猜疑心

旅をしていると様々な人と出会い、様々な人に声をかけられます。その多くがこちらを観光客、日本人と見抜いていて、何とかそこから利益を引き出そうと考えている場合が多いわけです。

何も詐欺まがいの人が多いわけではありません。お土産物を買ってもらおうと懸命になる人や、自分の働いている宿に泊まってもらおうとする人などなど、その意図するところはいろいろです。そして、そういう人と日々接していると、自分の周囲に現れる人が皆自分をカモにしようとしているような感覚に捉われ始めて、猜疑心の塊になる事もあります。
こういう事が海外旅行は危険とか面倒という印象に繋っているのかもしれませんが、実際には日本にいても同じような事は多々あります。

わざと勘違いさせるような詐欺まがいの営業電話をかけてくる通信関連の事業者の多さには呆れるほどですし、ほとんどの皆さんが目にするであろう1日に大量に送られてくる、いかにもインチキな迷惑メールなども入れれば必ずしも海外旅行が特殊な状況であるとは言えないでしょう。

そんな日々を送っているためか、日本にいても猜疑心に捉われている人を時々見かけるようになりました。手配を任せておくと、わざと高いホテルを手配されるのではないかとか、高額の手配料を別途請求されるのではないかとか、そういった類いの"疑惑"をもって問い合わせや申し込みをいただく事も、たまにあります。こういう猜疑心に捉われている方は逆に手配する側に対して"手の内"を見せないように懸命ですから、手配する側の私としては、何を希望されているのかなかなか判らない事になります。

結局、希望内容が良く見えないまま進める手配など、あまり良い物に繋る事はマグレでない限りないと思いますし、実際、いま一つ希望内容が見えない手配については"無難"な手配で済ませてしまうのが正直な所です。

自分なりの考えをそのまま伝えていただいた方が結局良い手配が仕上ると思うのです。旅行会社にご連絡いただく際には一度、猜疑心を捨ててみてください。きっと多くの場合、その方が最終的には得をするはずです。