ミネソタ州で橋の落下事故が起こったことから、先日NHKの「クローズアップ現代」で取り上げられていた。
橋の落下による被害が甚大であるにも拘わらず、番組から窺うかぎり、化学プラントと比べてメンテナンスが疎かになっているようだ。
落下原因として構造部材の腐食減肉、金属疲労、材質と気温によっては応力腐食割れや低温脆性などが考えられるであろう。ただし、現実的には構造部材の腐食減肉による強度不足が殆んどと言ってよいであろう。
構造部材の腐食減肉の問題は化学プラントでも大きな問題で、現状の把握検査としては最も件数が多い。化学プラントでの腐食減肉は内面と外面の両方を考慮する必要がある。例として数年前に発生した核融合実験装置で高圧蒸気配管のエロージョン減肉で配管が破裂している。これなどもエロージョン減肉が起こる箇所は過去の経験と理論から推定でき、そういう危険箇所をリストアップして定期的に検査し傾向を管理しているのが実態である。
橋の場合は、外部だけであり主として雨水の溜まる箇所、部材が重なって乾燥しにくいところなど、腐食が進む箇所は明白である。塗装の更新はよく見かけるが、腐食減肉を確認した上で塗装しているのであろうか。まさか、錆の上に塗装を重ねていないことを祈りたい。
また、番組の中で、某大学教授が「ハイテクを活用すべし」と発言されていたが、私の経験からして、腐食減肉の検査にはハイテクと言う前に、目視、超音波などのローテクで十分検査が可能である。さらに重要なのは全面を検査するのではなく、ノウハウから腐食されやすい箇所の選定とデーターの管理が最も重要であろうと思う。
橋の管理者も知識が不足しているなら、化学プラントのメンテナンス技術を取り入れられては如何かと思う。
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