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別働隊超えた“第1外務省” NSC事務局
国家安全保障会議(NSC)の事務局である「国家安全保障局(安保局)」の動きが活発化している。安倍晋三首相の肝いりで、安全保障に関する外交・防衛政策の司令塔として今年1月に発足。これまで表になっている米国や韓国、ロシアなどの当局に加え、関係が冷え込む中国の当局とも水面下で接触し関係構築を急ぐなど、徐々に存在感を増しつつある。
首相官邸で12日夕、安倍首相のもとに麻生太郎副総理や岸田文雄外相らが集まり、NSC4大臣会合を開催した。東シナ海上空で11日に発生した中国軍機による自衛隊機への異常接近について、中国側の意図などに関する安保局の分析結果が報告された。
日中関係が緊迫化する中で、NSCは安保局トップの谷内正太郎局長の訪中や日中当局間の情報交換を中国側に要請してきた。「今の冷え込んだ日中関係では閣僚級の会談は難しい」(同局関係者)のが現状で、関係改善の糸口を探りたい考えだ。
安保局はこれまで、公式な外交ルートでは会談しにくい国々と接触してきた。5月5日に谷内氏がモスクワを極秘に訪問。プーチン露大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記とウクライナ問題をめぐり会談した。ロシアに「責任のある行動」を求めるとともに、日本はロシアとの対話を継続するという首相の意向を伝えたとされる。
5月初旬には、安保局の韓国担当幹部がひそかにソウルに渡った。韓国側のカウンターパートである大統領府の「国家安保室」との意見交換や谷内氏の訪韓を調整したとみられる。ただ、韓国の通信社は、この幹部が集団的自衛権の行使容認に向けた有識者会議の報告書を韓国側に事前説明したと報じている。
NSC幹部は「安保局の意義は、日本に欠けていた安全保障と外交のインテグレーション(統合)。それが形に表れ始めている」と強調する。外務省幹部は「谷内氏は元外務事務次官で、事実上、一体化している」と外務省の“別動隊”との認識を示すが、「いまやNSCは“第1外務省”だ」(与党幹部)とも言われている。
首相は、11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた中国の習近平国家主席との日中首脳会談を模索している。