天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

誰もパーフェクトな人間はいない

2010年06月04日 | スポーツ
 2日行われた米メジャーリーグのタイガース対インディアンス戦で起きた“世紀の大誤審”でパーフェクトゲームを逃したガララーガ投手は、誤審にも腐ることなく、「誰もパーフェクトな人間はいない」とパーフェクト?なジョークを飛ばしてみせた。

 ギブズ大統領報道官は3日の記者会見中、記者が冗談で、アウトカウントあと1つに迫りながら、審判の誤審で完全試合を逃したタイガースのガララーガ投手を「大統領令で救済しないのか」と聞くと「(誤審を誤審と認めるべきだというのは)政界にとってもいい教訓になるだろう。この試合についての米政府の公式見解を大統領に聞かれたら、『完全試合の栄誉を与えるべきだ』と話すつもりだ」と返した。

 また、タイガースの本拠地、デトロイトに本社を置くゼネラル・モーターズ社(GM)が、「ガララーガの素晴らしいプロフェッショナリズムとスポーツマンシップをたたえる」と最新型の真っ赤なシボレー・コルベットのオープンカーを球場に届けた。

 その翌日、“世紀の大誤審”のジム・ジョイス審判がタイガースの本拠地、コメリカ・パークにこの日は主審として登場した。ジョイス審判の名前が場内アナウンスされると、スタンドからは一斉にやじが飛び、「We All Know It Was Perfect」(われわれはみんな、あれが完全試合だと知っている)とのボードを掲げたファンの姿も。
 そんな中、リーランド監督は「こいつを持ってってくれないか」と普段は監督が行うメンバー表の交換をガララーガ投手に依頼、ジョイス審判の元に届けさせた。ガララーガ投手はホームベース付近でジョイス審判とガッチリと握手を交わし、メンバー表を手渡した。

 この粋な計らいにジョイス審判は思わず号泣。スタンドのやじも大きな拍手と声援に変わった。

 一人の審判の気持ちをここまで思いやることができる人たち・・・

あと一人残っています

2010年04月14日 | スポーツ

ヤンキースの本拠地開幕戦の試合前、催されたチャンピオンリングの授与式。

“トリ”のはずのキャプテン、ジーターが受け取った後、「あと一人残っています」との場内アナウンス。

「Hideki Matui!」とコールされると、超満員の場内から、自然発生的にMVPコールが起こり、スタンディングオベーション。ヤ軍ナインが総出で“赤ゴジラ”を出迎えた。

松井がチャンピオンリングをジラルディ監督から受け取ると、一二塁間に整列していた元同僚たちが松井のもとに一斉に駆け寄って、次々と肩を抱き合い、最後に最も心を通わせたジーターとしっかりと抱き合った。

「そのときだけは一瞬だけでも喜びに浸りたい。リングを取るためにヤ軍で7年間戦ってきたわけですから」「ファンからどんな反応がかえってくるかは想像できない」と語っていた松井は帽子を何度も高く掲げてファンの声援に応えた。記者席でも目をぬぐっていた米国人記者は1人や2人ではなかった。

ヤンキースタジアムの興奮はそれでも収まらなかった。1打席目に松井が打席に入ると再びスタンディングオベーション。左腕ペティットも投球できず、松井が打席を外して赤ヘルメットを掲げ、ファンの声援に応えたほど。

「最初は違和感があったが、打席に出たら打ってやろうという気持ちになった」と言うが、さすがに平常心で挑めなかったのか凡退を繰り返した。それでもスタンドのファンは、敵陣の赤ゴジラが登場するたび、変わらぬ声援を送ってくれた。エンゼルスがアブレイユの満塁弾で2点差まで迫った九回。松井が2死で打席に立つと、やっとブーイングが。

試合後の会見で松井は「非常に感動した。おそらく一生忘れられない瞬間。幸せでした」と語った。ジーターは、「松井は私にとって最もお気に入りのチームメートの1人。プロフェッショナルという言葉がぴったりで、毎日必ず準備を整えてスタジアムに来てくれた。何があろうと言い訳をするのを聞いたことはない。手首を故障して同僚たちに謝罪するような選手にはこれまで出会ったことがない。ホーム開幕戦の場に彼がいることは適切に思えるし、ファンからオベーションを受け取るにふさわしいよ」 

見守るファンも複雑な心境だった。ヤンキースの55番のユニホームを着た男性は「松井を慰留しなかった球団の判断は今でも間違いと思っている」と話すと、「今日も縦じまを着て戻ってきてほしかった」と寂しげな表情を浮かべた。また、別のファンは「彼の謙虚な姿勢がずっと好きだった。今日のファンの反応が、彼がニューヨークのヒーローだということの証明」と話した。


菊池雄星

2010年01月13日 | スポーツ
 昨夏の甲子園8月23日準決勝で敗れ、最後の甲子園となった試合後のインタビューで「もうこの仲間とだったら、一生野球ができなくてもいいからと思って投げました」と、泣きじゃくっていた菊池雄星18歳(花巻東→西武)。

 以下、テレビ朝日のインタビュー(来る1月15日放送の報道ステーション)より

 一つひとつの練習を全力で、丁寧に取り組んでいる印象を受けます。

 練習することでしか、うまくなれません。手を抜くのは簡単ですが、そうしないように心がけています。自分に負けたら終わりです。たくさんの方々の期待も背負っていると思うので、その期待に応えたいです。

 高校の最上級生からプロの新人選手として再スタートすることで、どんな点に気を付けていますか?

