旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

秘境はいずこに

2007年12月11日 | 旅行一般
私の容貌が成せる技か、はたまた私の経歴が成せる技かよくわかりませんが、E&Gは時々、"秘境専門"とかそういった表現で紹介される事があります。実際にはホームページをご覧いただければわかるとおり、むしろバイクツアーに関しては基本的にモータリゼーションの進んだ国だけをターゲットにするようにしていますし、どこからこういう話が出てくるのか興味がある所です。やはり私個人の容貌かな。

この、"秘境"という言葉、ときどき旅行会社の募集広告にも見られますし、旅行している人たちも、"秘境が好き"とか、そういう表現をする事がありますね。

私個人としては、あまり適切な表現だとは思いません。

だいたい、旅先というのは、よほど特殊な場合を除いて、そこには現地の人々の日常生活が流れているわけであって、そこは秘境でもなんでもありません。日常生活の場なわけです。

日常生活が流れている場所を"秘境"と呼ぶのは、そこで流れている日常に自分が適応できないという事を認めているとも言えますね。

自分達の日常とは異質な文化を持つ場所を秘境と呼ぶのであれば、海外は全てが秘境でしょうし、あまり観光客が訪れない場所を秘境と呼ぶのであれば、カナダオフロードファンライドでベースとしているクランブルックやオーストラリアのインバレルなんかは充分秘境ですが、そういった場所を秘境とはあまり呼びませんね。

秘境という表現の定義はいかにも"あやふや"なものだと言えるのではないでしょうか。

"秘境を旅するんだ"という妙な先入観を持って、その土地を訪れると、いかに自分たちの生活と違うのかという事ばかりに目が行きがちになります。もっと単純に自分の知らない土地を訪れ、そこで出会う非日常に順応する事を意識していれば、自分たちとの違いを意識するよりも、自分たちとの共通点の多さにきっと驚かされると思います。

異国を訪れて、そこの珍しい風俗や習慣を見聞きするのが旅行者の楽しみ。

異国を訪れて、そこの珍しい風俗や習慣の中に込められた、共通の意識に気がつくのが旅人の楽しみ。


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