賽銭箱の製作依頼があり、その記録を残して置きます。
↑ こちらは賽銭箱土台板部分
框組の内側に溝を彫り、27mm厚の底板を嵌めこみます。
底板には縦に落とし込むための溝が掘られています。
また、四隅の柱材のホゾ穴も加工してあります。
↑ 土台部分と天部分の框組をクランプ
このクランプはドイツBESSEY社のもので毎度のことながら大変重宝しています。
もっと本数を増やしたいのですが、1mサイズのクランプで価格が10,000円前後と高価なのでそれなりの決断が必要です。
↑ 先ほどクランプした土台部分の裏側
ご依頼主の要望でキャスターを取り付けました。
タイヤはウレタン素材を採用・・・ウレタン (熱可塑性), 耐摩耗性・耐油性に優れ、床面汚染の心配がないなどゴム車の幾つかの欠点を補いながらも多少の弾性を有します(メーカーHPより)。
今回の賽銭箱は拭き漆仕様としました。
拭き漆はこちらからの提案です。
賽銭箱は拝殿の軒下に置かれますが、外気に触れるのはもちろん、日差しに当たったり、雨風の強い時には濡れることもあるでしょう。
通常の漆は工芸品や食器類に良く使われますが、紫外線には弱く劣化すると言われることから、
屋外などの太陽光と雨のあたるような場所にはあまり使われていないと思います。
こうした理由から、半屋外で使われる賽銭箱には積極的には使えなかったのですが、
MR-S漆というのを知り、今回は拭き漆の仕上げ塗りに採用することにしました。
天然漆MR-S・・・従来の精製とまったく違う3本ロールミル製法による漆(特許製法)で、漆に含まれている成分を細かく分散させた漆で、
・粘度が低く、艶が高い・透明性が良くにごりが無い・耐久性、耐候性、耐光性に優れているという特長があります。
実際に使ってみると、今までの漆とは別物というくらいのものでした。言葉では言い表せないのですが、さらっとしながらも心地良い弾力のある粘性で高純度高品質といった感じでしょうか。
塗り味も気持ちが良く、更に楽しい作業となります。でも価格が高い! 100gで3,500円くらいします。
↑ 仮組中
賽銭箱内側は塗っていないように見えますが、一度塗りはしてあります。
また、雨に濡れることを想定して溝の底と内側部分、板材木口にも塗ってあります。
中の構造の写真も撮ったのですが、防犯上、あまり詳しくは載せれないので控えます。
賽銭箱は、防犯と実用性(使いやすさ)の両立があるのでなかなか奥が深いです。
↑ こちらは梱包の様子
当初、木枠梱包を考えていたのですが、開梱作業が大変と思っていたところに、ストックしてある段ボールを探していたところ、
偶然にもほぼジャストサイズの厚手で丈夫な段ボール箱(家庭用電気耕運機)がありましたので、それを使わせて頂くことにしました。
一品一品手づくりの木工品は決まった形ではないので、いつも梱包作業には結構な手間と時間がかかります。
ですので、島外へ出荷する場合には送料の他に梱包手数料を頂くことにしておりますので、どうかご了承ください。