少数派シリーズ/社会の弱者・人権
小国綾子氏コラム◇「夫婦別姓」の四半世紀・国民の概ね6~7割の賛成が得られる時代に
党首討論会で「次の国会で選択的夫婦別姓を導入するための法案提出について賛成」かを問われ、唯一、挙手をしなかっ
た自民党総裁の岸田文雄首相(中央)21年10月18日 日本記者クラブ
■夫婦同姓を強制する国は世界中で日本だけ・国連の女性差別撤廃委員会などからも再三勧告を受ける
毎日新聞を活用しています/1996年、選択的夫婦別姓について、同僚記者の夫と連名で「記者の目」を書いた。「選択的夫婦別姓」を盛り込んだ民法改正案が国会提出を見送られたのを受けて書いたコラム記事だった。私の方は、銀行口座や健康保険証の名義変更で、自分の旧姓を繰り返し二重線で消され、訂正印を押され、傷ついた話を書いた。夫の方は、私の直属の上司に「小国さん」と誤って呼ばれ、言いようのない不快感を感じ、改名を強いられる女性の気持ちに初めて思い至った、という話。夫婦連名で「記者の目」を書くなんて前代未聞だった。でも「絶対に一人で書くまい、書くなら夫と連名で」と心に決めていた。なぜなら当時はまだ「夫婦別姓は女性の問題」と考える人が多かったから。夫婦の両方が当事者であることを可視化したかったのだ。あれから四半世紀。夫婦に同姓を強制する国はもはや世界中で日本だけ。国連の女性差別撤廃委員会などからも再三勧告を受けていて、世論も今や過半数が賛成していて、当事者やその子どもまでも声を上げている。それでも一部の国会議員の強い反対のせいで、国会で議論すらされない。
25年間、さまざまな声に耳を傾けてきた。「別姓か同姓かという選択肢ができるのが不安。これまでは『みんなそうだから』と同姓を選べていたのが、同姓を選ぶ理由を語らなきゃいけなくなる」と語った知人がいた。多数派の側にいたい人、選べる自由が不安につながる人もいると教わった。「別姓だと子どもがいじめられる」と案じた人もいた。でも今も親の離婚や海外にルーツを持つ場合など、「別姓」の両親を持つ子は少なくない。母語、肌の色、髪の色……。どんな差異もいじめにつながらないよう、むしろ学校や社会を変えていきたいと答えた。若い記者の最後の問いは「制度を実現することで、どんな社会を望みます?」。改めて考えてみた。私が望むのは、多数派の側にいないと不安だとか、少数派になるといじめられるとか、そんな息苦しさのない社会。誰もが自分らしく生きられる社会。私にとってはもう、「姓」だけの話ではないのだ。(小国綾子氏 毎日新聞オピニオングループ)
■東京新聞調査|都内の衆院選小選挙区立候補者も7割が夫婦別姓に賛成
■投稿者の文章|自民党右翼層は家庭崩壊・離婚増大と言うが果たしてそうなるか?
夫婦別姓については、何度も書いてきた。投稿者は必ず“枕詞”で、国民の全員が強制的に「別姓」に変更せよ!というものではない。「選択的夫婦別姓」の名の通り、同姓にしたい方はそのままでもいいですよという制度だ。女性が今まで使ってきた姓が消える寂しさ、また変更手続きが煩わしく大変なこと。そうした女性が多いことは確か。しかし反対する人間は、むしろ今まで何も考えてこなかった男性が圧倒的。その象徴が、安倍氏や右翼的思想を持った人間達だ。彼等が必ず言う言葉が、家庭が崩壊する、離婚増大・子供が困る。携帯以上に日本は「ガラパゴス化」して、今時こんな議論をするのは世界で日本だけ。自民党右翼層の言うことが正しければ、世界中の夫婦が離婚している。画像のように、国会では反対するのは自民党だけ。自民党を支える公明党も維新の会も、夫婦別姓に賛成の手を挙げる象徴的なシーンだ。議論という言葉を使ったが、国会では自民党が強硬に反対するので俎上にも乗らない。自民党は口では多様性・グローバル化と言うが、単なるポーズだけ。頭の中が石のように固まった右翼思想が支配する政治が変わらない限り、既に行き詰った人権問題・社会保障、経済さえも抜け出せない。これらが日本独特の息苦しさであり、打破のために思い切ってまず夫婦別姓から始める必要があるのではないか。与党・野党とも、今度の選挙が試される。選ぶのは国民だ。
