『DQXエンドレス・ラブ』①
前回
『エンドレス・ラブ』置時計⑪
<二年⑫>
「ジェイド!」
「ジェイド!」
デヴィッドは二年間、療養所にいました。
「限界だ!もう!ここにいたら頭がおかしくなる!はやくここから出して」
「デヴィッド、いいか、先生が言うには…」
「先生じゃなくて僕の話しを聞いてくれよ!」
「デヴィッド、落ち着くんだ」
「デヴィッド、おねがい分かって…」
「わかってないのはどっちだ!」
「なんで僕の話しを信じてくれないんだ!ふたりとも医者と弁護士ばかり信じて!たった1度でいいから僕を信じてよ!自分の息子を」
「ここにいたら、いまに僕は殺される」
「なに見てんだ!レナード」
「あっち行ってろ!」
「ほら、見てよ!こいつをつれて帰りたい!こんな風にしてもいいのか?」
「僕もいずれこうなっちまうんだ!」
「頼む、おねがいだからだしてくれ!もうこれ以上1日だって耐えられない!ここでの2年間がどんなものかぜんぜんわかってないんだ!」
「お願いだからだしてよ…」
「あんなに苦しんで!あなた、なんとか助けてあげて」
「ううううーうううううう…」
デヴィッドは泣きながら、両親に療養所から出してほしいと頼みました。
りりりりーン…
「もしもし、あら、マーガレット!今、帰ってきたところよ。デヴィッドは元気よ、もう大丈夫…」
「・・・・・」
「いえ、違うわ。なんとか家に連れ戻すことができたの。アーサーが病院に話しをつけてくれたのよ」
「え?あーそれもまったく心配いらないのよ。でも保護観察中だから旅行とか車の運転とか、まだできないんだけどねー…シカゴから出らないにしても、執行猶予がついてほんとによかったわ」
「あー気にするな、もう大丈夫だ」
「週末はゆっくりしよう。それで、月曜日から新しい生活だ。1週間もすれば新しい友人もできるし、自然に忘れられるさ」
「何を?」
「昔のことさ」
「無理にとは言わない。お前の大切な思い出だからな…」
「1度だけあった…」
「ふたりで砂浜を歩いてて、手を振ってくれた」
「あの光景は一生忘れられんよ」
「だが終わったんだ。一家はニューヨークか?どこかへ引っ越したよ。分かるな…」
「すべては過去だ」
「思い出は誰にも奪えん…だが二度と戻らないんだ…」
「今も彼女を愛してる」
「デヴィッド?もう彼女の心はお前から離れているんだ」
「今さら幻を愛し続けてなんになる?」
「幻じゃない」
「彼女から1度だって電話も手紙もなかっただろう」
「病院が僕の手紙を止めなかったら、返事だってくれてたはずだ。僕が嫌いになったと誤解してるかも…」
「いいか、もう彼女を解放してやれ」
「イヤだ、できない」
「初恋は忘れられないと言うが、それはちがう。私がいい例だ」
「私と母さんは、今別居中だ。もう6週間になる…」
「お前が心配すると思って、今まで黙ってたんだ。今はバーバラという女性と住んでる。彼女を愛してる。実をいうと、お前たちを見てたら、思い出したんだ。人を愛する幸せを…二度目の恋など信じていなかったが、違ってた」
「お前にもそういう日がくる…」
デヴィッドが家に戻ったことを知ったヒューは、キースをつれて療養所に行きました。
「なぜ、あいつを出した!どいつもこいつも、あいつの本性を知らなさすぎるんだ!なぜ知らせてくれなかったんだ?退院させる前に俺に相談すべきだろう」
「誰が決めた?先生か?」
「彼はここでじゅうぶん罰をうけている。彼は社会復帰できるレベルまで…」
「社会復帰だと?あいつは放火して、俺の家族を殺そうとした!」
「どうか落ち着いてください。つまり彼を終身刑にすれば満足ですか?」
「話にならん、帰るぞキース。もし!あいつが家族に近づいたりしたら、殺してやる!」
次回
『エンドレス・ラブ』接触⑬