続いて乗ってみた感想です。
試乗車は
Cieloのインテグラルヴィンテージレザー仕様という最上級車でした。
展示車とはまるで違う印象でダッシュボードに至るまでサドルタンのレザー。
近い物で
911(996)の内装をイメージしてしまいましたが
(まぁ、ポルシェの内装は名前から連想する程には最上級という程でもないですが)
フルレザーの内装(しかもタン)は、かなりエロい雰囲気だと思います。
シエロに標準装備されるパノラミックルーフのシェードは電動式。
ドライブコンピュータのディスプレイはカラーになっています。
走り出して直ぐに思う事、C4というかシトロエン風とは全く異なる乗り味です。
久しく乗っていないので、これが今のプジョー流なのかもしれませんが
(プロのライターの記事を読むと、どうもそうらしいですが)
シートの感じもあってかフランス車らしい当りの柔らかさはそれほど無く、
ひたすら固い代わりにビシっと動くドイツ車的という事でもなく、
固いドンガラ(中身空っぽ)の中にいる様な日本車的な感覚でもない奇妙な感覚。
しばらく乗っていて一番近い印象なのは、ドイツ車がセーム革とか
スエードの様な柔らかい敷物の上を走っている様な感じです。
フランス車は当たりの柔らかさの真の部分に角が取れた金属質を感じますが、
この車は固さの奥に皮一枚分くらいのしっとり感を持っている気がします。
乗り心地から入ってしまうのが何ともヘヘ乗り的なインプレッションですが
新しくなったエンジンは確かにパワフルでスムーズです。
本で読んだBMWと共同開発の1.6直噴ターボは1.6とは思えない程にパワフルです。
C4なども積んでいるエンジンは、登坂でモッサリ感があるのですが、
このエンジンはスムースに登っていきます。
直噴エンジンなので、ターボ化にも関わらず燃費も良くなったそうです。
ちなみにターボ感は全くもってありません。(遅れもしなければ山も無し)
ただ、少々ガサガサはしますが濃密に回って行く旧型のエンジンに比べて
国産車的というか回り方自体に印象が無いエンジンになってしまった気もします。
発売中の
オートカージャパン62号で寧ろ4段ATで良かったと思うと書かれていた
今まで通り(PSA製)のギアボックスについては
乗り心地の解釈ばかりが気になって良く分かりませんでしたが、
4段ATはショックが大きい部類ですし、C4と印象は変わらないと思います。
強いて言うとトルクで走れるフレキシブルなエンジンなので、
物理的に歯の枚数が少ない分、シフトチェンジの回数が少なくなりますから、
結果的にスムーズに走れるという事でしょうか。
確かに例えばゴルフGTIのDSGはショックの殆ど無い優秀なギアボックスですが、
上がったり下がったり頻繁にシフトチェンジしてせわしないとも思います。
ハイテクが全てに於いて正義という訳でもないという事かもしれません。
信号待ちでは高級車並の、静粛性と振動の少なさも特筆に値すると思います。
それに寄与しているのが安全対策などで90kgも重たくなったという話の
ボディの補強と遮音性の対策が影響しているとの事。
振動については聞き捨てならない話があって、
307/C4のエンジンマウントは若干無理があるそうで
薄々思っていた信号待ちの時の振動は、設計上どう仕様も無いらしく
308はそこを改良しているんだそうです。
続いてハンドリング。
これもシトロエンとは決定的に違うというか普通の車然としていて、
特に癖も無く普通に曲がってくれます。
横揺れに対して強いと営業マンの方がしきりにお話していましたが、
初期のロールの話をしているのかもしれませんが、これは一般的な欧州車レベル。
言ってる事とは違うと思いますが、その後にリアがしなやかに付いてくる感じがします。
これの事を猫足というのかどうかは分かりませんが良い印象です。
ハンドルはC4よりも軽く、革の材質は若干ガサガサでC4の方が良い様です。
ペダル類は一般的な欧州車的で、シトロエンの様に踏み出しのつま先加減を
丁寧に扱わないとギクシャクする様なタイプではありません。
車を降りての感想。群盲象を撫でるという事なんでしょうか
質感ももの凄く高いですし、確かにこれは良い車だと思いますが、
触れる度に私の中でハテナが何個も飛ぶ様な車でもありました。
それもひとえにプジョーらしさはここですという主張が何なのか
さっぱり分からなかったからだと思います。
私の中で勝手にプジョーは万人受けをする、
コーラみたいな乗り物なんだろうなと思っていたのですが、
更にモダナイズされていて一口目に何の味か分からずに首を傾げてしまう
ダイエットコーク(コカコーラゼロ)みたいな車でした。
確かにコーラっぽい味なんだけどコーラじゃないし・・・
首を傾げながらこの先、何回か乗る機会があったら、
プジョーってこういう車なんだと、いつか思うかもしれません。