藤沢周平の娘さんが書いた本を読んでいる。遠藤展子著「父・藤沢周平との暮し」
お父さんとしての藤沢周平は、ごく普通の生真面目な常識人だった。
小説を読むと、私みたいな“おじさん”が書いたとはとても思えない。
家族思いで、何事にもごく普通の反応をする人だが、「かたむちょ」だった。
「かたむちょ」とは、偏屈者、ヘソ曲がり、片意地な人を意味する庄内弁とのこと。
展子さんの夫も、「かたむちょ」で、父親と似ていたらしい。
「かたむちょ」な人は、「流行嫌い」の側面があると言う。私自身大いに気をよくした。
私は、娘から「かたむちょ?」ゆえに、距離を置かれている。~ただのバカ親父?
周平さんは、「かたむちょ」だが、大切にされていた。
私は、何か足りないのだろう。
私は、8月がくると64歳になる。あと5年で周平さん享年の歳だ。
こんな父親だが、何年か後の別れの時には、娘は泣いてくれるだろう。
娘が4歳の時、2人で渡良瀬の土手に行き、野の花を持った娘を撮った写真が可愛い。
あの時の記憶を、ただ一つの頼りにしている、不甲斐ない父親である。