旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

情報から自分の知識へ

2013年12月18日 | ライフスタイル
 先日のデジタル、アナログの話に関連して。

 しばらく前まで私はシグマリオン3というPDAを手帳替わりにしていた事があります。それまでバイブルサイズのシステム手帳を使っていた私にとって、住所録をはじめとする様々な情報を放り込んでもどんどん大きく重くなったりしない装置はとても魅力的でもありましたし、人と会う約束などを忘れていても”キンコーン”と知らせてくれるとても便利な存在で、良きアシスタントでありました。今ではこれらの機能は携帯電話に普通に搭載されていますね。

 PDAはその前に存在した電子手帳をもう少し高機能にして、WEBサイトを見たり、eメールの送受信もできるようにすることができる装置で今のスマートフォンにとても似通った存在でした。ただ、その頃の事なのでインターネット環境は基本的に自分で整えてやる必要があって、データ通信用のカードなどを別途契約して使ったのでした。

 PDAはその後、どんどん普及...する事はなく、ちょっとガジェット好きな人の持ち物のような位置付けのまま少しずつ開発が終了。携帯電話にある程度のインターネット環境をこなす機能が盛り込まれるにしたがって次第に各メーカーのカタログからも消えて行ったのでありました。私はPHSデータカードのサービスが終了したため、やはりPDAを使う事を断念、代わりに手帳を使用するというデジタルからアナログへの退化の道を歩んだのでありました。

 PDAがそれほど広く普及することが無かったのに対してスマートフォンはスゴイ勢いで普及していっています。この差をいつも興味深いと思っていたのです。機能としてはそれほど大きな違いがあるとは思えないのですが、カメラと通信環境には大きな差があると思います。

 特に通信環境の違いは歴然。何せスマートフォンはベースが電話機ですからたいていの場所で回線をとらえることができますし、通信回線そのものもPDAを使っていた昔とは比較にならないほど充実しています。インターネットにいつでもどこでも快適に繋がるという意味ではPDAとスマートフォンには大きな差を感じます。

 PDAは自分でコツコツと入力したデータがある程度蓄積して初めて役に立つ存在だったのに対して、スマートフォンはいきなりインターネットから大量の情報を取り出すことができる点が大いに便利という訳でしょう。住所録なんて無くてもSNSに接続すればその場で連絡も取り合う事ができるわけですから、アドレス帳を入力する必要もないのかもしれません。

 確かに情報を入手するという意味ではスマートフォンに限った事ではなくとても便利な時代となったわけですが、情報はいつでも取り出せるようになっていれば良いというものではないと思うのです。それでは本がいっぱい入った本棚を所有しているだけにすぎません。本は読まなければ役に立たないのと同じで、情報は一度自分の中に取り込んで、自分が持つ他の情報と比較したり結合したりといった加工が施されて初めて自分なりの考えに結びつくものですし、あるいはより深い興味へと発展して、さらなる情報を求めたり、何らかの行動に結びついたりして初めて情報がその人にとって役に立ったという事になるのだと思うのです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