祈りの塔が設置されました
12月21日 祈りと供養のしるべ 開眼法要
ロケット技術と東京駅の雄勝スレートが支える慰霊供養墓
発願から完成まで二年間もかかりましたが、納得いくものが出来ました。
設計士さん方と智慧を絞ったのは、犠牲者と不明者のあわせて18千もの数を、どのように表現するかでした。
東京駅の屋根にも使われた、特産のスレートを使うことは最初から決めていました。
当初は縦に差しこむように並べるデザインでしたが、「冬場に水が入ったら凍って割れてしまう」との
現地施工業者の指摘でで、上部は屋根のように、そして周囲は若干傾斜をつけて積み重ねました。
また、ここは墓地の一部にもなっていることから、この建物の内部は納骨もできる
納骨堂としての機能も果たします。
と言うのは、あるお年寄りから
「私たちは、津波でお墓も流され、家族も失った。高齢で入るお墓もない」
という電話を頂いた事がきっかけです。
墓を再建するにも経済的負担もあります。何より頼りの家族もいない。
さらに、高齢で亡くなった時に墓がないというのは、別の意味での不安です。
これは震災の二次的被害の何物でもないでしょう。
このようなことで、震災関係で高齢かつ経済的困窮者に対しては、
希望があれば無料で納骨できることにしました。
手前の扇型の金属板は、ロケットの先端部分を加工する技術が施されています。
東京の特殊な加工業者さんによる、シボリという技術が使われています。
雄勝スレートの伝統的な屋根ふき技術と、宇宙工学がギュッと詰まった慰霊碑でもあります。
鎮魂の桜の森の構想に、祈りの塔(モニュメント)を寄贈していただくことになりました。
施主は㈱アドビジョン銀座の会長 東本三郎さんという方です。
3.11を決して風化させないという趣旨で、デザインは日本を代表とするグラフィックデザイナーの浅葉克己氏。
それを鉄のアーティスト小谷中清氏が形状化しました。
高さ3.8Mのモニュメント、その土台を設置したという写真です。
また周辺の駐車場も同時進行ですっかり整備されてきました。
東本さんは復興と再生を祈る塔を建立したいと、以前から被災地で相応しい場所を探されていたそうです。
その件を雄勝復興に携わる立花さんという方から紹介され、今回の建設となりました。
東京から、そして全国から、祈りと思いがここ、被災地のどまんなか、石巻の桜の森に集積してきました。
そして、ここから祈りを世界に向けて発信していこうと思います。
「積善の家には余慶あり」・・、功徳を積む・・
という言葉があります。
また、ひとつ積んでは父のため、二つ積んでは母のため(地蔵和讃)のように
積むという言い方は、重ねるという意味や、蓄えることなど
良い意味に使われることが多いようです。
震災の不明者も数えると18487人にもなりますが、この建物もざっと数えてスレート2万枚近くになります。
このスレートも屋根に使われた後廃材になったものを、泥や埃を落として綺麗にして再生しました。
ちょうど坊さんのお袈裟も、一度捨てられたものを縫い合わせ、パッチワークにしたものが原型です。
捨てられるものを再生する、ということが”尊い”のです。
そこがまさに積善となり、祈りと供養の核心部分となり、供養を積むことに関係してきます。
上の左の写真は、見事整然と積み上げられた雄勝スレート石。
真ん中写真は、このモニュメントに志納してくださった方々の名前を記入し、屋根部分に使います。
右は屋根部分の梁(はり石)と内部の納骨スペース
作業担当している”何でも企画”の小野寺さんによれば、作業は困難を極めているようです。
本当なら、11月11日完成予定でしたが、12月中旬に延期です。
ひとつ積んではなくなった方々のため・・、丁寧に進めています。
年3回の下草刈り作業、勤めていただくのは地元観音寺の檀家さま。
2時間半の作業の最後は、見晴らしのいい森の中腹で冷たいビールで乾杯!?
もちろんノンアルです。
これがまたうまい。
最近のノンアルビールは本もの飲んでいるような錯覚を感じます。
みなさん、本当に有難うございました。