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今日は晴れのち曇り。カーテンの外が明るくなっているのに気付いて、目が覚めたのは9時過ぎである。カーテンを開けると、上空には大きな雲があちこちに浮かんでいるものの、青空が広がって強い日射しが燦々と降り注いでいて、外の風景が眩しく感じられた。
午前中に比べて、午後は少し雲が広がってきたようだ。昼間の最高気温は31℃で、2日連続の真夏日となった。北よりの風が吹いていて、午前中よりも湿度が下がってきている。太陽が雲に隠れて、日射しが幾分弱まってきたものの、蒸し暑くて厳しい暑さとなった。
今日は1人で夕食を食べることになっている。家で何か作ろうという気にはなれないので、外に食べに行くことにした。午後になって、電車に乗って一旦、豊田駅に行き、イオンモール多摩平の森に寄った後、再び電車に乗って、今度は立川駅に行く。
今日は土用の二の丑の日だが、一応、先日これを先取りしてうな丼を食べた。だから、今日は別に鰻を食べなくてもいいか、とは思ってみるものの、やはりあらためて今日は鰻を食べたい気持ちにそそられる。
何の気なしに、駅北口にある伊勢丹 立川店に入った。エレベーターで8階に上がり、レストラン街「イートパラダイス」に入る。レストラン街の中の一角にある風流日本料理「歌行灯 立川店」の店先には「【夏の土用の丑の日】7月21日(火)・8月2日(日) 歌行灯の国産「鰻」」と書かれた看板が設けられていて、国産「鰻重」、国産「鰻丼」のメニューと写真が掲げられている。
この看板に吸い寄せられるように店の前まで来てしまった。これはもう食べるしか無いだろう。今年の夏はたっぷりと滋養を付けて、夏バテだけでなく、新型コロナウイルス感染症にも打ち勝つ必要がある。意を決して店の中に入った。
店内は入口から見て右手に厨房があり、左手に小上がりが設けられていて、4人掛けのテーブル席が設けられた座敷の個室が2室と、4人掛けのテーブル席が1卓と2人掛けのテーブル席が1卓設けられた個室が1室、4人掛けのテーブル席が2卓設けられた個室が1室ある。厨房のある右手奥には4人掛けのテーブル席が2卓配された半個室が3室ある他、4人掛けのテーブル席が5卓配されている。
出てきた店員に案内されて、半個室のテーブル席に腰を下ろした。新型コロナウイルス感染症対策で、4人掛けのテーブル席の内、対角線上の2席にそれぞれ敷紙が置かれていて、その上に箸置と箸が置かれている。テーブルの隅にはコールボタンが置かれていた。
席に座ると、温かいほうじ茶ととうもろこしの煎餅、温かいおしぼり、マスク入れの紙袋が置かれ、更にメニューが置かれた。もう心は決まっているのだが、一応メニューを開く。
メニューは「松阪牛すき焼き膳」「松阪牛すき焼き」「松阪牛しゃぶしゃぶ」「松阪牛すき焼きコース」「松阪牛しゃぶしゃぶコース」といった各種松阪牛の料理やコースに加え、「彩菜御膳」「海鮮ちらし御膳」といった各種セットメニューと各種「揚げ物」「お刺身」「サラダ」「お手軽一品」「松阪牛料理」「季節メニュー」といった一品料理、ハイボール、ビール、日本酒、レモンサワー、焼酎、梅酒、ワイン、ソフトドリンクで構成されている。
これに加えて、8月限定「8月ゑびす膳」、夏期間限定商品「穴子せいろご飯膳」「紅ズワイ蟹いくらせいろご飯膳」の他、桑名の「蛤」フェアとして「焼蛤「蛤天ぷら」「蛤フライ」「蛤と伊勢芋磯部揚げ」「蛤うどん」「すだち香る蛤と真鯛の冷やかけ」「蛤ゑびす膳」「蛤会席」があり、その他に「鰻ひつまぶし御膳」「鰻重」「鰻丼」がある。
