『DQXエンドレス・ラブ』①
前回
『エンドレス・ラブ』ストーブ⑥
<ホームルーム⑦>
「まだ稽古してたのか?」
「セリフ覚えか?」
「うーん、ちょっと納得できなくて…」
「どこが?」
「セリフとかじゃなくて原作が」
「原作?」
「僕たち、はじめは原作どおりに進めようかと思ってたんです」
「けど、納得できないシーンがあって…」
「ふーん、どのシーン?」
「どこだっちゃ?」
「クライマックスの場面で、ジェイドのお父さんのヒューがデヴィッドが原因で交通事故で死んでしまうシーンが納得できなくて…」
「あんなにいいお父さんだったのに…」
「パーティーのあとにジェイドが言うセリフ。「パパのフルート素敵だったわ。」あのシーンがわたし一番好き。それなのに…」
「家も失い、そして交通事故で死ぬなんて酷すぎるわ」
「原作を改ざんしてほかのシーンを盛りこんだらどうかな?と、思ったの」
「原作は原作だっち。事実としての資料も残ってあるだっち…」
「”光をくれた人”っていうお話し知ってる?」
「孤島にある灯台の仕事で、夫婦たったふたりでその島に住むようになったの。夫は灯台の仕事をしながら報告書を書いていたわ。そんな中、奥さんが何度も流産しちゃってね。ある日、乳飲み子の赤ちゃんが、船で漂流してきたの。赤ちゃんの父親とでね。その時、父親はもう死んでたわ。でも、赤ちゃんは生き残っていて、子供がいなかった夫婦はどうしてもその赤ちゃんを自分の子として暮らしたくなったの。それで、報告書を改ざんして、そのあとに嘘がバレて罰をうけ留置場に送られるっていうお話しなんだけどね…」
「原作どおりにやらないとダメかしら?」
「だれかほかにいい案はある?」
「少し考えさせてください」
次回
『エンドレス・ラブ』判決⑧