オバマ大統領の「言葉の力」カンペ、スピーチライターの存在も指摘されているが、それではあの力はでない。そもそもオバマ大統領と同じようなことを書ける人がそうそういるものではない。「最近の政治家には珍しく、オバマはリンカーンと同じように、少なくとも本当に重要な演説に関しては自分で演説原稿をつくる。スピーチライターに任せず、黄色い法律用箋に手書きで書く」(『完璧な冷静』エバン・トーマス著、阪急コミュニケーションズ)。オバマ氏自身、「口述したものを自分の名前で出版したくありません。私の名前で出るものは、私が自分自身で書いたものです」と語る(米『シカゴ・トリビューン』06年3月31日付)。
『オバマ語録』(ライザ・ロガック著、アスペクト)を見ると、繰り返し「ダルフールに介入すべき」と主張してきたことがわかる。「米国がアフガニスタンに派兵したのは正しかった」との語録もある。自伝『マイ・ドリーム』(ダイヤモンド社)では、母親から「人として成長するには、きちんとした価値観を持たなければだめよ」と教育されたと語り「タリバン政権を抹殺する【作戦行動/キヤンペーン】は全面的に正当と評価された」「自国の安全を脅かす差し迫った脅威を排除するためであれば単独軍事行動をとる権利はある」『合衆国再生』(ダイヤモンド社)としている。
オバマ大統領は初の単独インタビューで中東のテレビ局と会見し、就任直後の1月22日には、グアンタナモのテロ容疑者収容施設やCIAの在外秘密収容所の閉鎖を指示。過酷な尋問(拷問)も禁止した。大統領令署名に際し、「米国の道義は世界を照らすかがり火だ。われわれの理想こそテロに効果的に対処しうる力であり、優れた道義の源泉だ。拷問はしない」と明言した。 ブッシュ政権のよくなかった点を修正し、理想に近づけた。
世界の篝火は、人権を認めず、国連安保理決議を認めず、自国、同盟国、世界に脅威を与えるものには、しかるべき対処をしてくれると信じている。