小国綾子氏コラム◇「夫婦別姓」の四半世紀・国民の概ね6~7割の賛成が得られる時代に
党首討論会で「次の国会で選択的夫婦別姓を導入するための法案提出について賛成」かを問われ、唯一、挙手をしなかっ
た自民党総裁の岸田文雄首相(中央)21年10月18日 日本記者クラブ
■夫婦同姓を強制する国は世界中で日本だけ・国連の女性差別撤廃委員会などからも再三勧告を受ける
毎日新聞を活用しています/1996年、選択的夫婦別姓について、同僚記者の夫と連名で「記者の目」を書いた。「選択的夫婦別姓」を盛り込んだ民法改正案が国会提出を見送られたのを受けて書いたコラム記事だった。私の方は、銀行口座や健康保険証の名義変更で、自分の旧姓を繰り返し二重線で消され、訂正印を押され、傷ついた話を書いた。夫の方は、私の直属の上司に「小国さん」と誤って呼ばれ、言いようのない不快感を感じ、改名を強いられる女性の気持ちに初めて思い至った、という話。夫婦連名で「記者の目」を書くなんて前代未聞だった。でも「絶対に一人で書くまい、書くなら夫と連名で」と心に決めていた。なぜなら当時はまだ「夫婦別姓は女性の問題」と考える人が多かったから。夫婦の両方が当事者であることを可視化したかったのだ。あれから四半世紀。夫婦に同姓を強制する国はもはや世界中で日本だけ。国連の女性差別撤廃委員会などからも再三勧告を受けていて、世論も今や過半数が賛成していて、当事者やその子どもまでも声を上げている。それでも一部の国会議員の強い反対のせいで、国会で議論すらされない。
25年間、さまざまな声に耳を傾けてきた。「別姓か同姓かという選択肢ができるのが不安。これまでは『みんなそうだから』と同姓を選べていたのが、同姓を選ぶ理由を語らなきゃいけなくなる」と語った知人がいた。多数派の側にいたい人、選べる自由が不安につながる人もいると教わった。「別姓だと子どもがいじめられる」と案じた人もいた。でも今も親の離婚や海外にルーツを持つ場合など、「別姓」の両親を持つ子は少なくない。母語、肌の色、髪の色……。どんな差異もいじめにつながらないよう、むしろ学校や社会を変えていきたいと答えた。若い記者の最後の問いは「制度を実現することで、どんな社会を望みます?」。改めて考えてみた。私が望むのは、多数派の側にいないと不安だとか、少数派になるといじめられるとか、そんな息苦しさのない社会。誰もが自分らしく生きられる社会。私にとってはもう、「姓」だけの話ではないのだ。(小国綾子氏 毎日新聞オピニオングループ)
■東京新聞調査|都内の衆院選小選挙区立候補者も7割が夫婦別姓に賛成
■投稿者の文章|自民党右翼層は家庭崩壊・離婚増大と言うが果たしてそうなるか?
夫婦別姓については、何度も書いてきた。投稿者は必ず“枕詞”で、国民の全員が強制的に「別姓」に変更せよ!というものではない。「選択的夫婦別姓」の名の通り、同姓にしたい方はそのままでもいいですよという制度だ。女性が今まで使ってきた姓が消える寂しさ、また変更手続きが煩わしく大変なこと。そうした女性が多いことは確か。しかし反対する人間は、むしろ今まで何も考えてこなかった男性が圧倒的。その象徴が、安倍氏や右翼的思想を持った人間達だ。彼等が必ず言う言葉が、家庭が崩壊する、離婚増大・子供が困る。携帯以上に日本は「ガラパゴス化」して、今時こんな議論をするのは世界で日本だけ。自民党右翼層の言うことが正しければ、世界中の夫婦が離婚している。画像のように、国会では反対するのは自民党だけ。自民党を支える公明党も維新の会も、夫婦別姓に賛成の手を挙げる象徴的なシーンだ。議論という言葉を使ったが、国会では自民党が強硬に反対するので俎上にも乗らない。自民党は口では多様性・グローバル化と言うが、単なるポーズだけ。頭の中が石のように固まった右翼思想が支配する政治が変わらない限り、既に行き詰った人権問題・社会保障、経済さえも抜け出せない。これらが日本独特の息苦しさであり、打破のために思い切ってまず夫婦別姓から始める必要があるのではないか。与党・野党とも、今度の選挙が試される。選ぶのは国民だ。