天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

自主

2011年03月26日 | まつりごと
 現在は屋内退避を指示されている福島第一原発から20~30キロ圏内の住民に、政府はきのう、「自主避難」を促した。避難せよ、と指示するなら分かる。放射能に関する情報は政府がすべて握っているのに、「自主的に」(=あなたの意思と判断で)と言われても。「口にしてふと考える」姿勢が欠けている。~編集手帳より

 今度の大震災で、情報の不正確さなどによる混乱や風評被害を見ると、非常時に必要なのは文明の器具だけではない。情報を発する側の相手への思いやりや受けとる側の冷静さこそが肝心である。~産経抄より

 天皇、皇后両陛下が、東日本大震災の被災地に思いをはせられ、お住まいの皇居・御所の電気を一定時間使わない「自主停電」を続けられている。「国民と困難を分かち合いたい」という趣旨で15日に始められたもので、宮内庁の羽毛田信吾長官らによると、陛下は「寒いのは(服を)着れば大丈夫」とおっしゃっているという。
 計画停電では、皇居のある東京都千代田区は対象地域になっていないが、両陛下は計画停電で「第1グループ」に分類された地域の停電時間に合わせ、1回約2時間にわたり、明かりや暖房といった電気の使用を一切控え、時にはろうそくや懐中電灯を使いながら過ごされているという。暗い中で夕食を取られることもあったようだ。
 両陛下は、第1グループで停電が計画されたものの、実際には電力供給が逼迫せず、停電がなかった日も、当初の計画時間に合わせ、自主的な停電を実行された。15日から23日までは1日も欠かさずに行い、スケジュールに合わせて同じ日に朝晩2回、電気を止められた日も複数回あったという。宮内庁東宮職によると、皇太子ご一家も、同様の「自主停電」を、お住まいの東宮御所で行われているという。~産経新聞より

宮川光治裁判官意見

2011年03月23日 | 不易
 裁判官宮川光治の反対意見は,次のとおりである。

 私は,衆議院及び参議院の各議員を選挙する権利は,国民主権を実現するための,国民の最も重要な基本的な権利であり,人口は国民代表の唯一の基礎であり,投票価値の平等は憲法原則であると考える。人口こそが,議席配分の出発点であり,かつ決定的基準である。国会は,衆議院及び参議院について,国民の代表という目標を実現するために適切な選挙制度を決定することに関し広範な裁量権を有するが,選挙区や定数配分を定めるには,人口に比例して選挙区間の投票価値の比率を可能な限り1対1に近づける努力をしなければならない。

 平成3年6月に至り,政府は1人別枠方式を改革の方針として同審議会に示し,この方針に基づく選挙区の区割り案の作成を諮問した。同月,同審議会は1人別枠方式を採用した区割り案を答申し,平成6年の公職選挙法の一部を改正する法律及び同時に成立した区画審設置法(1人別枠方式は同法3条2項)はこれに基づいている。そして,1人別枠方式の立法理由については,過疎地域に対する配慮,具体的には人口の少ない県における定数の急激な減少への配慮等と説明されており,後者はいわば激変緩和の趣旨と解することができる。
 この結果,平成2年10月実施の国勢調査を前提とすると,1人別枠方式の下でされた都道府県への定数配分の段階で最大較差は1対1.822となり,選挙区間の最大較差は2.137であり,較差が2倍を超える選挙区は28存在した。本件選挙当日においては,各都道府県への定数配分の段階で1対1.978という最大較差が生じており,選挙区間の最大較差は1対2.304であり,較差が2倍を超える選挙区は45に達している。多数意見も指摘しているとおり,1人別枠方式が選挙区間の投票価値の較差を生じさせる主要な原因であることは明らかである。

 多数意見は,相対的に人口が少ない地域に対する配慮は,全国民を代表して国政に関与することが要請されている議員が,そのような活動の中で全国的な視野から考慮すべき事柄であり,殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難いとしている。この見解は相当ではあるが,およそ,過疎地域に対する配慮という口的要素,それも行政区画や地理的状況等の口的・技術的要素とは異質の,いわば恣意的ともいえる要素を優先させることは,国会の裁量権の行使として合理性を有しないことは明白であると思われる。
 また,多数意見は,1人別枠方式の意義については,直ちに人口比例のみに基づいて各都道府県への定数の配分を行った場合には,人口の少ない県における定数が急激かつ大幅に削減されることになるため,国政における安定性,連続性の確保を図る必要があると考えられたこと,何よりもこの点の配慮なくしては選挙制度の改革の実現自体が困難であったと認められる状況の下で採られた方策であるということにあるとし,そうであるとすれば,その合理性には時間的な限界があるものというべきであるとしている。改革を実現するための現実政治において,譲歩と妥協は付きものであるが,私は,憲法適合性の審査における判断をそうした現実への配慮により後退させるということには,賛成できない。国政における安定性,連続性の確保を図る必要とは,見方を変えれば,人口比例に基づいて各都道府県に定数の配分を行った場合に議員資格を取得できなくなる層の救済を図るということにほかならない。こうした民主的正統性の観念に背馳する政策に,合理性を見いだすことはできない。仮に辛うじて合理性を認めるとしても,飽くまでそれは暫時のものであり,平成8年と平成12年の2度にわたる総選挙を経て,平成14年7月,前年の区画審の勧告を踏まえて区割規定が本件区割規定に改定された頃までには,その合理性は既に失われていたというべきである。立法府としては,遅くともこの時点において,1人別枠方式(区画審設置法3条2項)を廃止すべきであったといわなければならない。

