マジンガー通信

多分500万人に1人くらいの割合でしか役に立たないシトロエンC4にまつわるお話など。

新型Sクラスのキモは電池

2009年09月14日 | 車好き話

外車初のエコカー減税対象車になった新型Sクラスハイブリッド。
減税額もLS600hを抜いてトップと思いきや、排気量の差で額は少ないんですね。
ただ、車代と減税額の差は約150万円、燃費性能も大体一緒となると、
想像出来る車の出来の差と、バッジ代でSクラスの勝ちなんだろうなと思います。
Sクラスのラインナップを見ていると、S350はハイブリッドよりもAWDの方が高いので
レクサスのLS、これから出る予定のBMW 7シリーズを蹴散らして
日本の大型サルーンの市場を総取りしようという戦略的価格かもしれませんが、
最近の外車は本当に大丈夫なのかという値付けをしている事が多いので
レクサスの存在意義であるLS危うし、なのではないかと真剣に思います。

Sクラスハイブリッドのキモは、恐らくこれです。

と、ここまでは余興で本題は新型Sクラスが積んでいる電池の話です。
S350ハイブリッドの走行用バッテリーには、リチウムイオン電池が使われています。
翻ってLS600hやプリウスが使っているのはニッケル水素電池、
その違いを身近な物で例えると、携帯電話の電池です。
現代の携帯電話の電池がどうなっているかというと、側にカバーがされていて、
中にガム型の小さい電池が入っているのが一般的だと思います。
この電池がリチウムイオン電池です。
昔の携帯用電池は、電池の一部が携帯のボディー部分と一体型になっていて、
本体にカチャっと嵌める構造になっていましたよね。
あれがニッケル水素電池、電池が大きく本体には納めきれないので
ああいう構造になっていたという訳です。(長時間駆動型は飛び出してましたね)
その差は蓄電率とメモリー効果。蓄電率とは電気を貯めておける密度の差の事で、
必要な量が決まっているとすれば、その分、小さく出来るという訳です。
メモリー効果というのは充電と放電を繰り返すうちに溜め込める量が減っていく事で
ハード的な寿命が来る前に頻繁に充電が煩わしくて交換をしてしまう、
性能的寿命が先に来てしまう事ですね。
翻って、リチウムイオン電池はその点で有利なのですが、弱点もあります。
まず値段が高い事、それから取り扱いが非常に難しいという事です。
詳しい説明がwikipediaに載っていますが、車へ応用する時に厄介なのは、その動作温度。
これをメルセデスは15℃から35℃に保つ事で実用化に漕ぎ着けたそうです。
インサイトがニッケル水素電池を採用した理由に安価であると説明していましたが、
電池単体の値段だけではなくシステムとして高くついてしまうという意味なのでしょう。
実際、値段は兎も角で構わないFCXクラリティはリチウムイオン電池を使っています。

違いは一目瞭然

こうする事で得られるメリットは図にしてみるとかなり絶大で、
S350ハイブリッドのバッテリーはボンネットに収まってしまいますが、
LS600hのバッテリーはトランクスペースの下に大きく横たわっています。
流石に普通のバッテリーよりは大きいので更なる技術開発が必要そうですが
電池の改良によってハイブリッド専用シャシーを作らなくても済むのであれば、
各メーカーのハイブリッド化が一気に加速する事になるかもしれません。
メルセデスではこの技術を転用してSMARTでの実験を行っているそうで、
近々にAクラスハイブリッドが登場する事になっているそうなので
それも遠い未来の話では無さそうです。
確か初代Aクラスは電気自動車への転用を想定に入れて設計されていたので
床下をバッテリーを積む為のスペースとして空けた二重構造になっていましたが、
それもどうやら取り越し苦労で終わりそうですね。
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見間違えだったんだろうか・・・

2009年09月10日 | 車好き話
記憶の中のアコード(ちなみに写真は新型カマロ)

