中野笑理子のブログ

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本を読むことは

2018年08月19日 | 日記
今の私にとって読書は、ある時は憧れ、ある時は現実逃避、探求、娯楽と、その時々によって違うけれど、もしもこの先、スマホが使えなくなるのと紙の本を読めなくなることのどちらかを選べと言われたら、間違いなくスマホを手放すと思います。

そんな私は小学生の頃、夏休みの課題図書を読んで読書感想文を書くというのがとても苦痛でした。
課題図書は戦争の話や教訓めいた話が多く、その頃の私は読んでも読んでも内容が頭に入らず、最後まで読むことを頭が拒否してしまっていたのでした。

それまでは「いやいやえん」や昔話や童話などが好きな子供だったのですが、学校の先生が勧める本を面白いと思ったことがなかった。
ある日、図書室で「少年のブルース」というちょっと不思議な話の短編集を見つけ読んでみたら面白くて、自分の読みたい本を探す楽しみを知ったのでありました。

それからは母が読んでいた小説や雑誌を読んだり、父親が買ってくる夕刊フジに連載されていた川上宗薫や宇野鴻一郎の官能小説を読んだりしていくうちに好きな作家さんができて、中学生の頃は友人と本の貸し借りをしたり図書館に通ったりして、読書の愉しさを知り活字中毒者になりました。
池波正太郎さんの本に出会うのは、まだ先でしたが、今思うのは中学生の頃に池波作品に出逢えていたら、ということです。

画家の安野光雅さんがインタビューで、絵が上手くなりたい子供に何かアドバイスをという質問に対して、本をたくさん読めばいいんじゃないかな、と答えられているのを読んで、けだし名言、と思いました。

中学3年間、剣道部だったのですが、毎日練習をして試合に出ても、そのコツというか、どうしたから勝てるのか、ということがわからないままの3年間でした。
近畿大会まで行っても、その頃の私は技術的なことばかり考え、剣の精神のようなことをまったく理解出来ていなかった。

大きくなって池波作品を読み、中村吉右衛門さん演じる長谷川平蔵や藤田まことさん演じる秋山小兵衞の時代劇を見て、初めて剣の心得のようなものを理解することが出来たのです。
あの頃、これを知っていたら、もうちょっと強くなれていたかもしれないなァと、今になってしみじみ思います。

今まで読んだ好きな本や、これから出逢うまだ読んだことのない本のことを思うだけで、この先まだまだ知らない愉しみがあると思うと、もっともっと色々な本を読みたいと思うのでありました。