旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

思い出と体験

2013年12月26日 | 旅行一般
 旅が良い旅であったかどうかを測る一つの尺度は後になってどれだけ思い出に残っているかという事だと思います。
 
 たとえば日常生活で、通勤や通学や買い物などで外出したとしてもそれを旅として認識する人はあまりいないでしょう。以前、”プチ旅に出よう”という記事で、これらの外出を旅にしてしまう方法を紹介したことがありますが、そういう特別な意識を持っていない限り、今日の通勤の経路上の出来事など、あまり記憶にも残っていない場合が多いでしょう。またある出来事が昨日の事なのか一昨日の事なのかという事になると、ほとんど判別不能なくらい記憶は薄れてしまっているのではないでしょうか。

 これは多分、繰り返しやってくる日常の体験の中での出来事だから印象が残りにくいのだと思います。逆に日常での体験が旅先での体験ほどいちいち自分に訴えかけてきたら、それはそれで疲れてしまうような気もします。

 旅に出る時はそういった繰り返しの日常を一時停止して非日常の中へ入っていくわけですから、そこでの体験が一つ一つ自分の記憶に刻まれていきます。”朝食がとてつもなく美味しかった”とか”夕日がこの世のものとは思えないほど美しかった”といった楽しかった体験はもちろん、”機内食が凄まじく不味かった”とか”言葉が通じなくて苦労した”とか、”バスを乗り間違えてとんでもないところへ行ってしまった”というような困ったり苦労したような体験も含めてすべてが旅の記憶として刻まれていきます。

 旅先で失敗したけれど、それを乗り越えたというタイプの体験は別格で、これは記憶に残るだけでなく場合によっては自分自身のその後の考え方をも変えてしまう位のパワーを持った経験として自分の無形の財産となっていく物でもあります。

 だから、旅先での失敗を恐れすぎて入念に下調べをしすぎた結果、体験が追体験にすぎなくなってしまう事や体験そのものを敬遠してしまうような事にならないように幅広くアンテナを張って、いろいろな事を受け入れられる気持ちや積極的にチャレンジしてみる気持ちをもって旅をしたいものです。

 この年末年始、海外や日本国内で旅に出る人たちは是非とも多くの非日常を体験し、時にはチャレンジもして沢山の思い出を作ってきてください。


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