風の強い日。
季節はちょうど今頃の
房総のどこかの山の上
おじさんの髪の毛はどこかへ
飛ばされてしまったか。
おっと失礼。
カメラは何で撮っただろう。
家族も一緒に行っている。
ここに写っている子の様に
うちの子供も走り回っていただろう。
明治牛乳のベンチに腰掛けて
そのカメラをごろっと
転がして缶コーヒーでも飲んでいただろう。
写っていないベンチと
姿の分からないカメラが頭に浮かぶ。
弥生三月
震災のことも思い出すけれど
君の事も思い出す。
そっちはどうだい?
若くして死んだ人がいれば
そいつの分も生きなきゃとか言うけれど
さあ、どうだかね。
こんな世の中では。
でも高校受験だよ、もう。
お前より息子の方がよっぽどちゃんとしてる。
人のこと言えんのかって
確かにそうだよね。
そっちへ行ったら
こっちの世界に生きる奴の見守り方って言うのを
教えておくれ。
それまでは
俺たちとこの子たちを見守っておくれ。