さて、救急車に乗って病院に到着したのが、午前3時過ぎでした。
待つように言われた場所は、主人が入った処置室から少し離れた所にある、5、6人も座ればいっぱいの小さな待合室。
隣も椅子が置いてある同じような待合室になっているようですが、電気がついておらず真っ暗。中途半端な奥行きの壁で仕切られているので、その隙間から隣の部屋が目に入るのです。
自動販売機もなく、入口に面した廊下も薄暗く。
見ないでおこう、見てはいけない、と思うのですが、どうしても気になって目が勝手に暗闇に向かってしまう。
半透明の人が座っていたら、どうしよう?!
などと思いながら、ついつい目がいってしまう。
座っているので、奥の方は見えないけれど、立ち上がって覗こうと思えば覗けます。
いかん、いかん、と携帯を取りだし、気を紛らわせていました。
と、その時『看護師の◯◯です』と、ガタイの良い男性看護師さんが書類を持って来て、今処置中だけどあと1時間位かかりそうなことや、書類の内容や記入の仕方等を説明してくれたのですが、彼は緊張の面持ちで話を聞く私に、説明のあと目を見て微笑み、私の肩をポンポンと軽く叩きながら言いました。
『大丈夫よ』
……ん?
後編に続く