前回挙げた金の星社の『少女・世界推理名作選集』の
中に、アイリッシュを飛躍させたと言ってもよいほどの
代表作「まぼろしの女」がある。
推理作家としては群を抜いた情景描写、心理描写で
読者を魅了させていく彼独特のタッチがあるが、
「夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに
彼の気分は苦かった。」で始まる「まぼろしの女」の
冒頭部はあまりにも有名である。
ただし、『少女・世界推理名作選集』は子供向けなので
そのような始まり方ではなかったが、すっかりアイリッシュ
ファンになっている私としては、その他の本で読んだ
“あとがき”からこの「まぼろしの女」の評判を知っていた。
だからこそ、今度ばかりは少し期待感もあったのかも
しれない。
無実の罪を着せられた死刑執行を目前とした主人公。
きっとこれも最後の最後には無実が証明でき刑を免れる
ことができるんだろうと思い読んだ。パターンだ。
それは想像通りなのだが、実はその真相にびっくり仰天
驚かされる。筋が読めていても真相までは全く読めない。
しかし、私にとってこの作品はあまりに読む前から
楽しみにしすぎたため、それほど印象深いものではない。
アイリッシュを読んでいく中で通過点的な作品となった。
けれども、推理小説フリーク友人に私がアイリッシュを
絶賛していたら、あるとき興奮状態で私に電話をくれた
ことがあった。「まぼろしの女」を読んで、感動したらしい。
その心の高揚を友人と共有できるのは何とも楽しく、
嬉しいものだ。
中に、アイリッシュを飛躍させたと言ってもよいほどの
代表作「まぼろしの女」がある。
推理作家としては群を抜いた情景描写、心理描写で
読者を魅了させていく彼独特のタッチがあるが、
「夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに
彼の気分は苦かった。」で始まる「まぼろしの女」の
冒頭部はあまりにも有名である。
ただし、『少女・世界推理名作選集』は子供向けなので
そのような始まり方ではなかったが、すっかりアイリッシュ
ファンになっている私としては、その他の本で読んだ
“あとがき”からこの「まぼろしの女」の評判を知っていた。
だからこそ、今度ばかりは少し期待感もあったのかも
しれない。
無実の罪を着せられた死刑執行を目前とした主人公。
きっとこれも最後の最後には無実が証明でき刑を免れる
ことができるんだろうと思い読んだ。パターンだ。
それは想像通りなのだが、実はその真相にびっくり仰天
驚かされる。筋が読めていても真相までは全く読めない。
しかし、私にとってこの作品はあまりに読む前から
楽しみにしすぎたため、それほど印象深いものではない。
アイリッシュを読んでいく中で通過点的な作品となった。
けれども、推理小説フリーク友人に私がアイリッシュを
絶賛していたら、あるとき興奮状態で私に電話をくれた
ことがあった。「まぼろしの女」を読んで、感動したらしい。
その心の高揚を友人と共有できるのは何とも楽しく、
嬉しいものだ。
「ニューヨークの五月の夕べ、道ゆくたのしそうな人びとのなかに、ひとりだけ、おそろしく憂うつな顔をした男がまじっていた。」