-写真の部屋-

奥野和彦

指導

2021-03-23 20:54:01 | 写真


生意気に、「写真が撮れないです」なんて言うと
先生は言った。
「誰も君の写真なんか待っていないよ。
もちろん、俺の写真もね。
撮れなきゃ辞めたらいい。
本当に好きな道だとか趣味だとか言うものは
勝手にやるんだ、頭と身体が。
まあ写真家になりたいって気持ちは分からん事もない。
そう言う衝動があって、俺もそうだったのだから。
でも、一丁前になる前に撮れなくなったと言うのなら
終わってるよな。
本当に撮れなくなったなら
それは飽きたか、元々そんなに好きな事では
無かったんだろう。
にもかかわらず、撮るのか撮らんのか、だからさ。
そんなものが山のように溜まっていって
あとになって何か見えて来たり
何か起きたり起きなかったりするだけだ。

キミは、この写真のどこが好きだ。
プランターにしぶとく咲いた花とマンホールと
建物の下の崩れてる所、
そうだよな、俺もそう思うんだよ。
だったらこうでも良いのかもなぁ。
いや、やっぱりこれ(全体)でいいのかなぁ…



これだけで
挨拶もそこそこにその部屋を出て
またカメラを顔に押し付けて
若造はうろつき始めるのだ。