天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

簡単にあきらめない ~施政方針演説より(対訳)

2009年02月24日 | オバマ
 歴史の岐路に立つ今、全世界のあらゆる人々がいま一度私たちを注視しています。米国がこの瞬間に何をするかを注視し、私たちが先導するのを待っています。As we stand at this crossroads of history, the eyes of all people in all nations are once again upon us -- watching to see what we do with this moment; waiting for us to lead. 今夜集まった私たちには、特別な事態を取り仕切ることが求められています。Those of us gathered here tonight have been called to govern in extraordinary times. 大変な重責ですが、素晴らしい特権でもあります。米国でこうした重責と特権を委ねられた世代は一握りだけです。よかれあしかれ、世界を形作る力は私たちの手の内にあります。It is a tremendous burden, but also a great privilege -- one that has been entrusted to few generations of Americans. For in our hands lies the ability to shape our world for good or for ill. こうした真理を見失い、世をすねて疑いを抱き、ささいな事にこだわるのは簡単です。I know that it's easy to lose sight of this truth -- to become cynical and doubtful; consumed with the petty and the trivial.

 しかし、希望は思わぬところで見つかるということも、私は人生の中で学んできました。大きな権力や名声があるところではなく、ごく普通の米国人が抱く夢や大志から、アイデアの源が見つかるのです。But in my life, I have also learned that hope is found in unlikely places; that inspiration often comes not from those with the most power or celebrity, but from the dreams and aspirations of Americans who are anything but ordinary.
 フロリダの銀行の頭取、レナード・アベスさんのことを思います。彼は銀行から受け取った6000万ドルのボーナスを、399人の全行員と72人の元行員に分け与えたといいます。I think of Leonard Abess, a bank president from Miami who reportedly cashed out of his company, took a $60 million bonus, and gave it out to all 399 people who worked for him, plus another 72 who used to work for him. 自ら公表はしませんでしたが、地元紙が取り上げた際、彼は「自分が7歳の時から知っている人たちもいる。自分だけがお金を手にするのはいい気分がしなかった」とだけ語りました。He didn't tell anyone, but when the local newspaper found out, he simply said, "I knew some of these people since I was seven years old. It didn't feel right getting the money myself." (Applause)
 竜巻で完全に破壊され、住民の手で再建が進むカンザス州グリーンズバーグのことを思います。クリーンなエネルギーは地域全体に力を与え、一度はがれきに覆われてしまった場所にも雇用やビジネスの機会をもたらします。グリーンズバーグはそれを世界に示しました。I think about -- I think about Greensburg -- Greensburg, Kansas, a town that was completely destroyed by a tornado, but is being rebuilt by its residents as a global example of how clean energy can power an entire community -- how it can bring jobs and businesses to a place where piles of bricks and rubble once lay.「大変な悲劇だった」。住民の再建を手助けしている男性は語りました。"The tragedy was terrible," said one of the men who helped them rebuild.「しかし、ここの住民たちは、思わぬ好機にも恵まれたことを理解している」"But the folks here know that it also provided an incredible opportunity."
 そして、私が訪れたサウスカロライナ州ディロンの学校の少女、ティシェーマ・ベシアさんのことを思います。彼女の学校では天井に穴が開き、壁のペンキははげ落ち、教室のすぐ脇を列車が走るために授業を1日に6回も中断しなければなりません。I think about Ty'Sheoma Bethea, the young girl from that school I visited in Dillon, South Carolina -- a place where the ceilings leak, the paint peels off the walls, and they have to stop teaching six times a day because the train barrels by their classroom. 学校はあきらめていると聞かされましたが、ある日の放課後、彼女は図書館に行き、ここにいる皆さんにあてて手紙を書き上げました。She had been told that her school is hopeless, but the other day after class she went to the public library and typed up a letter to the people sitting in this chamber. 校長先生に切手代をもらい、手紙で助けを求めました。She even asked her principal for the money to buy a stamp.「私たち学生は法律家や医師、皆さんのような議員に、そしていつの日か大統領になろうと努力しています。私たちはサウスカロライナ州だけではなく、世界に変化をもたらすことができるのです。簡単にあきらめません」The letter asks us for help, and says, "We are just students trying to become lawyers, doctors, congressmen like yourself and one day president, so we can make a change to not just the state of South Carolina but also the world. We are not quitters."

 彼女が言ったことです。That's what she said. 私たちは簡単にあきらめません。We are not quitters.(Applause)

責任を担う意欲 ~施政方針演説より(対訳)

2009年02月24日 | オバマ
 これらの言葉や逸話は、私たちをこの場所に送り出した人々の精神を物語っています。These words -- these words and these stories tell us something about the spirit of the people who sent us here. 彼らは最も苦しいときであっても、最も困難な状況にあっても、寛容の精神や回復力、良識、そして忍耐する決意があることを私たちに教えています。将来と繁栄に対する責任を担う意欲です。They tell us that even in the most trying times, amid the most difficult circumstances, there is a generosity, a resilience, a decency, and a determination that perseveres; a willingness to take responsibility for our future and for posterity. 彼らの決意を私たちは刺激とすべきです。Their resolve must be our inspiration. 彼らの懸念は私たちの大義です。Their concerns must be our cause. そして私たちは彼らと国民すべてに、目の前にある課題に対して皆が平等であることを示さなければなりません。And we must show them and all our people that we are equal to the task before us.(Applause)

 私たちが今のところすべての点で意見が一致しているわけではないことは承知しています。I know -- look, I know that we haven't agreed on every issue thus far -- (laughter) 将来道を分かつときも確実にあるでしょう。There are surely times in the future where we will part ways. けれども今晩ここに座っている米国人のひとりひとりが国を愛し、国の成功を願っていることも知っています。But I also know that every American who is sitting here tonight loves this country and wants it to succeed. 私はそのことを知っています。I know that.(Applause) それが今後数カ月のすべての議論の出発点であり、議論が終わった後で立ち戻る場所であるべきです。That must be the starting point for every debate we have in the coming months, and where we return after those debates are done. それこそが国民が私たちに合意点を見いだすことを求めている礎です。That is the foundation on which the American people expect us to build common ground.