メニューを見ていて、迷いが生じた。食べようとしていた「鰻重」は「鰻重」の他に小鉢、肝吸、香の物がつく。また、今日までの期間限定でワンドリンクサービス中となっている。一方、「鰻ひつまぶし御膳」は「鰻ひつまぶし」の他に出汁、酢の物、茶碗蒸し、薬味、漬物、肝吸い、甘味が付く。なんだかこちらの方が充実している。
そこで、予定を変更して「鰻ひつまぶし御膳」を注文することにした。ひつまぶしのご飯は大盛に出来るとのことで、ご飯大盛で注文する。更にスマホにぐるなびの「カンパイ!ワンドリンクサービス」クーポン券を提示してドリンクをサービスしてもらうことにした。このクーポンで注文できるドリンクは「グラスビール」「ウーロン茶」「オレンジジュース」の内から1品とのことなので、「グラスビール」を注文する。「グラスビール」は料理と一緒に持ってきてもらうことにした。
しばらく待っていると、料理が一式トレーの上に載せられて運ばれてきた。トレーの中央には「鰻ひつまぶし」のお櫃が置かれていて、その手前に3種類の薬味が置かれている。薬味から時計回りにレンゲの入った空のお茶碗、小鉢、甘味、茶碗蒸し、山椒、肝吸いが置かれている。更に、グラスビールと出汁が運ばれてきた。
出汁は土瓶に入っていて、民芸コンロに載せられている。火が消えたら、皿に下ろして下さいとのことである。
さっそく「鰻ひつまぶし」のお櫃の蓋を開けてみる。お櫃の中にはご飯が盛られていて、その上に鰻のタレが適量かけられて、愛知県産の鰻の蒲焼きを刻んだものが6切れほど入っている。
薬味は左からミツバを刻んだもの、あられとおろしワサビ、刻み海苔である。
小鉢は酢の物で、キュウリとワカメの酢の物に鰻の蒲焼きの小片が2切れ載せられていて、スライスレモンの一片が添えられている。
茶碗蒸しは中に鶏肉と椎茸の小片、焼き蒲鉾のスライスの小片が2切れずつと小エビ、銀杏が入っていて、表面に刻んだミツバを散らしている。
肝吸いは鰻の肝が入っていて、刻んだミツバが散らしてある。
甘味はわらび餅で、黒蜜がかかっている。
山椒は竹の容器に入っている。
まずはおしぼりで手と顔を拭いた。そして、グラスビールで独り乾杯。ビールはサントリー ザ・プレミアム・モルツのようだ。外でビールを飲むのは5ヶ月ぶりである。家の中でもアルコールを飲んでいなかったので、アルコールを飲むのは3ヶ月ぶりである。久しぶりのビールは胃袋に染み渡るように、冷たくて美味しい。
酒の肴に酢の物を食べることにした。箸を取って、酢の物の上に載せられた鰻を食べる。鰻は少し身が薄めだが、甘酢を吸ってジューシーで美味しい。鰻の白身の淡泊な旨みにタレと甘酢の甘さが加わって、あっさりとした美味しさである。塊に見えたキュウリには隠し包丁が入っていて、やはり酢をたっぷりと吸って、ジューシーで美味しい。ワカメも肉厚で歯応えがあり、酢の物にボリューム感を与えている。レモンのスライスも食べてしまった。
更に茶碗蒸しも食べる。
茶碗蒸しに添えられた匙を使って茶碗蒸しを食べた。ふわふわの食感の茶碗蒸しは滑らかな舌触りで、玉子の甘みにダシの旨みが加わって美味しい。茶碗蒸しの中に入っている鶏肉は柔らかくて、ジューシーで美味しい。プリプリとした食感の小エビに銀杏の柔らかい歯応えがアクセントになっている。椎茸と焼き蒲鉾が脇役を固めていて、美味しかった。
茶碗蒸しを食べてしまうと、ビールの入ったグラスも空になった。ここで、肝吸を少し飲んだ。ダシが濃い肝吸は、アルコールが染み渡った胃袋を優しくリセットするかのようだ。旨みが濃くて、どっしりとした味わいである。中に入っている鰻の肝は、柔らかくて美味しい。肝吸いを半分ほども飲んでしまった。
いよいよ「鰻ひつまぶし」を食べることにする。セオリーに従って、まずはお櫃の中のご飯を3等分すると、まずは3分の1のご飯を茶碗によそった。鰻は6切れあるので、2切れをその上に載せる。そして、まずはそのまま鰻を味わうことにした。
