旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

生産性、効率

2013年04月11日 | 旅行一般
 今のE&Gは1人で運営しているので、ある程度生産性や効率を上げなければ仕事がなかなか進行できないという現状があります。しばらく前、といってももう10年位になるのでしょうが、今よりもう少し忙しかった頃に、時間のやりくりがつかなくなって効率を上げる方法について色々調べて試してみたことがあります。その頃取り入れたいくつもの方法論があってこそ、ここ数年は介護施設と二足のわらじを履きながらでも、何とか業務をこなしてこれたという事が言えるかもしれません。

 一方で、何でもかんでも生産性とか効率を考えるのはどうかという思いも常に頭から離れません。
 
 たとえば、バイクの話。

 最近はあまりバイク雑誌を見ることがなくなったのですが一昔前だと、よく4メーカーの同じカテゴリーの車両の比較インプレッションなどで、”街乗り度”とか”ツーリング度”などで点数をつけて、レーダーチャートみたいにした記事がありました。”街乗り度”は屋根付きスクーターが無敵でしょうから、街乗り度を重視する人はオフロードバイクなんて選ばないでしょうと考えたりしたものです。

 ほぼ毎日バイクに乗る人でツーリングが趣味だとして(しばらく前までの私)、この人がツーリングでバイクに乗る機会は毎週末ツーリングに行くとしても1/6ですから効率だけを追求すると屋根付きスクーターを購入して、比率の少ないツーリングは少し我慢の走りにするのが良いという事になってしまうと思います。もしかすると、皆がビッグスクーターを購入したのはあまりにも生産性とか効率でしか物が判断できなくなった世の中を象徴していたのではないかと感じたりもします。

 月に1回行くか行かないかわからない程度のツーリングで楽しむために、それ以外の毎日を少し不便に過ごせるのがたいていのライダーの気持ちですよね。あるいは、日常での不便さそのものもバイクの”良さ”として楽しめてしまうのもライダーの気持ちでしょう。ここには生産性とか効率というのは完全に無視された感覚がまかり通っていることはなんとなく伝わるでしょうか。

 旅も同じだと思うのです。価格面、時間的効率などのバランスを考えた場合、効率の良い、生産性の高い旅行はギッシリ日程の詰まったツアーという事になるでしょう。美術館なんかも駆け足で見せてくれます。しかし、実際には旅を知っている人ほど高率の悪さや、失敗、予定外でハラハラ、ドキドキする事も旅の楽しみである事を知り、効率の悪い旅にもその旅の良さを見つけることができるようになっていくものだと思います。

仕事の場面で生産性を上げることの究極の目標は、逆に生産性など追求しなくてよい金銭的余裕や時間的余裕を生み出すことにあるはずで、生産性の向上そのものが人生の目標というわけではないはずです。生産性を追求することに慣れすぎないで、そんなもの追求しなくてよい時間を大切にしようではありませんか。


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