木が好きです。
木製品の魅力を多くの方へ伝えたい。
身近にある材料で、普段使いの家具をつくりたい。
ということで、地元に存分にある材料、地杉を使って家具をつくっています。
これは、家具作りを職業としている視点からの言葉。
本来は、自給自足にあこがれて、身の回りの物は自分でつくってみようということで、
身近にある材料、地杉を使っての日用品を作り始めたのがきっかけです。
いずれにしても、杉という材料との出会いがあって、この今がある訳でして、
杉には感謝の念と恩を抱いていおります。
一般的に、杉は家具材としては、軟らかく、傷つきやすいという難点があり不向きと考えられておりますが、
そういう常識的な枠は抜きにして考えてみると、杉材の良い面も多々あります。
その良い面の一つとして、軟らかい、つまり柔らかいということでもありまして、
手触りが優しく、親近感が持てる、フレンドリーなことです。
特に椅子の座面に杉を使った場合、他の広葉樹の座面と座り比べてみますと、
その違いは明らかで、お尻は断然フレンドリーな杉の方を好んでいます(私の場合)。
とまあ、このようなことから、椅子の座面=杉という方程式が、私の頭の中で確立されていたのですが、
椅子のレストア(←過去のブログ記事)の仕事をしたことをきっかけに、見事に崩れ去りました。
冷静に考えてみれば当然ですが、木の板の座面よりも、クッションの座面のほうが柔らかいです。
またそのクッションも単純に、一種類のスポンジを使うのではなく、高弾性、低反発スポンジを組み合わせたり、
表面には、
東レのエクセーヌ(スエード調の人工皮革)を使ってみると、
天然素材の木にも匹敵する良いものが出来上がりました。
私自身、年を重ね、おいじちゃんになったことを想像してみます。
体の自由も年相応に効かなくなってきています。
ある待合室にて、長い時間、座って待たなければいけない場合、
そこに、木の座面の椅子と、クッションの座面の椅子があるとします。
さて、どちらに座るでしょうか?
とまあ、
すごく前置きが長くなりましたが、
クッション座面の椅子の試作品の紹介です。
クッション部分以外は全て地杉を使っています。
クッションは、東レのエクセーヌで、スウェード調となっているところが味噌です。
本革や、ビニールレザーですと、お尻が滑ってしまい、体の姿勢を保持するのに無意識に余分な力がかかることがあります。
その点、エクセーヌは適度なフリクションがあり、お尻を包んでくれるような感触がとても良いです。
また、
お手入れ方法もそれほど難しいものではありません。
カラーバリエーションも豊富。
まだ試作段階です。
レザー張りは難しいです。
あまり地の薄いものは皺が出やすいです。
試行錯誤して、それなりのものにしていきたいです。