福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

お社 製作記録 5

2022-04-28 19:15:00 | 製作記録

鰹木づくり「後編」


 

前回では、鰹木(かつおぎ)を丸めてペーパーがけまでしました。

今回は、鰹木を屋根の棟部分にあたる甍覆(いらかおおい)に取り付けるための加工。

 

まずはテーブルソーの刃を67.5度にセット。

鰹木を保持するための治具を作って、

角度をつけて切れ目を入れていきます。

 

テーブルソーのノコ刃を高く出すのでとても危険な作業。

見るからに安全な加工方法ではないので、

機械のスイッチを入れる前に、

何度も頭の中でシュミレーションし、危険要素を洗い出します。

 

下の写真は記録として載せているだけで、真似はしないでください。

安全は保証されていません。

 

円柱、しかもエンタシス形状なので、部材を保持しにくいところがネック。

ですので、治具にセットする際は、部材が動かず、しっかりと保持されるよう強く締め付けています。

 

 

テストピースでの試し切り。

 

 

 

緊張した加工を終え、ボール盤でダボ穴あけ。

 

 

鰹木を取り付ける部材(甍覆)へのダボ穴あけ。

 

 

取り付けイメージ。

 

 

お社製作の様子をブログで紹介してますが、

初めての製作であり、あくまで自己流ということですので、その旨ご了承ください。

 

 


 

 

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お社製作6 柱の加工 2022/5/2

お社製作7 塗装作業 2022/5/9

お社製作8 漆塗り 2022/5/14

お社製作9 お社の床板加工 2022/5/16

お社製作10 御扉の製作 2022/5/19

お社製作11 御扉の組み立て 2022/5/23

お社製作12 棟上編 2022/6/20

お社製作13 仕上げ編 2022/7/6

 

 


 

 

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お社 製作記録 4

2022-04-26 23:09:45 | 製作記録

鰹木づくり「前編」


 

鰹木(かつおぎ)とは、神社屋根の棟木と直角の方向に横たえ並べた丸太のこと。

現代では、装飾となっていますが、本来は茅葺き屋根を押さえたりする役目があったと思われます。

 

まずは、鰹木の丸太を削り出す角材づくりから。

 

 

 

角材の形を揃えたのち、テーブルソーで八角形に。

 

 

 

センター出し。

 

 

 

木工旋盤で円柱状に加工。

 

 

 

専用の治具をつくり、トリマーを水平方向に動かして削り出していきます。

 

 

 

真っ直ぐの円柱をエンタシス(中央に膨らみをもたす)に加工するため、先ほどのトリマー治具を斜めにセット。

 

 

 

先細りになるように加工。

 

 

 

 

加工動画はこちら(*機械音に注意)

 

 

 

トリマーで荒削りしたところ。

逆目になっている部分は欠けてしまいました(写真右側手前)。

あらかじめ予備を含めて加工しています。

 

 

 

再度、木工旋盤にセットして、ペーパーがけ。

 

 

 

多少筋が残るものの、比較的きれいに仕上がりました。

 

 

 

 


 

 

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お社 製作記録 3

2022-04-25 22:38:32 | 製作記録

お社の材種


 

お社製作のご依頼時に、材種は地杉でとのお話がありました。

屋久島で杉といえば屋久杉が有名です。

 

屋久杉と地杉の違いは?

 

「屋久杉」とは、樹齢1000年以上で標高の高い雲霧林で育った杉。

「地杉」とは、人の手によって植林された杉のことです。

 

屋久島の「地杉」は一般的な杉と比べて、色艶よく油分も多く、強度も高いといわれています。

 

屋久島産地杉で製作した「どこでもスツール」

 

スツール脚の製作風景

スツールの脚には強度と粘りが求められます。

屋久島で育った地杉だからこそ製作できる家具の一つ。

 

今回のお社にも、このような屋久島の地杉を存分に使っています。

特に、土台などの要所には、力強い年輪で、油分の多い赤身を選んでいます。

 

 

お社の材種、地杉以外には・・・


 

冒頭の通り、地杉での製作依頼でしたが、神社仏閣といえば桧づくり。

1000年以上前に建てられた法隆寺も桧。

『日本書紀』にも「ヒノキは宮殿(建築材)に使え」と記されています。

 

今回のお社には、屋久島産の地杉を主に、部分的に同じく屋久島産の桧を使うことにしました。

桧は地杉に比べて加工しやすい(刃物のあたりが良い)のが特徴です。

お社の製作では特殊な加工をする箇所があるので、桧材も含めることにした次第。

 

 

 

桧材の加工


 

とっておきの桧材をテーブルソーで割っているところ。

年輪がとても積んでいます。

 

 

 

木目が美しい!

油も詰まって色も飴色。

ある意味、屋久杉より貴重な材ともいえます。

 

 

 

ブックマッチ(木目が左右対称)に木取りした板材。

これは「お扉」に使う予定。

 

 

作業場は桧の香りに包まれています。

 

 


 

 

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お社 製作記録 2

2022-04-05 20:23:38 | 製作記録

お社の板材加工


 

構造材となる骨組み(柱・梁・桁・土台)と並行して板材の加工をしています。

今回のお社で板材を使うところは、屋根、壁、床の三箇所。

 

床材は丁度よい大きさの一枚板がありましたのでそれを使うことに。

そのほかの屋根と壁材は、一尺以上の幅広材が必要となるため、板接ぎをしてつくることに。

 

板接ぎ方法は、雇い実接ぎ(やといざねはぎ)。

テーブルソーで実溝をつくっています。

 

 

