サウジアラビアで思い浮かぶのは、産油国、イスラーム国家、砂漠などです。近年の石油価格高騰の恩恵を受けて積み上がるマネーをどのような投資に振り向けようとしているのでしょうか。
サウジはこれまで親米路線でしたし、それを極端に変えることはないでしょう。しかし、イスラーム同胞意識を基盤として見れば、WTCの9.11テロやデンマークに端を発する風刺漫画事件など近年の欧米との関係は必ずしもよくありません。ここで中国が石油を求めて中東諸国に積極的にアプローチしていることもあり、アジア・日本にも目を向けているようです。
日本との関係について、2004年に昭和シェル石油の10%の株をアラムコが取得したことで、サウジから日本への原油輸出は拡大し増した。それまで日本のトップ輸入先であったUAEを抜いてサウジがトップになっています。ちなみに日本の原油輸入先は、サウジ26%、UAE25%、イラン15%、カタール9%と続きます。日本にとって最も近い関係の中東国といえます。
石油マネーは石油へ還元というわけでサウジでは原油生産能力増強に力を入れています。現在の能力は1,100万BD(実際の原油生産量はこれよりも少なく、900万BDです。この差が増産余力と呼ばれるものです。)といわれていますが、これを2009年には1,250万BD、長期的には1,500万BDに引き上げる計画です。
石油が増産されるとエタンを主成分とする随伴ガスの生産も増加します。随伴ガスは発電用燃料に利用されます。サウジの発電量すなわち電力需要量は石油随伴ガスの増加ほどは増えないでしょうから随伴ガスに余剰が生じます。ガスとして輸出しても良いのですが、より付加価値をあげるためにこの随伴ガスを利用して石油化学産業を拡大しようとしています。
住友化学とアラムコは共同で1.1兆円を投じて石油精製・石油化学コンビナートを建設しています。2008年末にはエチレン年産130万トン、プロピレン年産90万トンが生産されるはずです。主要な部分の工事を請け負うのが日揮です。日揮の受注額は2000億円とも言われています。
このコンビナートは一定期間、公定価格で原料のエタンガスを購入できます。日本の石化工場での原料ナフサの購入価格は1トン600ドルです。これに対してサウジでのエタンガスの購入価格は1トン37ドルです。原料代が10分の1以下ということです。さらに原油価格が上昇すればナフサ価格も上昇しますが、サウジコンビナートは原料代が変わらない契約なので、原油が高騰すればするほど価格競争力が出てくるという仕組みです。
サウジではこれ以外にも石油化学プラント増設の計画があります。こんなに増産して供給過多になったらどうするのかと思いますが、先ほど言ったように圧倒的な価格競争力がありますから、供給過多によるオレフィン価格下落が起きても心配ないというわけです。
一方、オレフィンを生産しこれを原料に合成樹脂を製造する産業が広まることで雇用が創出されます。サウジでは20歳以下の人口割合が50%以上と、日本では考えられない数値です。この若年層を吸収するだけの国内雇用を生み出したいというわけです。
それにしてもアッラーのお陰とはいえ、石油が埋蔵しているというのは本当にうらやましい限りです。サウジ国内のガソリン価格は1リットル当り16円と破格です。石油輸出額は17兆円、国家財政は6兆円の黒字だそうですから、この様なことができるのでしょう。ちなみに日本の輸入額は60兆円、輸出額は70兆円です。日本はやっぱり、加工貿易の国としてこれからも生きていかなければなりません。
サウジはこれまで親米路線でしたし、それを極端に変えることはないでしょう。しかし、イスラーム同胞意識を基盤として見れば、WTCの9.11テロやデンマークに端を発する風刺漫画事件など近年の欧米との関係は必ずしもよくありません。ここで中国が石油を求めて中東諸国に積極的にアプローチしていることもあり、アジア・日本にも目を向けているようです。
日本との関係について、2004年に昭和シェル石油の10%の株をアラムコが取得したことで、サウジから日本への原油輸出は拡大し増した。それまで日本のトップ輸入先であったUAEを抜いてサウジがトップになっています。ちなみに日本の原油輸入先は、サウジ26%、UAE25%、イラン15%、カタール9%と続きます。日本にとって最も近い関係の中東国といえます。
石油マネーは石油へ還元というわけでサウジでは原油生産能力増強に力を入れています。現在の能力は1,100万BD(実際の原油生産量はこれよりも少なく、900万BDです。この差が増産余力と呼ばれるものです。)といわれていますが、これを2009年には1,250万BD、長期的には1,500万BDに引き上げる計画です。
石油が増産されるとエタンを主成分とする随伴ガスの生産も増加します。随伴ガスは発電用燃料に利用されます。サウジの発電量すなわち電力需要量は石油随伴ガスの増加ほどは増えないでしょうから随伴ガスに余剰が生じます。ガスとして輸出しても良いのですが、より付加価値をあげるためにこの随伴ガスを利用して石油化学産業を拡大しようとしています。
住友化学とアラムコは共同で1.1兆円を投じて石油精製・石油化学コンビナートを建設しています。2008年末にはエチレン年産130万トン、プロピレン年産90万トンが生産されるはずです。主要な部分の工事を請け負うのが日揮です。日揮の受注額は2000億円とも言われています。
このコンビナートは一定期間、公定価格で原料のエタンガスを購入できます。日本の石化工場での原料ナフサの購入価格は1トン600ドルです。これに対してサウジでのエタンガスの購入価格は1トン37ドルです。原料代が10分の1以下ということです。さらに原油価格が上昇すればナフサ価格も上昇しますが、サウジコンビナートは原料代が変わらない契約なので、原油が高騰すればするほど価格競争力が出てくるという仕組みです。
サウジではこれ以外にも石油化学プラント増設の計画があります。こんなに増産して供給過多になったらどうするのかと思いますが、先ほど言ったように圧倒的な価格競争力がありますから、供給過多によるオレフィン価格下落が起きても心配ないというわけです。
一方、オレフィンを生産しこれを原料に合成樹脂を製造する産業が広まることで雇用が創出されます。サウジでは20歳以下の人口割合が50%以上と、日本では考えられない数値です。この若年層を吸収するだけの国内雇用を生み出したいというわけです。
それにしてもアッラーのお陰とはいえ、石油が埋蔵しているというのは本当にうらやましい限りです。サウジ国内のガソリン価格は1リットル当り16円と破格です。石油輸出額は17兆円、国家財政は6兆円の黒字だそうですから、この様なことができるのでしょう。ちなみに日本の輸入額は60兆円、輸出額は70兆円です。日本はやっぱり、加工貿易の国としてこれからも生きていかなければなりません。