宇都宮市の体育館で開催された「伊能図展」の様子。早い時間なので観覧者は少ない。
「伊能大図」214枚が、255枚に再構成され、原寸大で展示されるので圧巻だ。
細かく見ていくと、自分の出身地を見ることができ、それぞれに声を上げて見入っていた。
私は、「大堤村」、「原町」、「土井大炊頭居城」、「野木」などの身近な地名に感銘を受けた。
旧日光街道を歩き、中田宿から原町を通り、古河城に至ったことが、眼前に展開している。
まるで目の前に伊能忠敬が歩いているかのように、感慨を持って眺めることができた。
井上ひさしの小説「4千万歩の男」によると、中田宿で鷹見泉石と伊能忠敬が会っており、
なにやら会話を交わしている。創作だろうが面白い設定だ。
鷹見泉石と当時の大炊頭、土井利位は、晩年仲違いをしている。
泉石は、利位の側室に絡んで何か意見を言ったことで、嫌われたらしい。
あれだけ世話になっておきながら、つまらないことで免職、隠居を命じており、
実際にはどんな城主だったのか、興味深い。
松平伊豆の守は、多くの家臣とともに平林寺に墓を構えているのに比べて、
古河の2人は別の寺に墓を作っている。
歴史家の話のよると、たまたま菩提寺が違っただけとのことだが、
大きな確執があってのことではなかったかと、推理好きの凡才は考えた。
これで本を書き、印税がたっぷり入れば、老後は安泰なのだが…
そんなつまらないことも想像させる伊能図展であった。