今朝方バスを待っていると、何だかとっても格好良い車が走ってきました。
アメ車っぽいけどホンダのバッジが付いてるなと思ったら、何とアコード。
何しろ直ぐ近所のホンダディーラーですら見かけないので知らなかったのですが、
いつも間にやらモデルチェンジをしていた(まだ日本でも売ってた)様です。
気になったので出社してからホンダのHPを見てみると、やっぱり格好悪い・・・
先代の六角大王の様な奴よりは全然マシなのですが、分からなくはない外れという感じ。
勘違いだったのか、写真を撮った人の腕の問題なのか・・・失礼ですね。

これが先代アコードのイメージ(写真は10年くらい前の、六角大王のキャラクター)

折に触れて何回か話していると思うのですが、
私は最近のアメ車のデザインは、相当来ているんじゃないかと思っています。
50年代くらいの物凄い事になっている車となると理解不能ですが、
70ー80年代の、アメリカの刑事物映画を見ていると、
メーカすら良く分からないセダンが妙に格好良く見える時がありますから
(マイアミバイスではなくてダーティハリーのイメージですね)
”アメ車は元々格好良いんだよ!”と怒られてしまえばそうかなとも思うのですが、
それでも最近、ダッジ・チャレンジャーや上に載せたカマロ、
名前が良く分からないフォードやシボレーのセダンなんかを見ていると
アメ車のデザインは何かをつかんだのではないかと注目してしまいます。
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ジャーナリストはカートに乗れ ~後編・大人のイジメはみっともないver.1.5~

2009年09月09日 | モータースポーツ
バドエルの全盛時代は・・・これか?

バドエルは1971年生まれの38歳。20歳前後でのデビューが
当たり前になってきている昨今のF1では、突出して高齢といえます。
彼は国際F3000のチャンピオンを最年少で獲得した肩書きを持つドライバーで
93年のF1デビュー当時は新進気鋭と期待されていたのですが、
チームに恵まれずパッとした戦績を挙げる事もなく数年で引退してしまい、
それから現在に至るまでフェラーリのテストドライバーを努めてきました。
その後の彼はフェラーリ史上最高の黄金時代を支えた功労者である事はもちろん、
トリノオリンピックの開会式ではドーナツターンで五輪を描く大役を任されたり
(実はそういう”余りにイタリアらしい”演出だったんですが、気が利かないカメラワークで台無し)
それなりに充実したテストドライバー人生を過ごしてきたと思います。

恐らくはバドエル最後の勇姿になるでしょう

そんな10年以上レースをしていない割には経験豊富なF1ドライバー、
バドエルがフェラーリの名に恥じない走りが出来たのかというと、
2戦を戦って全セッション”突出して”ビリ、ペナルティ5回、クラッシュ2回。
この複雑な時代に分かり易いまでの散々な成績と言えそうです。
(ちなみに相方のライコネンは3位と優勝)
図らずもF1は誰が乗っても同じなのかという長年の議論に
フェラーリが大枚を叩いて結論を出したのが、一番の成果でしょうか。
恐らく今回の件を見てシューマッハは二度と復職すると言わないと思います。
ただし、バドエルの参戦は失敗だけだったと片付けられるのかといえば
私はそんな事はないと思います。
先ずは彼が全セッションビリだったという事が大きなポイントです。
ビリという事は完走しているという事ですから、
これだけでバドエルが並外れた超人である事が証明されます。
分かり易い実例を挙げると、F1のブレーキング時の減速力は
30km/h程度の追突事故相当の衝撃が加わるそうです。
鞭打ちには十分な速度と言えますし、基本、現代の車では廃車になる速度です。
そしてF1で良く言われるコーナリング時の旋回Gの高さも尋常ではありません。
私もささやかながらレーシングカートに乗ってみて思ったのは、
レーシングカーを走らせるという事は苦行だという事です。
どういう事かというと、スピードが上がるにつれて体力的な限界もあるのですが、
骨が折れそうなくらいに(実際、肋にヒビが入りましたが)体が軋み始めるのです。
コンマ何秒を縮めるという作業は、腕も気合いも腕力も必要ですが、
自分の体を虐める覚悟があるのか、という事なのではないかと思いました。
当然ながらその何兆段も上の段階で突然猛者の中に放り込まれたバドエルが、
ちゃんと300キロを走り切ったという事実だけで、
実は超人的な偉業を成し遂げていたのではないかと言えるかもしれません。
そしてテストドライバーらしくラップタイムの粒が揃っていた事も特筆出来ます。
今シーズンは実走テスト禁止という厳しいルールがあるので、
データ収集にはとても役立ったと思います。
(もしかして、バドエル車には通常の倍以上のセンサーが付いていたりして)

