橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

ちと残念だった「ボーイスカウトの祭典・日本ジャンボリー」食育・環境はいずこに

2010-08-09 18:45:48 | 日々のつぶやき

この週末は、忙しかった。
土曜日は、富士山の美しい静岡の朝霧高原で行われたボーイスカウトの全国大会、日本ジャンボリーで行うとあるイベントのお手伝いに行った。 第15回日本ジャンボリーのサイト
普段接しない子供達との作業はとっても有意義な体験だったのだが、ひとつだけ引っかかる事があったので、指摘しておきたいと思う。

「引っかかる事」というのは「食事」である。

作業の相間の昼食は主催者から支給されるというので待っていたら、届けられたのは、某大手製パン会社製のビニールの袋に入った食事パン2つとペットボトルに入ったオレンジジュースだった。それも果汁30%のやつ。
私たちスタッフだけならまだしも、スカウトの子供達の昼ご飯もこれだという。
私はこのジャンボリーの最終日1日のみの参加だからいいが、子供達やほかのスタッフは一週間をここで過ごす訳だ。

夜は材料が支給されて自炊をしていると聞いたが、ジャンボリーのホームページに掲載されている食事風景の写真は、パンやバナナを食べている子供たちの写真がほとんど。

そこで、ググってみたら、ジャンボリー中の食事メニューと作り方の注意の書かれたファイルが見つかった。
 
それを見てみると、お昼ご飯は、この製パン会社のパン&ゼリーみたいな組み合わせと個別包装おにぎり&魚肉ソーセージ+チーカマの組み合わせが交互に登場。
夕食も、レトルトパックの牛丼や中華丼、湯煎にするハンバーグや冷凍のシュウマイや餃子など。たまに焼肉の日があるなどしたが、基本的に調理済みのものを過熱するだけの作業がほとんどのようだった。

なぜか、皇太子殿下が訪れた初日の夕食には、野外調理の定番である‘レトルトではない’カレーがメニューに登場。子供達はジャガイモや人参、タマネギを切って調理した。この風景は新聞記事にもとりあげられている。
中日新聞の日本ジャンボリーの記事

これってどうなんだろう。

ボーイスカウトの理念からすれば、昨今よく耳にする「食育」ということも必要なのではないかと思うし、自然環境を考えるということは、その理念にも歌われている。
なのに、子供たちの食事風景の写真には、パンのビニールの空き袋や、空のペットボトル、食器も使い捨てのものが写っている。使い捨てにしないために、紙かプラの容器に薄いビニール袋を被せて使っている写真も見かけたが、それもビニールゴミが出る訳で本末転倒。

添加物とビニール袋に溢れた食事ばかりを一週間食べ続けたんじゃあ、ほかにどんな有意義な体験をしても、それは相殺されてしまうのではないだろうか。ここまで便利病は進んでいるかと思って愕然とした。

もはやこんなことを言っている私が古い人間なのか??
いやそうではないと思う。

こうした便利食は、本当に忙しくて、ご飯ゆっくり作ったり食べたりしてる時間がどうしても無い場合の最終手段として利用すればいいもので、ましてや、子どもの教育の一環であるスカウトのイベントで多用するものではないのではないだろうか。

一日目カレーならば、なぜ2日目豚汁ではいけないのだろう。いも炊きとか、炊き込みご飯を炊いてみてもいいだろうに。

やはり、スポンサーとなっている企業の用意できる材料にメニューは左右されるのだろうか。今回、前述の大手製パン会社のほか、ある牛丼チェーンもスポンサーとなっていたようだが、湯煎のハンバーグとか牛丼とか、肉のメニューが多いのはそのせいと思われる。

1週間のジャンボリーの間、子供達は驚くほど沢山のイベントメニューをこなし忙しそうだった。私たちが行ったイベント中も、引率者は次のイベントの時間の心配をしていた。
そんなんだと、ゆっくり食事の準備をする時間も無いのだろうなあとは思ったが、あんなビニールゴミを沢山生む食事をするくらいだったら、イベントの数を少し減らしてでも、生ゴミしか出ない野菜やお肉を使った手作りメニューをいろいろ作らせた方がよっぽど勉強になるんじゃないかと思う。
朝の残りご飯で握ったおにぎりを昼用に持っていく場合は、腐敗防止に必ず梅干しを入れるとか、そういう知識こそ重要なんじゃないだろうか。

ジャンボリーのプログラムには「もったいない」という項目もあるのに、なぜこんなことになるのか理解に苦しんだ。

こうした食事に対する違和感は、スタッフの食事にも感じた。
私は1日の日帰り参加だったので、スタッフ用の夕食はとらない予定だったが、
帰りのバスが渋滞で到着が大幅に遅れたため、その間に、余った食券で夕食を食べさせてもらえる事になった。
学食みたいなものと聞いていたが、メニューの見本として並んでいたのは、例の牛丼チェーン提供のレトルトベジタブルカレーとサラダの組み合わせか、焼きそばとアメリカンドックの組み合わせ。
ここまできてチェーン店のレトルトを食べるのもなあと思い、また、ここはかの有名な富士宮焼きそばの本場だし、と思って焼きそばを選んだが、これが大失敗だった。
麺はのびきり、さらに短く切れ切れで、ソースは乾き、食感はモサモサ。
贅沢を言う訳じゃないけど、これはマズいと思った。でも、捨てるのも忍びないので、無理して食べた(少しいっしょにいたスタッフが食べてくれました。)そして、これが白いご飯とたくわん、あったかいみそ汁だったらどんなにか嬉しいだろうと、口の中いっぱいになった焼きそばに涙目になりそうになりながら思った。