 以上,1人別枠方式を採用して定められた本件区割規定は憲法に違反し,本件選挙(小選挙区選挙)は違法である。したがって,事情判決の法理により請求を棄却するとともに,主文において本件選挙の当該選挙区における選挙が違法である旨を宣言すべきである。そして,さらに,今後,国会が速やかに1人別枠方式を廃止し,選挙権の平等にかなう立法的措置を講じない場合には,将来提起された選挙無効請求事件において,当該選挙区の結果について無効とすることがあり得ることを付言すべきである。

田原睦夫裁判官意見

2011年03月23日 | 不易
 裁判官田原睦夫の反対意見は,次のとおりである。

 私は,本件選挙に適用される公職選挙法は,その区割規定及び小選挙区選挙における選挙運動に関する規定が,いずれも憲法14条1項に違反し,また,上記選挙運動に関する規定は憲法15条3項,44条ただし書,47条にも違反するものであって違憲であると判断するものである。ただし,平成6年に公職選挙法が抜本的に改正された後,当審がその改正法につき一貫して合憲との判断をなしてきたことに鑑み,選挙の違法を宣言するにとどめるべきものと考える。

 私は,以下に述べるとおり,1人別枠方式はその制定当初から憲法に違反していたものと考えるものである。
 多数意見が,本件選挙までの間に本件区割基準中の1人別枠方式の廃止及びこれを前提とする本件区割規定の是正がなされなかったことをもって,憲法上要求される合理的期間内における是正がなされなかったものということはできない,とする点については賛成できない。国会は,本件選挙までの間に,1人別枠方式を廃止し,衆議院議員小選挙区の区割作成の基本原則を定める区画審設置法3条1項に基づき,継続的に区割りを見直すべき責務を負っているものというべきところ,平成17年の総選挙施行以降もその責務に思いを馳せることなく,漫然と時を徒過したのであって,国会は立法不作為の責任を問われてしかるべきである。
 したがって,1人別枠方式という憲法14条に違反する区割規定の下に施行された本件選挙は違法であり,本来は無効との評価を受けるべきものである。
 憲法は,国民主権を宣明し,全国民を代表する選挙された議員で組織された国会は,国権の最高機関として位置付けられているところ(憲法41条,43条),その議員を選挙する国民の選挙権は,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によって差別してはならないこと(憲法44条ただし書)はもちろんのこと,個々の国民の選挙権の行使としての投票の価値は,基本的に平等でなければならず,その選挙人の居住地のいかんによって,その間に差が生じることは,合理的な理由が存しない限り認められないものというべきである。
 衆議院議員選挙は,飽くまで全国民を代表する議員を選出する選挙であり,各選挙区の利益代表を選出する選挙ではないのであり,国会が,その裁量権の行使に当たり,あえて「投票価値の平等に一定の限度で譲歩を求め」る場合には,積極的にその合理的理由を明示して国民の理解を得る義務が存するといえるところ,国会は,従前から,投票価値の平等に譲歩を求めるに足りる合理的理由を積極的に明示することはなかった。
 私は,多数意見と異なり,そもそも1人別枠方式それ自体が憲法の許容する合理性の範囲にとどまるものであるとは到底解し得ないと考えるものである。
 1人別枠方式は,そもそも投票価値の平等に譲歩を迫るに足りるだけの合理性自体が認められないのみならず,平成14年の公職選挙法改正時においては,その立法経緯を踏まえても,その合理性を肯定すべき事由は全く存しなかったものであって,選挙人の投票価値の平等を害するものとして,憲法14条に違反するものであったといわざるを得ないのであり,その違憲状態にある公職選挙法の下でなされた本件選挙も,違法との評価を受けざるを得ないのである。