彼にとってこの挑戦は失敗だったのか・・・

結果が結果だったので、言われても仕方ない部分はあるのですが、
それにしても今回のバドエル出走に対して、
メディアの弱い者虐めの様な論調は如何なものなのかと思いました。
しかも内容がいつもに増して余りに稚拙。
プロなら見たままではなくて伏線を踏まえて欲しいものです。
F1は分析と仮説を積み重ねて理詰めで進める、至って欧州的なスポーツなので
何故散々な結果で終わってしまったのか、本当に良い事は無かったのかであったり、
一人ぐらいはバドエルの挑戦をバドエル目線で書けなかったのかと思います。
折角、滅多に起こらない機会を迎えたのに、見たままの事しか表現出来なかった
大多数のジャーナリストの方々、残念でした。
最後にバドエルは今回の挑戦は満足だったかという(不躾な)質問に対して
”フェラーリで戦った2レースを、子供たちに語り続ける事が出来るだろう”と、
素晴らしいコメントで締めくくっていました。
(実は、コメントには続きがあるのですが・・・まぁ、止めておきましょう)
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ジャーナリストはカートに乗れ ~前編・捲土重来まつりver.1.5~

2009年09月09日 | モータースポーツ
万年最下位チームが突然の2位(そして速攻で移籍)

F1フェラーリチームのレースシートがゴタゴタしています。
ようやく今週末に行われるイタリアグランプリから
前戦のベルギーグランプリで奇跡的な大活躍を遂げたばかりの、
フォースインディアチーム所属だったジャンカルロ・フィジケラが
急遽ぶん取る移籍する事になり、一件落着とはなりましたが。

私も復活を待ち望んでいます。

事の発端はフェラーリの実質エースと言われていたフェリペ・マッサが
ハンガリーGPの予選中に前走車から外れたスプリングが頭に直撃する、
大怪我をしてしまった事から始まります。
冗談の様な話ですが、スプリングは正にボヨヨーンと跳ねていたいたそうで、
直後にやって来た跳ね馬を駆るマッサを奇跡的な確率の不運でヘッドショット。
脳震盪と頭蓋骨骨折の重傷を負ってしまい、今シーズンの欠場が確定と言われています。
F1ではこういう時の為にサードドライバーとよばれる代打役を
予めエントリーする決まりになっていて、フェラーリにも当然いるのですが、
現代F1で負傷退場というケースは非常に稀である事と、
フェラーリはそもそも実績十分なドライバーとしか契約しないので
パフォーマンス不足で途中交代という事も殆ど起こりません。
これは資金潤沢なトップチーム一般に言える傾向なのですが、
有事になったとしても選り取りみどりに選べる立場にあるので、
サードドライバーは決まりだから置いているだけというケースが目立ちます。
その中でもフェラーリは傾向が顕著なので、こういう時に困ってしまいます。
そして代わりは誰なんだと、パドック雀は一斉にさえずり始めるのです。

皇帝復活!・・・ならず!!

案の定、突如空位になった至高の玉座を巡って現役・浪人を問わずに
多くのF1ドライバーからのラブコールが届いたそうですが、
(佐藤琢磨も電話してみたそうです)
代役として発表されたのは新聞でも報じられた通りのシューマッハ。
真意は分かりませんが、彼はチームの危機を黙って見逃せなかったそうです。
(下世話ながら1レースあたりのギャラ4億円+成功報酬とも・・)
そんな男気優るシューマッハでしたが、後に彼も体調不十分という事が分かり、
フェラーリはマッサの代役のシューマッハの、更に代役を探す事に。
まるで童話の様な転覆ストーリーを呈していきます。
ここでお鉢が回ってきたのが、今回の主役であるルカ・バドエル。
バドエル、実はフェラーリがサードドライバーとしてエントリーしてた人、
如何にフェラーリがサードドライバーを適当に選んでいるのかが分かります。
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