2017年3月23日のブログ記事一覧-カトカト日記 ~霊園・墓石の株式会社加登 公式ブログ~

「こだわり」を考える。

皆様おはようございます。
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「こだわり」なんていうと場合によってはカッコいいイメージを与えたりもしますが、本来「執着」の同義語で、「シェフのこだわり」のような意味で人口に膾炙するようになったのは最近の話です。


良いこだわり、悪いこだわり。

私が考える「良いこだわり」と「悪いこだわり」との違いは、そのこだわりが「利他」の精神に基づいているか否かの一点に尽きます。

「美味しい料理をお客様に食べてもらいたい」というのと、「ミシュランの三ツ星シェフになって世界中から認められたい」というのでは全然違うと思いませんか?

もちろん、結果として同じものが出来て、食べた人が同じように喜んでくれるかも知れません。
逆に、利他の精神に基づいて作った料理の方が美味しくない、などということも十分に起こり得る話です。

しかし、美味しい料理をつくるための「こだわり」のせいで、周りのスタッフに大変な苦労を掛けることだってあるかも知れないわけです。
それが「美味しい料理を提供してお客様に喜んでもらう(利他)」ためのものだったらまだ良いですが、単にシェフが名声を得たい(利己)がための苦労でしかないとしたら、結果はどうあれ周りは浮かばれませんよね。





アートじゃない。

広告物における優先順位も、「お客様にとって見やすいこと、理解しやすいこと」が一番でなければと考えています。
重なる部分も当然あるでしょうが、アートと広告は本質的には異なるもの。
アートというのは分かる人だけ分かってくれれば成立するかも知れませんが、広告においてはそんなこと言っていられません。
消費者の皆様に伝わること、それが最優先されなければならないはずです。
結果として分かりにくいものが出来上がってしまうことももちろんありますが、「カッコいいものを作りたい」「オシャレなものを作りたい」「とにかく目立たせたい」などということは二の次三の次四の次、情報をいかに整理し、翻訳(専門用語を言い換えたり)するかが何より大切だと考えています。



引き算の美学。

たとえば「文字を大きくしたい」と思っても、実際に大きくすることで周りの情報と干渉しあい、かえって見辛くなるケースが多々あります。
こちらは言いたいことを最大限伝えたいあまりついつい欲張ってしまいますが、情報を詰め込み過ぎると、結局何が言いたいのかがぼやけてしまいがちなのです。




そんな時は「俺、本当に文字を大きくして欲しいんだろうか」などと自問します。
すると自分が文字を「大きくして欲しい」のではなく、その文字を「お客様に見ていただきたい」だけなのだということが分かります。
大きくすることで却って見辛くなるのであれば、逆にその他の要素を目立たなくすることで見てもらいやすくなるのでは?
となると情報を整理し、言いたいことに優先順位を付ける必要があります。
優先順位の低い要素は逆に小さくしたり、時には涙を飲んで削らなければならないというわけです。

歌い出しからサビまで、ずっとボリューム最大で歌ってしまう人がいますが、そうすると肝心のサビで盛り上がりませんよね。
要はメリハリではないでしょうか。



ツッコミどころ満載の広告をつくってみました。

そう考えると、この画像みたいなのはちょっと厳しいですよね。
私が適当に作った架空の広告です。
スマホだと案外読みやすかったりしますが、品のあるなしは別として、メリハリがなくてとにかく見づらいですよね。
車名を認知させたいのか、キャンペーンをアピールしたいのか、結局ごちゃごちゃしてよく分かりません。
あれも目立たせたい、これも目立たせたいと欲張ってしまうと、得てしてこうなってしまいます。





スペックを語らない。

しかも冒頭から「驚愕の」とか自分で言っちゃう? みたいな。
驚くかどうかはお客様自身が判断することであって、驚く人は驚くだろうし、驚かない人は驚かないのです。
驚かない人はこの広告がそもそも届かない人なのだから、いくら「驚愕の」とこちらがアピールしたところで何の意味もないというか・・・。

何より問題は「3000ccハイブリッドエンジン」ってそもそも何なのってところですよね。
私は車に詳しくないので、この手の専門用語を並べられても一切価値が分かりません。




とあるセミナーに参加した際、講師の藤村さんという方が「スペックを語るな」と仰っていました。
「3000ccハイブリッドエンジン」を搭載していることで、例えば「揺れが少ない」とか、「燃費が良い」とか、実際に乗る人がどんな恩恵を受けるのかを表現しないと、一部の予備知識のある人にしか伝わらないのだと。

確かにその通りで、これも根本にあるのは「利他」の精神ですよね。
言いたいことを言えたかどうかではなく、お客様に伝わったかどうかを基準に考える。
大切なことですが、実践するのはなかなか難しい。
広告を見る方の年齢や性別、生活環境や性格というのはまさに十人十色ですから、見つかるはずもない最大公約数を求めてさまよう日々であります。



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