 平成6年の公職選挙法改正後最初に実施された平成8年10月20日施行の総選挙に関する選挙無効訴訟についての前掲平成11年11月10日各大法廷判決において,1人別枠方式が憲法に違反するものであるとして5人の裁判官が詳細な反対意見を述べているが,そこでは,違憲論に加えて,過疎地対策としての実効性への疑問や,その合理性に疑問を抱かせる事実が指摘されていたのである。
 平成17年施行の総選挙に関する選挙無効訴訟についての前掲平成19年6月13日大法廷判決における「4裁判官の見解」において,1人別枠方式が違憲である由縁について改めて指摘するとともに,1人別枠方式は過疎地域への配慮という意味においても合理性を欠き,また,激変緩和措置としての必要性は失っている旨を指摘し,他に1人の裁判官も詳細な理由を付して1人別枠方式の違憲性を指摘しているのである。
 激変緩和措置としての意味合いは,制度改正から10年も経てば意味をなさないことは,他から指摘されるまでもなく明らかである。
 したがって,国権の最高機関たる国会としては,上記各大法廷判決の少数意見にて指摘された点をも含めて,すべからく1人別枠方式の果たしている意義の検証を含め,1人別枠方式それ自体の見直しに着手してしかるべきであったといえよう。ところが,国会は,前掲平成19年6月13日大法廷判決の後においても,本件区割規定の不合理性をもたらしている最大の原因たる1人別枠方式の意義についての検証作業すら開始するに至っていないのであって,立法機関としてその怠慢は責められてしかるべきである。
 以上のような状況からすれば,平成17年総選挙におけるのとは異なり,本件選挙までに1人別枠方式の再検討の着手にすら至っていない国会の立法不作為は憲法上要求される合理的是正期間を徒過したものといわざるを得ず,したがって,1人別枠方式に基づいて定められている本件区割規定は違憲であるといわざるを得ないのである。

 私は,本件選挙について,小選挙区選挙の候補者のうち候補者届出政党に所属する候補者と,これに所属しない候補者が行い得る選挙運動の格差は,候補者届出政党が,その政党に所属する個々の小選挙区候補者のために実際に行い得る選挙運動の内容をも加味すれば,質量の両面において著しく大きく,政策本位,政党本位の選挙制度とすべく小選挙区比例代表並立制の制度が採用され,その選挙制度を実効あらしめるべく,候補者届出政党に小選挙区選挙に関して選挙運動を行うことが認められたものであるとの立法目的を考慮しても,その格差は,その目的のために許容される合理的範囲を超えるものであると評さざるを得ないのであり,候補者になろうとする者の被選挙権の平等を妨げるものとして,憲法14条1項,44条ただし書,47条に違反するとともに,選挙人の選挙権の適正な行使を妨げるものとして,憲法14条1項,15条3項,44条ただし書,47条に違反するものであると考える。
 本件選挙では政党要件を満たさないある政党の候補者が,多数の小選挙区において立候補したほか,無所属候補を含め政党要件を満たさない政党の候補者が合計362名(小選挙区での全候補者数1139名の32パーセント)立候補していたところ,それらの候補者は,候補者届出政党に所属する候補者に比して,質・量の両面において,不利益な選挙運動を強いられたことになるのである。また,本件選挙では,政党要件をぎりぎり満たす小規模な政党の候補者が小選挙区において立候補していたが,仮にそれらの政党が,候補者届出政党としての要件を少しでも欠くに至った場合には,次回の総選挙からは政見放送を行い得ない等,それまで享受していた候補者届出政党としての選挙運動を行うことができなくなるのである。複数以上の小選挙区に候補者を立てようとする小規模な政党にとっては,候補者届出政党としての要件を満たすか否かによってその行える選挙運動の質及び量に著しい格差があるが,政党本位の選挙制度であることをもって合理化できるかという観点から見ても,その合理性については強い疑念を抱かざるを得ないのである。

 以上検討したとおり,私は,公職選挙法のうち,本件区割規定及び小選挙区選挙の選挙運動に関する規定は,いずれも憲法に違反するものであると考える。
 そして,このように憲法に違反する公職選挙法の下において実施された本件選挙は違法であって,無効との評価を本来受けるべきものであるが,従前の当審の判例が合憲の判断をなしてきて,今回多数意見がようやく1人別枠方式について憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあるとの判断をするに至ったこと,また,小選挙区選挙における選挙運動の格差が選挙の結果に直接影響したとの事実に関する主張もないことに鑑み,本件訴訟においては,無効との結論を留保し,事情判決の法理を適用して,選挙の違法を宣言するにとどめるべきものと考える。

「哀れな」日本政府の対応

2011年03月22日 | まつりごと
 20日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、福島第1原発で危険に立ち向かう作業員の献身ぶりをたたえ、米国は日本から何かを学び取るべきだとする論評記事を掲載した。
 筆者はニコラス・クリストフ氏。記事は東日本大震災で日本人の結束が深まったと分析。無私や規律尊重という日本人の行動規範を同原発で作業を続ける作業員が体現していると指摘した。
 記事は「哀れな」日本政府の対応と対比させる形で、苦境に耐える日本人を「立派」と称賛。「われわれ(米国人)は日本人に同情すべきであるのと同時に、何かを学ぶこともできる」と締めくくった。