最初に雇い実(溝と溝との間に入れる材)を作っていますので、

その雇い実の厚みに程よく合うよう板接ぎする溝幅をテーブルソーで微調整。

そして、雇い実と板接ぎ用の溝の嵌り具合を確認。

 

 

 

耐水性の接着剤を塗布してからクランプ圧着。

 

 

板接ぎの後、軒下で外気に触れさせているところ。

 

無垢の木は、環境(温度・湿度など)により、加工した後でも反ったり曲がったりと動くことがあります。

特に屋根や外壁などは、周りの環境に影響を受けやすいので、材料選びは慎重になります。

 

写真のように、加工後、外気に晒して無垢材がどのように動くのかを確認しておくと安心です。

もし、すごく暴れる材で不敵であれば作り直すこともあります。

 

 

 


 

 

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お社 製作記録 1

2022-04-01 07:11:35 | 製作記録

お社の製作依頼


 

普段は注文家具屋なのですが、時々家具以外の製作依頼を受けることがあります。

今回ご依頼いただいたのは「お社」。

 

現在あるお社の老朽化により、新たに作り直すことになりました。

お社の寸法は、高さ(千木含め)約90cm・幅(屋根幅)約80cm。

 

随分と昔、お客様のご依頼で家庭用の神棚の修理をしたことがありましたが、

この大きさのお社を一から製作するのは初めての試みとなります。

 

 

まずは設計から


製作するのが初めてなら設計も初めてなので、さて、どこから手をつけていけばよいのか?

漫然とインターネットでお社の写真を眺めているだけでは設計できません。

ということで、お社の元となる神社建築について調べることから。

 

神社(社殿)建築には大きく分けて二つの様式があり、

一つは伊勢神宮に代表される「神明造」、

もう一つは出雲大社に代表される「大社造」。

神話には詳しくないのですが、「天津神」・「国津神」で様式がわかれるのかな。

 

 

お祭りする神さまは


ククノチ神

「古事記」では 久久能智神、「日本書記」では 句句廼馳と表記。

ククノチ神は、イザナギ・イザナミの間に「木の精ククノチ」として産まれた神さま。

また、ククノチの「チ」は、男性的な神霊を表し、ククノチ神は「木の男神」であるとする説がありましたのでこれを参考に。

 

 

社殿屋根の「千木」と「鰹木」


「千木は屋根の両端で交叉させた部材であり、鰹木は屋根の上に棟に直角になるように何本か平行して並べた部材である。

どちらも古墳時代には皇族や豪族の邸宅にも用いられたが、今では神社の屋根にのみ特徴的にみられる。」

『Wikipediaより引用』

 

細かい話になりますが、「千木」と「鰹木」は、男性神を祭るのか、女性神を祭るのかで様式が分かれるようです。

千木は外削ぎと内削ぎ、鰹木は偶数と奇数のそれぞれ二通りあります。

一説によれば、

千木が内削ぎで鰹木が偶数の場合・・・女性神

千木が外削ぎで鰹木が奇数の場合・・・男性神

今回の様式は、ククノチ神を男性神とみなして、外削ぎ・奇数でつくることに。

 

その他にも、

設置場所の環境を考慮し、メンテナンスしながら、できるだけ長持ちするよう設計していきました。

最終的に落ち着いたのが、シンプルな折屋根宮を基本に神明造の千木と鰹木を合わせた様式。

 

   完成イメージ図

 

 

 

材料選び・墨付け


お社にはご神体をお祭りしますが、ご神体そのものは神さまでなく依り代という考えがあります。

そのご神体を安置する入れ物がお社。

神さまの依りやすい自然素材でつくるのが大事。

また、見えない部分ですが、つくり手の気持ちも大事と思います。

・・・身が引き締まる思いです。

 

 

適材適所で材料を吟味して選び、

間違いがないよう何度も確認しながら慎重に墨付け作業を進めます。

 

 

 

 

 

 


 

 

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福島木工家具店の紹介

2022-04-01 00:00:00 | 福島木工家具店紹介


名称:    福島木工家具店


所在地:   〒891-4404 鹿児島県屋久島町尾之間752

TEL/FAX:  0997-47-2695 作業中は出れない時があります


メール:   fukumoku1@gmail.com


仕事概要:  屋久島産地杉などを利活用した家具など木工品の製造販売


仕事姿勢:  自然の恵み(木)を人々の暮らしの中に活かし、自然に感謝し自然に通じ合えるような家具作りを心掛けています


木工経歴: 
         2001年  屋久島へ移住しDIYを始める

         2005年~ 趣味と実益を兼ねて屋久町産業祭へ家具を出品

         2008年~ 家具作りが本業となり、個人のお客様や店舗等に納入

         2015年  全国木工芸の祭典 in 屋久島 奨励賞

         2015年  熊毛地域特産品コンクール 工芸品部門 優秀賞受賞

         2017年  屋久島町立屋久杉自然館リニューアルに伴い、地杉のオブジェ納入
               (木のあふれる街づくり事業 かごしま木づかいモデル製品の設置)
               youtube動画 屋久杉自然館 からくり杉

         2018年  「どこでもスツール」

               熊毛地域特産品コンクール 工芸品部門 最優秀賞受賞

         2020年  鹿児島県木育インストラクター養成講習会修了

         2021年  「YAKUSHIMA 杉のくみつみ木」

               令和3年度熊毛地域特産品コンクール 工芸品部門 最優秀賞受賞

               KTS鹿児島テレビ 【屋久島・種子島 こだわりの逸品 ~2021熊毛地域特産品コンクール~】

 

 

              

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