古屋、大阪、福岡など国際線が直接到着する都市に設立するのではないでしょうか。

 しかも、カナダのデイブもオーストラリアのビンスも、田舎町の更に郊外に居を構えているのです。ビンスの家の裏庭には野生のワラビーがピョンピョン。デイブのガレージ前には鹿がやってくるし、一昨年はブラックベアーがやってきたのでした。

 そしてこのあたりの考え方の違いと生活習慣や社会の違いを重ね合わせると面白い仮説が導きだされてくるのです。

 私の仮説はズバリ、”米パワー”という事です。つまり、米は偉いという事でしょうか。

 日本だけでなく、多くのアジアの国々では都市への過密と周辺部の過疎という問題を抱えています。一方、カナダやオーストラリアではもちろん同じような問題はあるでしょうが、どうしても都市に住みたいという嗜好は薄いように感じます。ニュージーランドでも郊外に住んでクライストチャーチやオークランドに通勤するという考え方。もっともこれは私のつきあいのある変わり者たちだけの話かもしれません。彼らが今、日本でも流行の“スローライフ”信奉者だとは思えませんが・・・・。

 おそらく、牧畜や狩猟採集を生業としてきた彼らの生活習慣だとある一定の面積で養う事ができる人数が、稲作を生業としている場合と比較して少ないのではないかというのが私の仮説。だから、彼らは常に外へ向かおうとします。その結果、交通手段としてもモータリゼーションも進んでいきます。一方、米パワー文化圏では単位面積あたりで養える人数が多く且つ稲作に適した場所という条件から、過密状態になる事が“可能”となります。移動手段を発達させるよりもむしろみんなが寄り集まる事によって移動不要の社会を形成して行くのではないかと思えるのです。

 こういった違いはその国を旅する上での交通手段の確保にも影響してきます。たいていのアジアの国々では都市内での移動にそれほど苦労する事はありません。(言葉の問題はありますが。)バスなどの公共の交通機関が非常に発達していて、システムを理解すれば思いのままに動き回る事ができます。そしてそこでの思わぬ出会い等も旅の一部として楽しむ事ができるのです。逆にレンタカーなどで動こうとしても交通事情(道路整備状況や交通マナー)が非常に悪くて不便な思いをする事が多いです。

 ところが各自が自動車で移動することを前提としている欧米の国の町では都市内移動が意外と難関。郊外から車で乗り入れてくる人をベースに考えられた町が多いので、なかなか思うように動く事ができません。逆にレンタカーやバイクが強力な機動力を発揮してくれて、日本では考えられないほど快適なドライブやツーリングを楽しむ事ができる事もあります。

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2 コメント

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ご無沙汰してます (へな)
2005-02-04 00:26:13
西オーストラリアツーリングのときは大変お世話になりました。

検索してたところ、偶然ここがヒットしたのでビックリ!

TBさせていただきました。

今、ツーリングレポートのページをHPフェスティバルにエントリーさせてます。

もし、よろしかったら1票お願い致します!
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お久しぶりです。 (eandg)
2005-02-04 09:44:16
へなさんお久しぶりです。詳細な西オーストラリアツーリングのレポート、その後の渡航予定の方に参考にしてもらっていますよ。ありがとうございます。
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