愛知県産の鰻ということだが、先日の鰻に比べると、身が少し薄いようだ。甘辛いタレがかけられたウナギはそれだけでも存在感があって、しかもご飯と一緒に食べると美味しい。ご飯は少し硬めに炊かれていて、口の中でパラパラとほどけて、タレと絡み合い、鰻の身と手と手を取り合うようにして喉の奥に消えていく。お茶碗の中はあっという間に空になってしまった。
空になった茶碗に再び3分の1のご飯を茶碗によそい、更に鰻を2切れ載せる。これに山椒をたっぷりとかけて、再び、鰻を食べる。
ふっくらと焼かれた鰻は、白身の甘さに甘辛いタレが絡み合う。山椒のピリリとした辛味がアクセントになっていて、鰻の旨みを引き立てているかのようだ。思わず、ご飯をかき込み、鰻を食べる。2杯目のご飯もあっという間に空になってしまった。
空になった茶碗に残りのご飯を全て投入する。ご飯の上に鰻を載せると、鰻の上におろしワサビを載せ、鰻の周囲に3種類の薬味を配した。
これに土瓶に入った出汁を注ぐ。土瓶の蓋を取ると、茶色い出汁が湯気を立てて入っている。
これをワサビの上からゆっくりと注いだ。ミツバの緑色につぶつぶとしたあられが出汁に浮かんでいる。
鰻の出汁茶漬けを食べる。旨みの濃い出汁を吸った鰻はジューシーな味わいで、しかも鰻の旨みを引き立てるかのように出汁の旨みがいい役回りを演じている。あられはほどよく出汁を吸って、ジューシーな食感とサクサクとした食感が入り交じっている。ミツバの風味に出汁を吸った海苔がご飯に絡み、おろしワサビの辛味がアクセントになっていて、なかなかの食べ応えである。
お茶漬けはあっという間に無くなってしまった。空になったお茶碗に土瓶に残った出汁を注ぐ。
薄い茶色の出汁をそのまま飲み干した。出汁の濃い旨みが口の中に広がった。続けて肝吸を飲む。鰻の余韻がまだ感じられる中でのフィニッシュである。残った肝を食べてしまうと、お吸い物を飲み干した。
最後に甘味のわらび餅を食べることにする。湯呑みの中に入っていたほうじ茶は無くなってしまっていたので、ほうじ茶のお替わりをお願いする。すると、ほうじ茶の入った土瓶が運ばれてきた。
土瓶からほうじ茶を湯呑みに注ぐと、最初に食べ忘れていたとうもろこしの煎餅を食べることにした。小器に入ったとうもろこしのせんべいは小さいものの、厚みがあって、1枚でなかなかのボリューム感である。北海道十勝産の生とうもろこしを国内産うるち米100%のせんべい生地に練り込んでいるとのこと。軽い食感ながらも、とうもろこしの甘味がほんのりと感じられて美味しい。
続いて、わらび餅を食べる。
わらび餅は歯にまとわりつくようなねっとりとした歯応えで、わらび餅にかけられた黒蜜の甘さが口の中に広がった。わらび餅を食べると、最後に熱いほうじ茶をもう1杯飲んで完食。美味かった。満足である。
卓上に置かれた伝票を持って、席を立ち、入口脇のレジで代金を払う。ふと、レジ脇の看板に目が行った。看板には「鰻ひつまぶし」の写真と料理内容が書かれている。その中に「漬物」の文字が入っている。考えてみれば、今日食べた料理の中に「漬物」は無かったな。しかし、会計の際にそれを指摘するのも気が引けた。結局、見なかったことにして、店を出た。
伊勢丹立川店を出ると、立川駅から中央線に乗って日野駅に向かう。既に日没の時間は過ぎているはずだが、まだ空は少し明るかった。上空には雲が広がっていて、雲の切れ間は見えなくなっていた。駅から家路を歩いて行くと、近くの幼稚園の園庭に生えている木からセミの大合唱が聞こえた。
家に着くと風呂を沸かして、湯に入った。この土日は仕事を家に持って帰ってきて、いろいろと仕事を進めるつもりだったが、結局あまり出来なかった。明日は忙しくなりそうだ。