出されたものに文句は言うまいとは思うし、基本的にあまり言わない方だと思う。しかし、なぜこの豊かなはずの現代の日本で、こうした食事が供される事態になってしまうのか?ということを言いたくて、あえてこうして文句を言っている。
多分、富士宮といえば焼きそばだからという親切心で選ばれたメニューなのだとは思う。でも、大量に作って作り置きというのは、やはり焼きそばというメニューにおいては無理があるのだ。限られたスタッフと予算でなるべく美味しいものを提供しようとしたら、自ずとどういう種類のものなら作り置きが可能で、長時間おいしく食べられるかも絞られる。
せっかくの富士宮焼きそばも、ここまでマズく変質してしまうと、マイナスの印象しか残らないのではないだろうか。
調理の方たちは一生懸命、大量な食事を作って供してくださっているのに、こういう感想しか持てないのは悲しい。食堂には沢山の人がいて活気があるはずなのに、なんとなく本来の活気が感じられなかったのは、この食事のせいではないのかと思えた。

供されたものを文句を言わず黙々と食べるというのはある意味美徳である。
しかし、同じくらいのコストと労力で、疲れたスタッフに、よりホッとする夕食を届けられるとしたら、それはそちらの方がいいのではないか。
本当にいいものを出せと言ってるのではない。おにぎりと沢庵だけでもいいのだ。具がネギだけでいいから、みそ汁がついたらなお嬉しい。
一日野外で働いて疲れた身体に、どういう食事が嬉しいのか、もっと想像力を働かせて欲しいと思うのだ。

行われている事の優先順位は、スポンサーの都合であり、会場の都合であり、食事によって働く人をねぎらおうという気持ちは、その次あたりになっている気がした。

文句言いついでにもうひとつ。
食事会場には、箸は基本的に置いていなくて、皆、マイ箸を持参していた。
私は、当初夕食を食べる予定がなかったので、予備で置いてある割り箸をもらったのだが、その時に、「次はマイ箸持ってきてくださいね」と注意された。まあ、それは当然。
しかしだ、配膳される食器は全部紙製の使い捨てだ。
さらに、これが最も突っ込みたかったのだが、食事を運ぶめいめいのトレーの下には、よくファーストフード店で敷くような、紙のランチョンマットが敷かれていた。これは食事が終われば、捨てられる運命にある。
何の為にそのシートを敷くのか?

そこには、スポンサーの製パン会社の製品の紹介が印刷されていた。
マイ箸を持ってこいという一方で、こうした無駄を行うこのダブルスタンダードに、なぜ主催者は矛盾を感じないのだろうか。

普段はあまり接する事の無い子供達といっしょに有意義な時間を過ごし、本当にいい体験ができたと思っているのだが、この食事の問題を考えると、このいい思い出が、なんだか台無しになってしまう。

2015年には、日本の山口県で世界のスカウトジャンボリーが開催されるらしいが、大企業にスポンサードしてもらったとしても、もう少し、その使い方を考えて欲しい。
大規模なイベントだと、なかなか「手作りで」というのも難しいというのなら、別に大規模なものなんてやる必要はないのではないかとも思う。政府だって中央集権の時代から地方分権の時代に移行せざるを得なくなっているのだから。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (本部奉仕者)
2010-08-10 13:51:00
ご意見ごもっともだと思います。
大会本部を擁護する気など毛頭ありませんが,食材供給について。
かつては,食材供給で自炊でした。
その際,聞いた話は,ジャンボリーを開催することにより
その地の市場が大混乱をきたすこと。
ジャンボリーは統一メニューのため,数万人が同じ食材を必要とします。
たとえ数十万人の食材を供給する市場があっても
平時は,2万人が同じ夕飯を食べる可能性は
少ないです。
よって,事前に準備できるレトルトが,地元の皆様への影響を減らす手段のようです。
今回,救護所の奉仕でしたが,毎日数百人の患者が訪れ,外部医療機関への搬送で,診療に支障をきたした例も報告されています。

2万人が空き地に終結し,環境維持など元々無理なテーマではないかと思います。

返信する
情報ありがとうございます (yurys)
2010-08-10 16:16:28
でも、だとしたら、本当に2万人ものキャンプをやる必要があるのでしょうか。疑問を感じました。地方分権の時代ですしもう少し小さなブロック単位でやって、交流会も個別にやればいいんじゃないかなあという気がしました。大きいイベントをやるために、そもそものスカウトの精神を逸脱してしまうのはなんともやるせないです。
返信する

コメントを投稿