昔はどこにでもあった商店街。
自宅近くの商店街は去年の夏、最後の一軒が閉店し、現在解体中。
何年後かに店舗、オフィス、マンションの集合したビルになるのだそう。
勤務先の近所の商店街は、かつては本屋、風呂屋、肉屋、金物屋、夜は立飲み屋にもなる酒屋。
豆腐屋、写真屋、果物屋、和菓子屋、鮨屋、惣菜屋、お好み焼き屋、クリーニング屋に服の直し屋。
駄菓子屋、煙草屋と、かなり賑やかでした。
けれど今は、酒屋、和菓子屋、惣菜屋、お好み焼き屋、クリーニング屋、服の直し屋の6軒だけになってしまいました。
一人暮らしをしていた時は、夏の暑い日、会社の帰りに風呂屋に飛び込み、そのあと酒屋で一杯飲って帰ったりしたことも。
本屋はかなり偏った品揃え(ホラー、ヤクザ本、エロ系)で、真っ先に閉店してしまった。
お好み屋は閉店こそしていないものの、営業は月曜から木曜の昼間のみ。盆と正月はそれぞれ1カ月以上休みです。
その代りスーパーやコンビニ、ファーストフード店が増えました。
大抵のものは何時でもどこでも買えるようにはなりましたが、商店街にあってスーパーやコンビニには絶対ないものがある。
商店街恋しや……と常々思っています。
そんなある日、仕事でお客様のところへ行った帰り道、ぷぅ~んとお出汁のいい匂いが漂ってきました。
これはまさしく、うどん屋の匂い。
匂いをたどって行くと、年季の入ったのれんの小さなうどん屋がありました。
そしてふと見ると、その先に商店街があるではありませんか!
たいして長い距離もないその商店街は、それでもお昼前の買い物客で賑わっていました。
八百屋に果物屋、店先でコロッケを揚げている肉屋のほかに、漬物屋のとなりは味噌屋です。
その隣の豆腐屋で、湯葉入り豆腐と汲み上げ湯葉を買いました(湯葉が好きなのです)。
自家製たれ20円(この値段が泣かせる)は、おまけでつけてくれました。
初めて来た、そして次はいつ来るかもわからない、フリの客にもこうしておまけをつけてくれる。
スーパーやコンビニには絶対できないサービスです。
見るとほとんどのお店が1階がお店、2階が自宅といった佇まいです。
安さとサービスの訳は、こういうところにあるのかもしれません。
いいなぁ、いいなぁ、本当はもっとゆっくりいろんなものを買いたかったけれど、これでも一応勤務中。
後ろ髪を引かれる思いで、豆腐と湯葉を抱えて帰りました。
味は思った以上に、美味しかったです。