♪シンガーソングライター★近井智沙子のブログ☆彡

シンガーソングライターは趣味と言い切る近井智沙子のちょっとした日常を書き留めます。

暗闇へのワルツ

2006-05-02 | Tue:推理小説と私
ついにこのときが来た。私がこのブログ火曜日で
“推理小説と私”と題し書き綴ってきたのは、他でも
ない『暗闇へのワルツ』について筆を執りたかった
からなのだ。

言うまでもないが、ウイリアム・アイリッシュの
作品である。私にとってこの小説抜きには語れない。

大学1回生のとき、再び読書欲が戻ってきた頃のこと。
大きな書店でいつものように読んでいないアイリッシュの
本はないかと探す。私がそのとき手に取ったのは早川
書房の文庫本だったと思う。他のアイリッシュの長編作
よりも少し分厚めで読み応えがありそうだった。

読んだことがないのは明らかだったので、購入は決定
だったが、いつ読もうかと思案しただけだった。何しろ
アイリッシュの作品は一気にしか読めないからだ。私は
どちらかというと読むのが遅いので、これだけ分厚いと
何時間かかるだろうかと気になった。

それでもお正月休みにふと夜、たっぷり時間があり
『暗闇へのワルツ』を読んでみたくなった。夕食も
早々に済ませ、お風呂にも入ってパジャマにも着替え、
ベッドの上でスタンバイOKだったのが夜7時だった。

さすがにアイリッシュ特有のタッチで、すぐさま物語に
引き込まれる。現実の時間の流れは全く耳に入らず、私の
頭の中は小説の中の時間体系で進んでいく。おそらく
客観的に見たら一心不乱に読書している様だろう。

ようやく最後の1ページにたどり着き、最後の1行を
読み終えた瞬間、
「うわーーーーーーん!わーーーーーん・・・」
私は声を上げて泣いていた。本当に子どものように。

むせび泣いたりすすり泣いたりするのはわかるが、後にも
先にもこんな泣き方になったのは初めてだった。しかも
深夜の3時の静まりかえった都会の一室で私はわめくように
泣いてしまったのだ。

これは推理小説というよりも恋愛小説だと思った。
フランスのB級映画に「暗くなるまで この恋を」と
いうタイトルで映画化されているが、見たいような見たく
ないような・・・。見るとしても何も期待しないで見たい。

もしこれでこの本を読んでみたいと思われる人がいたなら、
ちょっと待ってほしい。私はいきなりこの小説を薦めたくは
ない。アイリッシュの持つ独特の世界をある程度知ってから
この小説を読んでいただきたいのだ。

泣きたいときは私はこの小説を読めば必ず泣ける。
ただ・・・8時間かかるけどね。

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