3歳の私が東京の下町から引っ越して
長ぐつを履きながらよちよち歩き出したのが
こんな風景の中であった。
今、その引っ越した町はすっかりベッドタウンになって
当時の面影を見つけることは中々難しいが
車で15キロも走って隣の町へ入るとまだその感じが
丸々残っている集落がある。
年に数回は実家に帰る途中にその辺を車で走る。
車を畦道のフチに停めて、少し歩きながら写真を撮る事もある。
単純に懐かしいなどと言う感覚では無く
もっと脳の記憶の回路そのものが
グラグラっと、揺さぶられるような気さえする。
あの時射していた5月の陽射しが
全く変わらず洗濯物を乾かし
僕があの中庭に歩いていけば同級生のあの子が
つっかけ履いて出て来そうな感覚になる。