 私たちが協力し、この国を危機の深みから引き上げるならば、また人々を仕事に復帰させ繁栄の原動力を再始動させるなら、恐れずにこの時代の挑戦に立ち向かい、あきらめることのない米国の永続する精神を奮い起こすなら、今から何年も後の将来、子どもたちがその子どもたちにあの時に私たちが行動したと伝えることができるでしょう。まさにこの議場に刻まれている言葉の通りです。「価値のあることは記憶される」。And if we do -- if we come together and lift this nation from the depths of this crisis; if we put our people back to work and restart the engine of our prosperity; if we confront without fear the challenges of our time and summon that enduring spirit of an America that does not quit, then someday years from now our children can tell their children that this was the time when we performed, in the words that are carved into this very chamber, "something worthy to be remembered."

対話集会

2009年02月18日 | Weblog
 今日ここに来た目的のひとつは、皆さんの考えを聞くことです。なぜなら私には、お互いの意見を聞くことから学ぶことができると強く信じているからです。また、それが、国務長官としての最初の外国訪問の目的のひとつでもあります。
 今、私たちはめまぐるしく変化する時代に生きています。新しく就任した米国のオバマ大統領は、「変化」について語りました。変化は、私たちが好むと好まざるにかかわらず起きます。私たちにとっての課題は、変化のエネルギーをうまく利用して、これまでよりも持続可能性が高く、平和で、進歩的な、繁栄した世界のために変化を役立てることです。今、私たちは逃れようのない事実と向き合っています。地球規模の問題には、地球規模の解決策が求められており、これを自国だけで達成できる国はどこにもありません。私は、未来へ向かう私たちが必要とする、より多くの好ましい進歩を実現するに当たり、日米の協力関係が中心的な役割を果たす、と強く信じています。それでは、両国が協力して相互依存から生じる好機をとらえ、課題に取り組むにはどうしたらよいでしょうか。

 米国には、以前のように、他者の話に耳を傾ける用意があります。そして今日が、その長く建設的な対話の始まりとなってほしいと思います。スマートパワーを行使すると、私たちが住んでいる世界について現実的にならざるを得ません。私たちが地球規模の問題の原因となっていることを認め、解決策を見つけ出すために可能な限り熱意を持って取り組むことを決意しなければなりません。世界は、傍観者や目撃者としてではなく、積極的な参加者としての皆さんの力を必要としています。オバマ大統領が就任演説で語ったように、困難な時にあっても、行く手に広がる道にしっかりと目を据え、現状を転換させるような決断ができる自由な人々に宿っている強さと個性を忘れてはなりません。誠実に取り組み、決意を翻すことなく、希望を失うことなく、賢明に努力すれば、私たち人間が直面しながら解決できない問題などありません。
 私に分かっていることは、皆さんが個人的に、あるいは日本全体として向き合っている未来が、やがて日本の歴史になる、ということです。日米両国が助け合えば、この新しい進路を開く力となることができますし、そうすることが不可欠です。

問 自然環境を専攻しています。野球部にも入っています。でも、男子ほど強くありません。どうすれば長官のように強く(聞き取り不能)できるのですか。

クリントン長官 よく野球をしましたし、大勢の男の子たちとプレイしました。自分が希望する未来に向かう道を模索している若い女性から、自分は何を、どうすればいいのかと聞かれることがよくあります。家族的背景、興味や経験など、それぞれみんな違っているので、すべての人に当てはまる答えを見つけ出すことは大変難しいことです。ですから、最も大切なことは、自分自身に正直であること、自分の人生にとって大切で意義があると信じることを行うことです。

 時にはそれが、皆さんの周りの誰もが皆さんに最適だと思うような道であることもあり、そうでないこともあります。時には、両親や友人が皆さんに望んでいたことと違っていることもあります。しかし、できる限り自分に正直であろうと努力することが大切です。そしてこの素晴らしい大学で勉強している皆さんは、世界中のどの女性よりも多くの選択肢に恵まれることになるでしょう。教育が自己実現と自己充足への鍵であることは、今も変わりません。これは若い男性だけでなく、女性にとっても言えることです。
 世界中には、ただ生き残るだけで精一杯の人々がいること、また日本政府と日本の人々がアフガニスタンに建てた学校のことを考えてみてください。
 皆さんのような若い女性や、私自身は、母親や祖母の時代に比べ、より多くの機会に恵まれています。ですから、私たちが受けた教育を、自分のためだけでなく、社会のためにも使うことが大切です。私は多くの皆さんが立ち上がって、何を学んでいるかを話すのを聞きましたが、それこそ皆さんがやろうとしていることなのです。ですから、自分に正直になり、可能な中で最高の教育を受け、たとえ勝算が少なくても自分と自分の夢のために立ち上がってください。この点については私も実際に経験しましたが、皆さんが変化をもたらすことができると理解しています。身近な人々の人生に変化を起こすことができるのはもちろんですが、それをはるか超えて変化を起こすこともできます。皆さんが何らかの決断をするに当たり、幸運をお祈りします。そして時々野球をすれば、自由な発想をすることができるでしょう。