外車初のエコカー減税対象車になった新型Sクラスハイブリッド。
減税額もLS600hを抜いてトップと思いきや、排気量の差で額は少ないんですね。
ただ、車代と減税額の差は約150万円、燃費性能も大体一緒となると、
想像出来る車の出来の差と、バッジ代でSクラスの勝ちなんだろうなと思います。
Sクラスのラインナップを見ていると、S350はハイブリッドよりもAWDの方が高いので
レクサスのLS、これから出る予定のBMW 7シリーズを蹴散らして
日本の大型サルーンの市場を総取りしようという戦略的価格かもしれませんが、
最近の外車は本当に大丈夫なのかという値付けをしている事が多いので
レクサスの存在意義であるLS危うし、なのではないかと真剣に思います。
Sクラスハイブリッドのキモは、恐らくこれです。
と、ここまでは余興で本題は新型Sクラスが積んでいる電池の話です。
S350ハイブリッドの走行用バッテリーには、リチウムイオン電池が使われています。
翻ってLS600hやプリウスが使っているのはニッケル水素電池、
その違いを身近な物で例えると、携帯電話の電池です。
現代の携帯電話の電池がどうなっているかというと、側にカバーがされていて、
中にガム型の小さい電池が入っているのが一般的だと思います。
この電池がリチウムイオン電池です。
昔の携帯用電池は、電池の一部が携帯のボディー部分と一体型になっていて、
本体にカチャっと嵌める構造になっていましたよね。
あれがニッケル水素電池、電池が大きく本体には納めきれないので
ああいう構造になっていたという訳です。(長時間駆動型は飛び出してましたね)
その差は蓄電率とメモリー効果。蓄電率とは電気を貯めておける密度の差の事で、
必要な量が決まっているとすれば、その分、小さく出来るという訳です。
メモリー効果というのは充電と放電を繰り返すうちに溜め込める量が減っていく事で
ハード的な寿命が来る前に頻繁に充電が煩わしくて交換をしてしまう、
性能的寿命が先に来てしまう事ですね。
翻って、リチウムイオン電池はその点で有利なのですが、弱点もあります。
まず値段が高い事、それから取り扱いが非常に難しいという事です。
詳しい説明がwikipediaに載っていますが、車へ応用する時に厄介なのは、その動作温度。
これをメルセデスは15℃から35℃に保つ事で実用化に漕ぎ着けたそうです。
インサイトがニッケル水素電池を採用した理由に安価であると説明していましたが、
電池単体の値段だけではなくシステムとして高くついてしまうという意味なのでしょう。
実際、値段は兎も角で構わないFCXクラリティはリチウムイオン電池を使っています。
違いは一目瞭然
こうする事で得られるメリットは図にしてみるとかなり絶大で、
S350ハイブリッドのバッテリーはボンネットに収まってしまいますが、
LS600hのバッテリーはトランクスペースの下に大きく横たわっています。
流石に普通のバッテリーよりは大きいので更なる技術開発が必要そうですが
電池の改良によってハイブリッド専用シャシーを作らなくても済むのであれば、
各メーカーのハイブリッド化が一気に加速する事になるかもしれません。
メルセデスではこの技術を転用してSMARTでの実験を行っているそうで、
近々にAクラスハイブリッドが登場する事になっているそうなので
それも遠い未来の話では無さそうです。
確か初代Aクラスは電気自動車への転用を想定に入れて設計されていたので
床下をバッテリーを積む為のスペースとして空けた二重構造になっていましたが、
それもどうやら取り越し苦労で終わりそうですね。