旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅の必須情報

2013年04月05日 | 旅行一般
 私がまだ20代前半の一旅行者だったころ、年代で言えば1980年代後半から90年代前半。その頃はインターネットは無いし、ガイドブックも今ほど多くの国について整備されているわけではなく、ちょっと変わったところへ行こうとしたら情報はほぼ皆無。情報を手に入れようとする場合は、自分がこれから行こうとしている国に行ったことがある人を自分のコネから探し出して...つまり、旅先で知り合った人などから紹介してもらうなどの手段...時間を作ってもらって会いに行くというようなことをしたものです。

 今は情報がとても手に入りやすくなって、Wikipediaにも沢山の国や都市の情報が載っていますし、各国の観光局の公開している情報も、わざわざ観光局を訪れることも無く手に入れることができ、また、体験談もインターネット上に豊富に公開されています。何かと不安な旅行前、どうしてもそういった情報を求めて何時間もネットサーフィンしてしまうかもしれません。

 旅の情報に関しては、過剰な情報は先入観や偏見を自分自身に植え付けるだけで、現地で新鮮な視点を持てなくなるという意味で害にこそなれ得るものは少ないというのが私の考えです。旅の楽しみは”驚き”であったり、あるいは場合によっては”失敗談”でもあるわけですから、予備知識を現地へ確認しに行くだけになってしまうとしたら、何も調べない方がずっと良い旅ができると思います。

 とはいえ、何も調べなくて大丈夫というわけではありません。ただ漠然と自分が訪れる予定の国名や都市名を検索して、多くのサイトを訪れ、役に立ちそうな情報を探すのではなくて、必要な情報と知っておいた方が良い情報をしっかり手に入れたら、インターネットからは離れてその国の歴史や地理や文化の知識を身に着けて、旅をより深みのあるものにするのが一番。漠然と情報収集してしまうのは、つまり、何が必要な情報なのかが把握できていない事から漠然と不安になってしまう結果だともいえます。
 
 事前に調べておかなければならない情報とは何かというと、ズバリ、出入国関連の条件です。たとえばビザ(査証)が必要とか、パスポートの残存有効期限が何か月必要かとか、敵対国の関係(ある国に入国した記録が残っていると、ある国には入国できないなど)。持ち込みが禁止されていたり、厳しい制限が課されている物(食品関係や植物の種などで意外と引っかかります)などなど、この条件は調べておかないと日本から出発できなくなる場合もあるので要注意です。

それから、調べておいて損のない情報は、緊急連絡先。海外旅行傷害保険の日本語救急サービスとか、渡航先の日本大使館や領事館の連絡先などですが、実際にはこれは現地で何か起こってからでもたいてい調べられます。事前に知っていた方がなんとなく、調べた気になるし、安心できるという意味合い。それから、家族など、”身近な人にちゃんと下調べしてあります”的なアピールにも有効です。

 ここまで調べたら、あとは自分が訪れる国の歴史や文化に目を向けましょう。例えば、多くの国の習慣で子供の頭に手をかけるのはタブーとされている事などは知っておいてよいと思います。けれど、少々の失敗は旅の恥はかき捨て的に許される場合が多いので、あまり神経質になることはありません。その国の歴史を少し知っておけば、なんとなく訪れる観光地が、ただ単なる記念写真ポイントから少し違って見えてくるはずです。あるいは、その町を舞台にした映画を見てから行くとか、小説を読んでから行くのも、その町を自分に身近にしてくれます。

 インターネット上には旅の情報があふれていますが、その多くが”お得情報”だとは思いませんか。お得情報よりも、自分の旅をもっと楽しくしてくれる情報や自分の感覚を高めてくれる情報を集めて旅を楽しみましょう。


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