 先輩と一緒の行動が多いので、扉の開け閉めは僕がやるとか。先輩に対して丁寧な言葉使いをするのは当然です。同じ方向に歩いていて、その先の扉が閉まっていれば、僕が開けるべきですから。そういう細かいことは高校時代に教わりました。

 あいさつも、立ち止まってしていますよね。

 中学でも、高校でも、「立ち止まらないあいさつは、あいさつじゃない」と教わりました。高校までに習ったことをプロに入ったらやらないというのは、それを教えてくれた方に失礼だと思います。

 ひまさえあれば本屋さんに通う読書家で知られていますが、最近はまっているのは?

 坂本竜馬が好きです。スケールの大きさとか、人を引きつける魅力とか。人を引きつけることは、ファンを引きつけることと同じだと思います。高校の佐々木監督からも、「竜馬のような人間になれ」と言われました。なかなか近づけないと思いますけれど。

 「心眼力」(野口嘉則氏のベストセラー)も愛読しているとか。心に残る言葉はありますか?

 端的な言葉ではないんですが、食事が、親が、環境がということを言い訳にしてはいけないということですね。それは、雨を晴れにしてくれと願うようなもので、それを言い訳にしていては勝てない。環境をどうとらえるかが大切だという内容が印象に残っています。

 プロとしてのトレーニングが始まり、いま、どんな点に心がけていますか?

 意識を持ってやることです。トレーニング器具がなくても、トレーニングはできます。実際に、いまのようにトレーニング器具が充実していない時代にも、素晴らしい投手はいらっしゃったわけですから。トレーニングは器具の充実や環境ではなく、自分の意識次第だと思っています。

 高校生活でやり残したことはありませんか?

 全くありません。けがをして最後に投げられなかったことは悔しいんですが(昨夏の選手権大会中に肋骨=ろっこつ=を疲労骨折。準決勝の中京大中京戦は先発できず)、自分がけがをして投げられないとチームにこれだけ迷惑がかかるんだということを学びました。貴重な経験だと思っています。

 すごく謙虚で、しっかりした考えを持っているなという印象を受けます。そういう考え方や姿勢が生まれたきっかけを教えてください。

 負けの中から学んできたと思っています。中学時代も、高校1、2年のときも、ほとんど勝てませんでした。順風満帆の野球人生だったら、力で投げるだけの投手だったと思います。

 プロ1年目の目標は?

 1年目は、結果以上に課題を見つけることだと思っています。負けから、ここまで成長させてもらった人間ですから、負けたり打たれたりする中から課題を見つけられれば。勝っている時は勢いでいけますが、自分に何が足らないのかということは、負けることでしか気づきません。

 プロの1球目は、どんな思いを込めますか?

 ここまで育ててくれた方やファンの方々への感謝の気持ちを込めたいです。1軍の公式戦で投げる時は、思い出づくりのためではなく、戦力として期待されて送り出されるわけですから、その時は、勝つために投げます。

 今年のモットーは「一日一生」

何が正しいか

2010年01月12日 | スポーツ
 昨秋、進路を日本のプロ野球に決めた菊池雄星。記者会見で涙を流したのは、米スカウトの方に申し訳なくてだという。

 以下、栗山氏のインタビューに答えて(毎日新聞より)

 どこを一番悩みましたか?

 やっぱり誰もやったことがないことをやりたいというのが一番強くあった。1年生の時から毎試合を見に来てくださったアメリカのスカウトの方もいた。そういう方に恩返しができたらいいなと思っていました。2年生の勝てないときも来てくれて、下手くその時や結果が出ないときにそばにいてくれた人の所に行きたいなというのはありました。そこら辺で迷いましたね。

 最後の決断はいつ下したのですか?

 直前まで迷ったんですけど、日本中のみなさんに人間的にも認められないといけない。技術もそうですけど、人間的にもですね。誰もやったことがないから行く、というのを客観的に見た時に、それでいいのかなと。

 ドラフトはドキドキしてましたよ。渡辺監督のガッツポーズもありましたね。西武に決まった瞬間はどんな思いがあった?

 自分は両親と(佐々木)監督さんと見ていたんですけど、リラックスしていました。話もあまりせずに。球団は大事なんですけど、最後やるのは自分なので、どこに行っても頑張ると思っていました。

 プロに入っても純粋な気持ちを持ち続けてほしい。

 これからプロの世界入りますけど、花巻東で一番学んだことは野球に対する姿勢。プロで継続してこそ評価されることだと思う。今度は1人の人間として、そういう姿を見せることが監督さんやチームメートへの恩返しだと思う。勝つか負けるかより。夏の甲子園では投げきれなかったので、プロの世界で元気に投げている姿を見せることが一番だと思う。

 プロで大事にしないといけない点は何ですか?

 ケガをしないこと。一番怖いというか心配なのは、これからお金も入ってくるし、時間が増えることで軸がブレること。これまでは野球しかやってこなかった人間。優先順位が狂うとかは一番やっちゃいけないことだと思います。楽しいか楽しくないかではなくて、何が正しいか。一瞬の楽しみのためではなくて、長期的なスパンで見た時に何が正しいのかですね。

 チームの仲間を想い、辛い時そばにいてくれた人を想い、涙する。自分は何が正しいかをただひたすら追い求め、ごくごく自然に他を想える、見習いたい。