化学系エンジニアの独り言

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ハイブリッド車の三種の神器

2006-12-04 | 省エネルギー
いまどき三種の神器とは古めかしい言い方ですが、ハイブリッド車を支える三大技術についてです。エンジンとモーターという二つの動力源を有するハイブリッド車は、一般ガソリン車には無い装備を必要とします。それがパワーコントロールユニット、モーター付トランスミッション、大容量バッテリーです。

ハイブリッド車で高燃費、つまり高エネルギー効率が達成できるのは、極めて単純化して言うと次の通りです。
ブレーキ時に発電機を回してバッテリーに充電し、その電気を利用して発進するので発進時のエネルギー消費がゼロになる。エンジンは一定走行時主体の使用になるのでエネルギー効率が最も良く、それゆえに車体の大きさに比べて小さなエンジンでよい。
言葉で表現するのは簡単ですが、これを実現するためにさまざまな技術が開発されています。いずれも小型化・軽量化と高性能化・高出力化のための技術です。

パワーコントロールユニットとはバッテリーに貯められている電力をモーターで使用するために昇電圧したり、逆にワイパーなどの使用のため降電圧したり、直流を交流に変換したりする部分です。初期のハイブリッド車は30Lの容積を占めていたようですが、最新型では約3分の1に小さくなっています。

トランスミッションは発電機、動力分割機構(エンジンの動力を発電機とシャフトに振り分ける)、モーター、2段変速機などです。高出力を得るためモーターは500Vから600Vのものが使用されています。また、高速で高トルクを得るため変速機が装備されています。

バッテリーはニッケル水素で約300Vの電圧を有しています。出力密度と放電容量だけを考えるとリチウムイオン電池(デジカメなどに使われている)のほうが良いのですが、価格や安全性の観点から現在はNiMH電池になっています。

確かに燃費の良いハイブリッド車ですが、一般車との価格差は40万から50万くらいです。6年無いし7年で更新するとすれば、月5000円以上ガソリン購入費が下がらないとペイしません。もちろん、高燃費ゆえの省エネルギー、省資源ひいては温暖化ガス削減という大義名分はありますが、一般消費者に広く普及させるためにはコスト/パフォーマンスを度外視することはできません。

最近注目されているのが、プラグインハイブリッドという方式です。ハイブリッド車といえども走行のための燃料つまりエネルギーはすべてガソリンです。そこで家庭用のコンセントから夜間にバッテリーに満充電して、電気だけである程度走ってしまおうというものです。ガソリンと電気の価格は圧倒的に電気が安く、およそ3分の1程度でしょうか。

トヨタやGMは公式にこのプラグインハイブリッドを開発していると表明しています。ポイントはなんと言ってもバッテリーのようで、リチウムイオン電池を使用することになりそうです。カリフォルニアのエナジーCS社はプリウスをプラグインタイプに改造しています。バッテリーのみで80km走れるといいます。

ハイブリッド車の進化はまだまだ続くということのようです。