化学系エンジニアの独り言

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水と空気で発電する燃料電池???

2008-06-14 | エネルギー
今年になってスリリングな展開を見せていたアメリカ大統領選挙、じゃなかった民主党候補者選挙がようやく決着をしました。昨年のこの時期には、おそらくほとんどの日本人は知らなかったであろう、もちろん私も知りませんでした、オバマ氏が民主党候補となりました。昨年秋ころは、もうヒラリー氏で決まりといった感じでしたが、こういう結末を見せられるとアメリカという国のダイナミズムを感じます。もっとも、まだ大統領になったわけではありませんが。プレーオフの試合でも充分楽しめた、というところでしょうか。

それに比べて日本の政治の閉塞感はどうにも成らないのでしょうか。いや、We can change!ですね。

ネット上の記事で大阪の会社が「水と空気で発電する燃料電池を開発」とありました。この表題だけから判断すると、水と空気だけから発電できるのであれば、エネルギー問題は一気に解決、と早合点してしまいます。

しかし、水と空気だけでは発電できる道理がありません。エネルギー保存の法則に従えば、
(系のエネルギー蓄積)=(流入エネルギー)-(流出エネルギー)
です。このFCの場合、流入側は確かに水と空気だけです。FCから流出するのも水と空気(酸素が減っていますが)と電気エネルギーです。とすれば、上式からFC装置のエネルギー蓄積はマイナスと成ります。つまりはFC装置内にもともと合ったエネルギーが減ってその分が電気エネルギーとして発電されたわけです。

記事の本文を読むとFC内には水を水素と酸素に分解するための金属水素化物に似たものがはいっているという。つまりはこの金属水素化物が酸化されて、金属水酸化物になり、それによって水から水素ができ、FCはその水素を使って発電しています。

それゆえ金属水素化物を使い切ってしまえば、いくら水と空気を供給してももはや発電はしないはずです。
加えて金属水素化物を使って水素を作る方法はよく知られています。いったいこの記事を書いた人は、何がNewsだと考えたのでしょうか?

と思っていたら、同じような突込みが多かったのでしょうか、記事の続編がアップされていました。
「反応が終了すれば,水素の発生も発電もストップする。 」
「システムの特徴はこの金属または金属化合物の反応性を制御して長時間に使うことを可能にした点にある」
んー、長時間使うことが可能という言い方も、よく分からんなー。
でもこれ以上、突っ込むほどの意味もないか。